予備校時代に読んだ落合信彦の「狼たちへの伝言」を読み感銘を受ける。
これからは国際社会で活躍せねばと思い国際関係学部を第一志望として受験し、この学部だけ合格。当時は真剣に考えたつもりでも今思えば単純な動機でしたね。
正直、高校までは特に部活もせず人ともまれることもあまりなく、受験勉強だけしてきましたので、大学入学後、自分は何もできない人間なんだなぁと自信喪失の連続でした。
まず、ずっと男子校だったので、半数が女性というこの学部が最初に驚きでした。
女性と自然に話すことができないオタク系だったため、この雰囲気に慣れることができるか心配でした。でもみんなフレンドリーですぐに慣れましたね。入学して1週間で今までの人生で話しをした女性の数を抜いたと思います(笑)
一番困ったのは、人と議論をするということがまったくできなかったことですね。
それは基礎演習というような授業に限らず、休み時間や授業後に食堂などでみんなと話しをする時も同じでした。今まで自分の意見を持って、人と議論をするというようなことをしなかったので、どうやって良いかがわからなかったのです。
いろいろな経歴を持っている日本人や留学生が自分はこう思う、と議論をしている姿に圧倒され、人の意見を聞いているだけで自分は何も議論ができないと情けない日々でした。
半年くらいたったある日、先輩にどうやったら人と議論ができるようになるのか尋ねた時に「俺も最初は自分の意見なんかなかったよ。何もないところで自分の意見を持つなんて無理だから、とりあえず本を読んでその筆者の意見を自分の意見として思ってしまうのも一つの方法だと思うよ。」と言われそれからスタートすることにしました。本を読み、その意見を真似、人に対して「本の受け売りだけど、俺はこう思う」と口に出すことから始めました。そういう習慣を重ねるうちに、人と議論をするということがなんとなくできるようになりました。
入試でも英語の偏差値の低さを国語と日本史でなんとか補っていたのでみんなが英語で流暢に議論をしているという状態は本当に場違いなところにきたなと思いました。それでもいろいろ言い訳をしながらあまり英語は勉強しませんでした。その後、海外に駐在するということなど全く想定していませんでしたので。
おぼろげながら政治の世界も目指していたので、某政治家の事務所の政治勉強会に参加したりして徐々に活動範囲/人脈範囲の幅を広げていきました。
徐々に大学内/外で勉強や議論をして知識を増やしていきつつも、京都から出たことがない自分が本当に世界のことを知っているのか、そのような勉強に意味があるのか疑問に感じてきました。そんな中一念発起し、大学二回生の時初めてパスポートを作り一人で中国へ1ヶ月間バックパッカーとして旅行に行きました。
英語もちゃんと話せず、第二外国語で習った中国語と筆談で行き先も決めずいろんなところに体当たりでいきました。最初は食事になれず、体重も落ちましたが、困っている私を見て助けてくれる中国人に助けられ、毎日が新鮮でした。本で勉強することも大事だが、いろんなものを実際に自分で見て、経験することがどれほど意義のあることかと気がつきました。本で10の国のことを知るよりも1つの国で実際に生活し経験した知識のほうがもっと深く本当に知っていることになる、つまり経験に裏打ちされた知識のほうが本当に知っていることになり、それこそが今の僕に必要なことなんだと認識しました。(もちろん今考えると旅行で得られる経験と実際に住んでみて得られる経験ではまた種類が違うのですが)。
また、旅行中はドミトリー(相部屋)で泊まったのですが、そこにくる世界中の旅行者とは当然英語でのコミュニケーションになるのですが英語ができずうまく意思疎通できませんでした。そのもどかしさで次の旅行の時までには英語を勉強して世界中の人と話せるようになっておこうと英語の勉強のモチベーションを上げていました。その後ロシア、タイ、インド等を旅行しましたが、度胸とスラング英語は身に付き、それらの小さな達成感の積み重ねが自分の自信になっていきました。
一方で日本のことをもっと知らないと、と思い単位交換制度を使い、短大にいき裏千家茶道の講座も2年受けました。大学卒業後も東京で茶道を続け趣味の一つとなっています。
今もあるかは知りませんが、京都らしい非常に有意義なシステムですね。
ゼミでは新しく作られたモンテカセムゼミに入り、今までリーダーのようなまとめ役をやったことがなかったので、ゼミ長にチャレンジしました。リーダーや組織についていろいろ語るよりも、実際にリーダーをやってみたほうが勉強できることが多いと思ったからでした。
私がリーダーになれていないせいで、先生や他のみんなには迷惑をかけたと思いますが、失敗して元々と開き直り、個性豊かな人間の意見をまとめ、なんとか2年間こなすことができました。正直、今思うともっといろいろできたなと思うことばかりですが、まぁ当時の自分としてはあれが精一杯だったのかなと思います。
大学では今まで経験したことをいろいろ経験し、失敗し、間違いなく現在の自分のもとになっていると言えます。
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