教員紹介

国際文化学域

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ヴィクトリア朝から現代社会の抱える問題を考える。
キーワード :
チャールズ・ディケンズ、イングリッシュネス、サヴォイ・オペラ

金山 亮太教授

所属専攻:
英米文学専攻
専門分野:
19世紀イギリス小説、軽歌劇を含む大衆演劇
英国史上、女王の治世の時期(エリザベス朝、ヴィクトリア朝、現代)には国が栄えると言われますが、輝きの裏には必ず影が存在します。科学技術の暴走や民族間の対立、帝国主義の負の遺産など、現代に生きる私たちが直面している諸問題の多くはヴィクトリア朝にその端緒があります。これらを時間と空間を超えた普遍的な課題として捉えるのが、私の目下の課題です。ディケンズなどの文豪への興味から始まった私の研究歴ですが、最近は19世紀末にイギリスで一世を風靡した「サヴォイ・オペラ」という、大衆向け軽歌劇の中に現れる民族意識の変遷を切り口に研究を進めています。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

シャーロック・ホームズや切り裂きジャックなどでお馴染みのヴィクトリア朝英国を舞台にした文学作品を研究しています。数々の作家を輩出したことから「小説の世紀」と言われる時代ですが、そのような「表の顔」だけでなく、当時の人々の価値観や欲望がよりむき出しの形で表れている大衆娯楽やメロドラマなどの「裏の顔」にも関心があります。

COLUMN

小説は表の顔、娯楽作品は裏の顔。 読み解く中で見えてくるイギリスの素顔。

英米文学専攻

金山 亮太

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ロマンスのルーツをたどる
キーワード :
シェイクスピア、エリザベス朝、ロマンス

竹村 はるみ教授

所属専攻:
英米文学専攻
専門分野:
イギリス文学、近代初期イギリス文化史
ロマンスと聞いて、どんなイメージを持つでしょうか。現代ではどこか陳腐な印象を与える言葉ですが、恋と冒険を基本要素とするロマンスのルーツは西洋文学の一大ジャンルを成した騎士道ロマンスにあり、その大衆化路線の萌芽はルネサンス期のイギリスに見出すことができます。カリスマ的な人気を誇った女王エリザベス一世が君臨したこの時期は、印刷出版と商業劇場という二つの新手メディアを得ることで、文学が大きな変革を遂げた時代です。シェイクスピアをはじめとする優れた作家が多数輩出し、近代型のロマンスが誕生しました。宮廷文化と大衆文化の創造的な関係を軸に量産された恋愛文学の全容を明らかにするのが、私の研究の狙いです。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

映画など様々なアダプテーション作品を生み出してきた英米文学は、汲めども尽きぬ魅力の宝庫です。英語を学ぶことから、英語で学ぶことに発想を転換する時に、文学は可能性と刺激に満ちています。とはいえ、文学作品を楽しむには、それなりの方法があります。どこが面白いのか、どう読めば面白いのか―それを考えるのが文学批評です。

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英米小説における女性たちの表象
キーワード :
アメリカ文学、ジェンダー、新しい女性

中川 優子教授

所属専攻:
英米文学専攻
専門分野:
英米文学、ジェンダー
南北戦争後のアメリカは大きな転換期をむかえ、健康で裕福で活発なアメリカ女性が、新しい国アメリカを象徴するものとして雑誌や広告、文学に描かれるようになりました。一見明るい未来を象徴しているようにみえますが、実際そう単純ではありません。またこの頃社会進出を試みる「新しい女性」がイギリス小説にも登場しました。私はこのような女性の表象を英米小説、とくにこの女性たちに共感しながらも、複雑な思いをもって描いたヘンリー・ジェイムズやその周辺の作品にみいだし、研究しています。作品を精読する以外にたくさんの資料も読まないといけませんが、意外な作品間のつながりがみえたりするのが面白いです。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

英米小説をぜひ原書(英語)で読んでみてください。最初はむずかしいかもしれませんが、一度翻訳で読んだ作品から読み始めれば、物語を理解しやすいでしょう。物語の世界に引き込まれていけば、英語を読むことに慣れていき、英語の読解力も向上します。それはまた英語で話す力の向上、そしてより広い世界の経験へとつながっていきます。

COLUMN

小説を深く読み込むことで得られる「文学の力」

英米文学専攻

中川 優子

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アイルランドを通して出会う、ひとの言葉と想像力
キーワード :
アイルランド文学(おもに詩と小説)、文学と場所

中村 仁美准教授

所属専攻:
英米文学専攻
専門分野:
アイルランド文学
わたしはいま、20世紀以降のアイルランドの英語文学を中心に研究しています。アイルランドは神話、民話、伝統音楽、名だたる文士たちによる文化的貢献も広く知られる、緑豊かな西の国です。一方、言語接触(アイルランド語と英語)、歴史上の移民の多さ、北アイルランド問題、欧州連合(EU)内での立ち位置など、文明間の境界や文化の越境性について多くの視座を提示する国でもあるように思います。ユネスコ文学都市にも選ばれた首都ダブリンを有する、この国の文学の息吹に耳を澄ませながら、詩や小説を丁寧に読み、その躍動を伝えていけたらと思っています。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

