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立命館大学 国際関係学部 国際関係学部 校友会
 立命館大学国際関係学部 校友会 校友会業種別懇談会 #2「外務省懇談会」
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profile
松本百太 さん
国際関係学部2回生
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魯 芳 さん
井上 広勝 さん
2001年 国際関係研究科卒業
外務省国際協力局緊急・人道支援課勤務
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岩田 康雄 さん
2005年3月国際関係研究科卒業
在チュニジア日本国大使館勤務(政務・経済・領事担当)
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魯 芳 さん
甲藤 岳史 さん
2000年3月立命館大学国際関係学部卒業
外務省経済局経済連携課勤務
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魯 芳 さん
多久島 容子 さん
1998年国際関係研究科博士課程前期修了
外務省地球規模課題総括課勤務
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魯 芳 さん
吉永 潤 さん
1999年3月国際関係学部卒業
外務省広報文化交流部総合計画課勤務
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林 夏音 さん
1999年3月国際関係学部卒業
国際関係学部校友会長
   

外交官から見た日本の魅力

松本:僕がオーストラリアにいるときにも感じたのですが、やはり日本にはいろんな魅力があると思うのです。日本にいたら分からないのですが、海外に行ったらわかる日本の魅力というのはいっぱいあると思います。外交官として海外に行かれて気づいた日本の魅力が、何かあったら教えてください。

日本に対する信頼感を感じます

甲藤:日本が持っているイメージが自分たちの仕事にも非常に役に立っているなという実感もありますね。それは外務省が何かをしてきた、例えばODAを続けてきたとか、そういうことだけではなくて、日本人全体として勝ち得てきた信頼感といったものが我々の仕事をする上で非常に大きな力になっているのかなと思います。

  日本人のものづくりとか、日本のブランドのイメージのバックにある日本に対する信頼感とか、そういうものを感じることはあります。あとは文化的に非常に豊かであることに対する外国人からの尊敬というものを感じることはあります。

日本という名前がブランドに。日本人が好意的に受け入れられる

岩田:やっぱり日本という名前が、海外では「ブランド」になっているということが大きいですね。特に中東地域ではアラブ人は、韓国人も中国人も見分けがつかないので、最近は街を歩くと中国人かとよく聞かれるんですね、中国の方がたくさん出てきているので。その人に(自分は)日本人だと言ったら、すぐに、日本はいい国だ、すばらしい国だといった内容の返事が返ってきます。ただし彼らが指摘している日本の美点というのは、日本製品の優秀さとか日本人の勤勉さとかそういうものなんですね。例えば(アラブ人タクシー運転手が)自分が運転するタクシーは日本製なんだよとか自慢してくるんですね。ともかく日本の製品はすばらしい、すばらしいとほめてきます。でもその評価はやっぱり日本の電化製品であったり、日本人の時間を守るとか、仕事をきっちり行うとかそういったものに対する評価であり、日本の外交や政治に対する直接的な評価ではないんですね。

 こういうアラブ人の日本に対する評価が残念ながら外務省がつくったものではなくて、一人一人の日本人がこれまで積み重ねてきて、世界各地で頑張ってきた、その影響というか遺産というものに大きく依存しているものなんです。そういった日本人が築いてきた遺産の上に、日本国の、外務省というのは世界において結構いろいろと発言力を持っていたり、もしくは相手国からの信頼や好意を得ているという面もあります。特にアラブ諸国なんかは、過去において日本と戦争や植民地支配といった歴史問題もないので、アジア諸国とは非常に良い関係を築いています。そういう意味では非常にやりやすい地域国です。

日本への評価と外交能力はイコールではない

多久島:日本のイメージがいいことは外交官としても、強いバックグラウンドになるんですけれども、それイコール外交能力とは限らない。つまり外交交渉をするときには、それだけではだめだと思うんです。

  特に、日本人は非常にものづくりが得意だったり、あと相手を一生懸命理解しようとして、相手の言葉を覚えたり、相手の人たちの文化に溶け込んだりということはすごく得意だと思うんですけれども、他方で外交交渉の場になったときに、相手国のことをよく知っていればそれでいいかというとそうではなくて、日本としてどういう政策をとればいいか、ポリシーメーキング、そういう政策をつくって発信するという能力は必ずしも高くないというか、まだ改善の余地、伸ばしていく余地があるんじゃないかと。つまり、車をつくりますとか、学校をつくりますとか、目に見えるものはすごく得意なんですが、目に見えないものも、つまりポリシーをつくってそれを発信していくということも今後特に重要になってくると思います。

日本の魅力を日本人が認識すること、そしてアピールしていくことは必要

吉永:海外に行った経験のある人だとみんなわかると思うのですが、外交官であるかないかに関係なく、外から見たら、日本のよさが非常によく分かるはずなのですが、問題は日本人自身が余りその魅力を認識していないということと、私はマスコミに結構批判的なんですけれども、マスコミが日本のことを何でもかんでも悪く書くという傾向があるんですけれども、それは世界的に見ると普通の話じゃないんですよね。自国のことを自国民がけなすというのは。外から見たら大した国じゃなくても、そこにいる人たちは結構自分の国を誇りに思っているということが普通で、だから私が思うに、日本はあらゆる分野ですごく一流で魅力のある国で、十分世界に誇れると思うのですが、それをまず国民が認識していないというのが問題であるということと、あと日本は結構プレゼンテーションが下手と言ったら何ですが、やっぱりそれは売り込むのがちょっと弱いので、もっとアピールしていいと思うんですよね。

 ちょっと日本人の性格がお人よし過ぎるところがあるので、それをうまく活用できていないというのが非常に残念なことだし、外交自体もお人よし的なところがあって、押しが弱いような気もするし、発信も弱いし。だから、もっとしたたかに日本人も、私はもうちょっとずる賢く強引になれば、もっといっぱい売り込めるんだと思うんですけれども、ただ、まぁ、控えめなところが日本人のよさであるのかもしれないし、微妙なんですけれどもね。

お金をかけずに魅力を発信。例えば日本食

井上:日本の魅力というのはいろいろあって、それを海外へ売り込んでいくというのが外務省なり在外公館の仕事だと思います。その一例が日本食。例えばモスクワにいたときも、日本レストランが多くあったのですが、日本での味とはちょっと違うんですよね。そういうこともあり、例えば在外公館の大使公邸・総領事公邸のレセプションとか会食ではプロの公邸料理人が日本食をつくり、日本側の出席者が相手国の要人と日本食をともに食べながら日本を売り込むような話題を提供しています。

 
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