グローバル人材とは?
情報理工学部長
仲谷 善雄
現在の我が国や世界でグローバル化が進展していることはご承知のことと思います。しかし共通認識とおもわれているその中身については本当に共有されているでしょうか。それを学部として考え、教学として実施するというのが「みらい塾」です。
みらい塾は、情報理工学部で文部科学省から採択を受けた「グローバル人材育成推進事業」に付けられた愛称です。ICT(情報通信技術)分野における先駆的な人材育成モデルとして高く評価された結果です。そこでは、ICTに関する専門的知識と技術を基盤とし、科目群の履修や海外研修プログラムへの参加を通して、ICT技術者としての英語の運用能力・交渉力・プレゼンテーション能力・チームワーク力などのコミュニケーション能力、異文化理解力を備え、技術動向や社会動向を見抜いた上で新たなサービスの提案を行える人材の育成を目的としています。いかがでしょう。グローバル化と言っても、通常言われる国際化とは違うことに気づかれましたでしょうか。実は、情報理工学部のこれまでの取り組みを通して得られた信念に基づいた独自の取り組みなのです。
情報理工学部は2004年に開設したときから、ICT技術は国境のない普遍的な技術ということから、国際的に活躍する人材とは何かを考え続け、国際化を意識したカリキュラムや海外研修などを積極的に開発してきました。その中から、グローバル化ということはひとつの技術やコンセプトが世界中を大きく変えてしまう世界を意味していることに気づき、そのような変革を自ら起こせる人材の育成が重要であると考えたのです。もちろん、世界にインパクトを与えるためには、世界の文化を知り、人を知り、価値観を知る必要があります。そのために本学部はこれまでに、米国、オーストラリア、インド、中国、タイ、ベトナム、ロシア、フランスなどの大学と積極的な教学・研究の交流を行っており、学生の交流も盛んです。しかしそれはグローバル化のひとつの側面でしかありません。社会に関心を持ち、社会を知り、社会をよい方向に変革しようという意欲・意識を持ち、かつそのための手段を身につけた人材こそが、望まれる人材だと考えています。
私たちの取り組みはまだその第一歩を踏み出したばかりと言えます。しかしその背後には、これまでに取り組んできた実績があります。今後の日本、いえ世界を背負って立つ人材に成長することを目指して、意欲のある学生の皆さんが本プログラムに参加されることを強く期待しています。
情報理工学部副学部長
野間 春生
「みらい塾」の目的は「グローバルIT人材」を育成することです。この“グローバル”という言葉は、いまどきの大学案内や企業紹介では不可欠なキーワードですが、その正しい意味は意外と認識されていません。“Global”の語源は”Globe: 地球 ”の形容詞形ですから、“Global”とは“地球上の、全世界にわたる”という意味です。“グローバル企業”と言えば、Apple社やMcDonald's社、Coca-Cola社などが挙げられますが、いずれも全世界規模で市場を捉え、全世界から求められる製品を投入できる会社です。つまりグローバル人材とは、物事を地球規模で捉え、分析・判断し、行動できる人を意味します。
「みらい塾」では、特に情報通信技術の地球的スペシャリストであるグローバルIT人材の育成を目指し、先駆的な教育プログラムを用意しています。日本はクリスマスを楽しんだ数日後に正月を迎える、文化・宗教面では極めてグローバルな国であり、その中で育った皆さんはグローバル人材としての素養を十分に備えています。このプログラムを通して社会人基礎力や英語力を身につけ、今後のIT分野を支える真にグローバルな技術者や研究者として成長することを期待しています。