浅羽:研究者の道を目指そうかと悩んでいる人に対して、私なら、10年先までを見据えて戦略的に考えてから決めなさい、と言いたいんですが、皆さんはどんなアドバイスをしますか。
「覚悟しなさい」とアドバイスします
井出:私は特に戦略的な意識をもたずに現在まで来ましたが、一時は本当に大変だったことも事実です。結果的には報われましたが、そうならない可能性も大いにあります。後輩には、「相当覚悟しないといけないよ」とアドバイスすると思います。
中戸:教員としては、立命館大学の国際関係研究科を勧めるかどうかも尋ねたいところです。
井出:私はこの研究科で学んでよかったと思っています。楽しかったですね。しかし学費が高いという問題はあります。特に修士課程の学費を負担に感じて国公立大学の修士課程へ進学する学生も少なくありません。
中川:現在、学生の学費負担を減らすさまざまな工夫を凝らしています。博士課程では、奨学金などを利用すれば、負担はかなり軽減されますが、修士課程については確かに「学費が高い」と思う学生が多いようです。
メリット・デメリットを知り、最後は自分で決めること
川村:私も国際関係研究科でなければ学べなかったことがたくさんあると思っています。とりわけ龍澤ゼミに入ったことが大きかったですね。博士論文のアプローチも龍澤ゼミで学んだからこそ得られたものでした。
後輩には、良い点も、良くない点も含め、いろんな話をしたうえで、自分で決めなさいとアドバイスしたいですね。立命館大学にしろ、他大学にしろ、「ここへ行ったほうがいい」とは勧めないと思います。
「絶対やめたほうがいい」と言われてなお変わらない強い意志なら
中根:私が国際関係研究科に進学して良かったと思うのは、やはりすばらしい先生や研究仲間に出会えたことです。 でも、もし研究者になりたいと相談された時は、「絶対にやめたほうがいい」といいますね。それでもなお「なりたい」という方に向いているんじゃないでしょうか。私自身には当初そのような強い意思や覚悟が欠けていましたけれどね。
最終的には自分次第です
中戸:教える立場になって学生と接しているときにしばしば感じるのですが、若さゆえの傲慢さというか自分が優秀だと思っている学生も結構いるでしょう。僕自身も振り返ってみて生意気というか、身の程知らずの側面があったと思います。けれど研究者という仕事は、優秀だからやっていけるとは限りません。優秀でも消え去っている人々はたくさんいます。実際には、先ほどからお話しされたように、運や出会いが道を切り拓いていくことも多いんです。そして、最終的には、運や出会いを切り拓いていくのは自分次第なのではないかと思います。
運とタイミングをつかめる礎を築くことが重要
佐藤:僕もそう思います。研究面で優秀であることは大切ですが、あとはやっぱり運とタイミングです。それをつかめる礎を築くことも重要ではないでしょうか。
浅羽:研究者を目指す後輩のみなさんにとっても、私たち自身にとっても、とても有意義な議論になったのではないでしょうか。本日は皆さんどうもありがとうございました。 |