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ゲスト講義実施報告(日本社会事業大学 非常勤講師 橋本恭子様)

「東アジア研究A」(担当教員:園田節子先生)の授業にて、橋本恭子先生をゲスト講師としてお招きし、台湾のフェミニズムとレズビアン・フェミニズムを地域研究の視点から講義を行って頂きました。

比較文学、台湾文学を専門とされる橋本先生は、フランスと台湾、日本で研究し、代表的著書『《華麗島文学志》とその時代』(三元社、2012年)のほか、張小虹や李玟萱の著作を精力的に翻訳されるとともに、首都圏で男女平等推進委員を多く務められています。

講義は、台湾のフェミニズム運動史を概観する内容でした。
まず導入部で台湾と日本のジェンダーギャップ比較を数値で確認し、日本統治から現在までの台湾におけるフェミニズム運動の中でどのような事件や進展があったか、さらにその特徴や具体的な活動を明確にしながら、最後に日本社会について問う、重厚な構成でした。

講義中、中央-地方・社会階層・学歴へのまなざし、運動を一気に推し進める象徴的な死、民主化や中台関係、他の社会運動とのかかわりが運動に間接的・直接的に与えた影響などの重要な議論が示されました。

授業後の学生フィードバックには、台湾との比較を通して日本のジェンダー平等に向けた教育などの動向に対するコメントが集中しました。特に日本は1990年代末に男女共同参画社会基本法の制定に続く一連の法律や制度がしっかりと確立・整備されているにも拘わらず、2000年前半のバックラッシュによってそれらが市民に降りてこず機能しない状況にある、という点への関心の高さが表われました。