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 立命館大学国際関係学部 校友会 校友会業種別懇談会 #1「コンサルティング業界懇談会」
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(9)コンサルティング業界の未来は
 
萬谷・・
コンサルティング業界が20年後、30年後どうなっていたらいいのかな、あるいはどうなっているべきなのかなということについてお考えがあれば、業界別懇談会ということでもあるので、教えていただきたいと思います。
   
中野・・ 大手を小さくして、個性豊かな会社を増やした方が業界が活性化する――

今の業界の大手各社が、ちょっと大きすぎるのではないかなと思っています。傍から見ていてね。では何人ぐらいの規模が適正なのかというと、正直言って分かりません。今、大手4社になっているのがもう2社ぐらい増えて、それぞれが小さくなっていっても良いのではないかなと思います。他業種のように合従連衡が進んで、ファームの数が減っていくと、みんなの個性がなくなっていくのではないかなと思いますね。それぐらいだったら、逆に小さくなっていった方がこの業界は活性化するのではないかなと思います。

   
森田・・ グローバルな展開が不可欠――

4大ファームがコンサルティング業界として銘打っていくためには、何が必要なのか。僕は逆にドメスティックではなく、グローバルに如何に情報をかき集め、一元化し、そこに聞けばどんな問題だって解決できますっていうビジネスのドクター、ビジネスの総合病院になることが必要だと思っています。これからの時代、グローバリゼーション、グローカリゼーションとか言っていますが、うちの会社は、「マルチ・ポーラー・ワールド」ということを言っていて、それは何が違うかというと、グローバリゼーション、グローカリゼーションでは、日本とかアメリカといった先進国と、いわゆる発展途上国の関係が、搾取・被搾取の関係なんです。つまり安い人材を雇う、安い原材料を調達してくるだけ。そこを市場として見ていない。これからの時代は、インドや中国、それからVISTAっていったところが大きな市場になっていく、そこを取っていかないと勝てない。そこを取っていくために、どうしていけばいいか考える時代にきている。それがマルチ・ポーラー・ワールドだと言う訳です。

そういった観点をうちの偉いさんたちは持っていて、確かにそれはそうだと僕も思うんですね。先進国の市場が飽和状態にある中で、如何に市場を広げていくか。今持っている市場はキープしながら、いかにパイを増やしていくかと考えた時には、今市場でないところを食っていかなければいけない。そこをどうすれば食っていけるか考えるという仕組みに持っていかなくてはいけない。そうした時にはそれを全部拾える情報なり、人なりを持つ会社が必要になる。それをどこがやるのといった時に、商社かもしれないし、コンサルかもしれない。だから、今あるコンサルティング、アクセンチュアは、アクセンチュアとしてそこを目指していると思うし、僕も目指すべき方向なのかなと思っています。より広い範囲を、より広く、深くはどこまで行けるか分からないですが、拾っていけるところまで拾っていく。もちろんどこかに特化していくところも必要なのですが、うちの会社はその方向を目指しているし、それは会社としては正しいのではと思っています。

   
内田・・ コンサルティングにお金を出さない日本の文化、
業界を伸ばすには新しいアイディアが必要――

コンサルティング業界のこれからについては、コンサルティングをする、レポートだけを売るということでは、日本でお金をもらうのは難しいんですね。どこの4大ファームもハードとかソフトを一緒にして、そのソフトというところでお金を回収しているというのが現実的なお金の儲け方だと思うのです。IBMやNECが、コンサルティング会社を買収するというのも、ハードを売るためにやはりそういう戦略、コンサルティングという機能をつけて売ろうとそう言った売り方になるというのが、コンサルティング業界の本質というか現状なので、コンサルティング単体だけで、収益を上げていくというのはこれからも日本人がコンサルティング機能にお金を払うという文化がない限り難しいと思います。

例えば、旅行ひとつにとっても海外ではプラニング・フィーというのが発生して、それに対してホテルがいくら、飛行機代がいくらというお金の取り方をしているのだけれども、日本はパッケージ、全部一括で。ソフトのコンサルティングの部分にはお金を払わないという文化があります。コンサルティングという業界については、そういった文化が変わらない限りは、コンサルティング単体、そこだけを見ると、大きく伸びていかないと思います。それから、日本のGDPというのがこれから伸びていくか伸びていかないかというと、伸びていかない可能性の方が高くて、やはりその市場だけで考えていくと、コンサルティングの市場も少なくなっていくというのが必然なのかなと。そうなったときに先ほど森田さんがおっしゃるように、世界にグローバルに出ていくというのが勝つ唯一の方策なのかなと思いますね。

 
 
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