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ゲスト講義実施報告(元:UNHCR駐日事務所代表 現:大学講師 Dirk Hebecker様)

「Introduction to the United Nations」(担当教員:石川幸子先生)の授業にて、前UNHCR駐日事務所代表で、現在は、UNHCRを定年退職して日本国内で複数の大学の講師として活動しているDirk Hebecker様をゲスト講師としてお招きし、World in Turmoil – Record Displacement (How today’s world deals with the global refugee crisis)というテーマで講義を行っていただきました。

まず、現在の世界における大きな課題は何かについて話を進める前に、直近の課題としてトランプの2期目の大統領期間に多くのグローバル課題がインパクトを受けるのではないかとの自身の考えをSecurity, Climate, Inequality, health, Radicalizationの観点から述べられました。次に、これら5つの課題について、特に問題となっているものを取り上げて、現在の世界を俯瞰する作業を行いました。特に今回のテーマであるDisplacementについては、戦争・国内紛争・自然災害・環境破壊・貧困など、様々な要因によって引き起こされることが説明され、難民と国内避難民(IDP)を併せて2024年6月時点で難民の数は1億2千万人となり、世界で13番目に多い人口の国と同数だとの指摘がありました。

ゲストスピーカー(11.7Dirk様)1

現在、ウクライナ・スーダン・ガザ・シリア・ミャンマー・DRC等から難民になる人々と共に、国内にとどまって避難民(IDP)になる数が多いとのことです。難民には国際機関からの支援の手が差し伸べられるが、避難民(IDP)については、未だ国内で政府の統制下にあるので、国際機関が支援できない場合も多く、彼らがおかれた状況は、難民よりも悲惨であるとのこと、ガザについては、公式な用語ではないと前置きをしながら、Internally Displaced Refugees(IDR)であると説明がありました。これは、既に難民となっているパレスチナ人が、ガザという「天井のない監獄」と呼ばれる地区に閉じ込められており、イスラエルによる攻撃があってもガザの外に出られない状況を表現した言葉であるそうです。
難民・避難民(IDP)の現状については、Crisis Groupの地図、IRC Humanitarian Watch Listなどが常に最新の情報を提供しているので、それらを参照するのが良いとのアドバイスがありました。

ゲストスピーカー(11.7Dirk様)4

最後に、難民に対する誤解という点で、「難民は欧米などの先進国に流れていき、国民の仕事を奪い、治安を悪化させる」という考え方は間違っており、現実には難民を庇護している国の75%は途上国・中進国であるとの指摘がありました。また、その内の21%は「最貧国であるとのこと」との指摘がありました。
講義後、学生たちからは、トランプはウクライナとロシアの戦争をどのように終結させると思うか(ロシア語でロシア人の学生が質問)、また、ソーシャルメディアによる情報操作等についての質問がありました。