自分が心惹かれるもの、そして世界への関心と問題意識を大切に、広い心で大きく学んでもらえたらと思います。絶えず変化する世界も、変わりゆく自分さえも恐れずに、ぜひ大学であなたらしい日々を過ごしてください。

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文学における異文化間接触
キーワード :
異文化間接触、宗教と文学

PRESTON NATHANIEL H.教授

所属専攻:
英米文学専攻
専門分野:
英米文学
By exploring how the experience of immigration has influenced American writers with roots in South Asia and how non-Asian writers express interest in South Asian traditions, I seek to understand how literature can both illuminate conflicts and foster constructive dialogue between cultures.

MESSAGE

受験生へのメッセージ

I teach mostly in English, but a desire to learn is more important than your English level. Let’s explore the world of English-language literature together!

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ポスト国民文学時代の英語文学と翻訳の役割
キーワード :
クリエイティヴ・ライティング・プログラム、文芸翻訳の諸問題、ベースボール

吉田 恭子教授

所属専攻:
英米文学専攻
専門分野:
現代英語小説、アメリカ文学
アメリカでは、作家の視点から文学作品を研究し、自作の作品を学位論文として執筆するクリエイティヴ・ライティング・プログラム大学院が1930年頃から発展してきました。わたし自身も合衆国で創作教育を受け英語で小説を執筆しています。今日、イギリス文学、アメリカ文学といった国による区切りが意味を失ったポスト国民文学の時代を迎え、世界中に広がる創作科の教育手法もまた米主導の世界化の一貫なのでしょうか?戦後の英語小説に創作教育の反映を読み取る一方で、現代文学の生産体制と翻訳を通じた流通について探るのが目下の研究課題です。また戦前の日米野球交流やベースボールを描いた小説・映画についても調べています。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

私たちはひとつの人生しか与えられていませんが、同時に他者への好奇心や共感、意見の異なる人々との対話や折り合いなしには、社会で生きていくことはできません。英米文学専攻では、単なる意思伝達の道具としての英語力を超えた高度な英語リテラシー能力養成を目指します。それは日本語の世界でも文学以外の世界でも、大きな力になるはずです。

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軍事から捉え直す近代

小澤 一郎准教授

所属専攻:
ヨーロッパ・イスラーム史専攻
専門分野:
近代西アジア軍事史
一般に「近代」と呼ばれる19世紀から20世紀初頭までの時期に、アジア・アフリカ諸地域で試みられた国家や社会を作り替えるための改革は、往々にして欧米諸国をモデルとする「西洋化」といったような言葉で言い表されます。私の専攻しているイランでもこの時期に軍事面での改革が行われましたが、それは「西洋化」の尺度で見ると「失敗」と評価されかねないようなものでした。ただ、改革の内実を現地の国家や社会のありようと絡めて検討すると、一概にそうとも言い切れない固有の歴史的意味を持っていたことがわかります。このように、単一の尺度では捉えきれない各地域の固有な近代のあり方を想定することで、その延長線上にある現代世界の理解をも刷新することを目指しています。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

外国史研究は、私たちの住む現代日本とは時代も地域も異なる対象を扱います。様々な物事や価値観に触れることで自分たちの「あたりまえ」を疑ったり、新たなものの見方を身につけたりするという、大学での学びの醍醐味を味わうのに最適な分野です。皆さんと一緒に、そんな知的挑戦に取り組んでいければと思っています。

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中世ヨーロッパ世界との対話から現在を理解する。
キーワード :
キリスト教、異端、迫害

小田内 隆教授

所属専攻:
ヨーロッパ・イスラーム史専攻
専門分野:
西洋史、キリスト教史
私は中世ヨーロッパの世界を研究しています。それは遠い過去ではありますが、現代ヨーロッパの基礎はこの時代に形成されたのです。中世ヨーロッパ研究の面白さというのは、私たちとは異なった過去世界の文化や価値観を知るばかりではなく、それをつうじて「現代」をより深く認識することができる点にあるといえましょう。私の場合、キリスト教世界である中世ヨーロッパにおいて、正統のローマ・カトリック教会から「異端」とされた人々の運命に関心があります。異端者をはじめとしたマイノリティに対する迫害と不寛容の歴史は、現代の世界の各地に起きる宗教対立という私たちの「今」を考え直す材料を与えてくれるからです。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

支配者やエリート以外の民衆やマイノリティの声はあまり記録に残らないため、研究にはつねに史料の沈黙がたちはだかります。しかし、歴史研究の醍醐味は未知なこと、暗闇にかくされたことを探り出すこと、調査と発見の楽しみにあるのではないでしょうか。何かを見出したときの高揚感は他に代えがたいものがあります。

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