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立命館大学 国際関係学部 国際関係学部 校友会
立命館大学国際関係学部 校友会 IR校友 友達の輪 毎月、国際関係学部の校友を友達の輪形式で紹介します。
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石塚 仁志

  さん
ISHIZUKA Hitoshi
1998年(平成10年)3月卒 8期生 山形英郎ゼミ(国際法) 北海道札幌西高等学校出身
ビブロスの遺跡『戦士の城』(レ バノン)
Profile
石塚 仁志(いしづか ひとし)
国際関係学部を卒業後、外務省に入省。平成11年6月からエジプトのカイロにてアラビア語研修に従事し、その後、在チュニジア日本大使館、在クウェート日本大使館にて総政務担当として勤務。平成18年6月に東京の外務本省に戻って現在のシリア・レバノン担当となり、これらの国と日本の二国間関係全般を扱う。

大学時代の思い出

私の大学生活の前半はいたって平凡なものでした。1、2回生の頃は、もちろん授業にはきちんと出ていましたが、アルバイトとサークル活動を中心に生活していました。

しかし、2回生の終わり(2月から3月)に、文化交流プログラムでアメリカのイリノイ・カレッジ(Illinois College)に短期留学したことがとても刺激になりました。それまで学部で国際政治、経済、文化を勉強していましたが、異文化を五感で体感したことはそれまでの2年間の勉強以上にすばらしい経験でした。憧れていたアメリカという国の姿を肌で感じ、向こうの大学生の日本に対する興味関心の高さを知ることができましたし、伝えたくても伝えきれない自分の英語力の無さを痛感もしました。そのプログラムでいろいろな事を学びながら、私は「世界を舞台にした仕事に就きたい」という思いを強め、外交官への道を目指すことを心に決めたのです。

また、私は、3回生から始まるゼミでは、国際法を勉強するゼミを選択しました。実は、私はそれまで支えてきてくれた両親や家族に、大学で勉強したことを一つの成果として見てもらいたいと思っていましたので、国際法が試験科目となっている外務省職員採用試験に現役で合格することを目標に掲げました。そして、3回生から大学の公務員試験対策講座を受けたり、自習室や図書館で夜遅くまで勉強しました。

当時、学部での印象深かった授業のひとつに、イスラエルとパレスチナの紛争を扱った授業がありました。その授業で先生が、将来どのような形で和平が実現できるか、イスラエルとパレスチナの二国家併存か、ひとつに纏まるかなどいくつかの解決策を紹介してくださいました。選択される策によって、当事者達の運命は大きく変わる重要な話であり、最善の策を目指して話し合いをしていく、まさにそこに外交の醍醐味があるのだろうなと感じたのを覚えています。それまでは、その紛争は遠いところで起きている大変なことくらいにしか認識していませんでしたが、その時の授業は非常に印象的でしたし、結果として私は外務省でまさにこの地域の担当として仕事をするようになったのも、こういった授業で感じたことの影響なのかもしれません。

ダマスカスのハーミディーエ市場の賑わい(シリア)

社会人になってから

現在、私は、外務省でアラビア語の専門職員として働いています。エジプトでの研修の後、北アフリカに位置するチュニジア、アラビア湾岸地域の産油国クウェートにある日本大使館でそれぞれ勤務し、2006年6月末に8年ぶりに日本に戻ってきてからは、シリアとレバノンの2カ国を担当する仕事をしています。なんといっても、この仕事の魅力は、国際社会が大きく動いている中で、その中心に近いところでまさに仕事の一端を担っているというやり甲斐を大きく感じられる事だと思います。

特に2003年に始まったイラク戦争後、国の復興のために日本の自衛隊がサマーワに派遣された際、私も外務省の職員の一人として派遣され、殺伐とした自衛隊の宿営地を拠点としながら、開発が遅れたサマーワの街中に出向いて地元住民への支援や連合軍との連携のために1ヶ月でしたが働く機会がありました。また、2006年にイスラエルと、レバノンの一組織であるヒズボラとの間で武力衝突が起こって、レバノンに大きな被害が出た際には、現地に滞在する邦人の待避や国の復旧のために国際社会が支援に乗り出すなど次々に発生する仕事に昼夜を問わず当たり、国際会議出席のために海外出張もしました。そういった突発的な事態がない日常においては、いかに日本と担当国であるシリアやレバノンのそれぞれの二国間関係が発展しうるか、その二国間関係がどのように日本の国益のためになるかを中心に、また、いかに日本が中東地域で役割を果たせるか、特にシリアとレバノンの情勢に関与するかを考えて仕事をするようにしています。

 

将来の夢

中東地域は、新聞やテレビで目にする機会が多い紛争や問題を多く抱えています。イスラエルとパレスチナ、シリア、レバノンそれぞれの和平問題、イラク情勢、イラン情勢、アフガニスタン情勢、これら全ては私が所属する中東アフリカ局が担当する諸問題や情勢です。こういった紛争や問題に加え、中東地域は日本の発展にとって欠かせない原油の産出地でもあり、経済の面から見ても日本は中東地域とは切っても切れない関係にあります。また、北アフリカの国々と湾岸諸国の風土・文化が微妙に異なるように、一口に「アラブ、イスラム、中東」と言ってもその姿は多種多様です。これまで私は北アフリカ(チュニジア)、湾岸(クウェート)、シリアおよびレバノンそれぞれの地域を見ることができました。しかし、まだまだ全ての中東地域を知るには至っておらず、勉強していかなければならない事柄はたくさんあります。アラビア語、中東の専門家としてこれからもひとつひとつ経験や知識を積み重ねていきたいと思っています。

 

校友へのメッセージ

国際関係学部で勉強したからこそ得られた知識や学部の校風を校友の皆さんと分かち合えることができて良かったと思っています。今、様々な世界で活躍している校友の皆さんからこれからも刺激をもらうことで、自分ももっと努力をしていかなければならないという気持ちになっています。

 

在校生・受験生へのメッセージ

国際関係学部で国際政治や経済を勉強したのだから、国際的な仕事に就きたいと思った自分のあの頃の率直な感情は、今でも間違ったものではなかったと思っています。また、その理想が外務省職員である、国のために働きたいと考えたことも決して後悔する決断ではありませんでした。私が大学生だった頃に比べて、現在は遙かに国際化が進み、外国に目を向けること、外国人を友人に持つこと、外国でしか経験できないことを体験することなどは、在校生の皆さんにも、これから受験しようと思っている皆さんにとっても、ごく当然のことになったと思います。これから輝かしい未来を作っていく皆さんも、とても大きな志を胸に秘めていることでしょう。その夢を実現するために是非国際関係学部での授業を満喫し、それを糧として夢を実現してもらいたいと思います。

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