教員紹介
- 言語学
第二言語習得は学習者の内部で発生する習得メカニズムだけでは説明しきれないほどの複雑さを持ちます。そのため、言語を知識として学ぶだけではなく社会に根付いた活動を通して習得するという考えのもとに、学習の状況性やグローバル化時代の流動的コンテクストを考慮することが必要となります。私は、このような視点から、第二言語習得における社会文化的要因に着目し、異文化適応、リテラシー、アデンティティを研究しています。グローバル化によって多様性を増す異文化接触の再概念化に寄与すべく、言語横断的視座から母語と第二言語の融合性を考察し、リテラシーの発達過程とアイデンティティ変容に関する社会言語学的探究を続けています。
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言語コミュニケーション学域
漫才対話から学ぶ、コミュニケーションの新たな視点
- キーワード :
- 漫才対話、オープンコミュニケーション、言語・非言語コミュニケーション
岡本 雅史教授
- 所属専攻:
- コミュニケーション表現専攻
- 専門分野:
- コミュニケーション研究、認知言語学
皆さんはテレビで「漫才」を観たことがあるでしょう。舞台で2人がただ話しているだけなのに、それを観て観客は楽しそうに笑っています。こうした漫才の面白さについては様々な研究がなされていますが、私は漫才が「コミュニケーションを見せるコミュニケーション」であるという点に着目し、これを《オープンコミュニケーション》と名付けました。すると、日常でさり気なく他者を意識しながら会話する人たちのコミュニケーションスキルや、逆に「空気が読めない」と言われる人たちの生きている現実(リアリティ)などが高い解像度で浮かび上がってきました。皆さんにも是非そうした新しいコミュニケーションの見方を体得して頂きたいと思います。
COLUMN
漫才は、どうしてあんなに面白いのか。 秘密を探る中で見つけた情報伝達の新概念。
コミュニケーション表現専攻
岡本 雅史
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最近の漫才で、「ボケを否定しないつっこみ」という形が出てきました。従来型の「なんでやねん!」とボケを否定するパターンを逸らして、「それもありだね」と受け止める変化球型です。一例ですが、典型例に当てはまらない多様性を認めていこうという社会的動きがみえます。同じような変化が、言語教育でも起きています。従来の言語教育では、「日本人は謙遜する」のような典型的な言動の研究や教育が当然とされていました。しかし、多言語・多文化が入り混じる現代社会では、○○人や○○語を越えた柔軟なコミュニケーション能力が鍵となります。このような、翻訳アプリでは代用できない能力や育成方法とは何かについて研究しています。
COLUMN
世界各国の留学生と一緒に学び、
課題解決に取り組む
言語学・日本語教育専攻
北出 慶子
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第二言語語彙能力の鍵は語彙が定着するまで再出会いの数です。大学入学試験は、最低5千英単語が必要です。そして、単語だけでなく定型表現が欠かせません。意図的かつ偶発的な 学習両方が大事です。さらに、暗示的能力は(例:留学や英語媒体教育を通して)どのように発達するのか複雑な過程です。現在、留学生で見られる暗示的能力とそれにおける定型表の評価方法を開発しています。単語の数、短期記憶力の貢献、定型表現の偶発的な学習などの相互作用を調べています。研究で、英語圏で留学する英語非母語話者にて上記の能力を評価するテストを作りました。これから日本語非母語話者のテストも計画したいです。
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身近な言語の気になる側面を言語学的観点から考察する、これが僕の研究方法です。僕がこれまで分析してきた「身近な言語」は、出身大学の隣町で話されている茨城県旧水海道市(現常総市)の方言、前任校の所在地北海道の方言、妻の母語ルーマニア語、旅先で出会った千葉県南房総市の方言です。「気になる側面」は、格や態や活用といった文法に関するものと無声化や有声化といった音韻論に関するものです。
僕が分析対象としてきた言語・方言のいくつかは消滅の危機に瀕しています。消滅危機言語・方言の研究はそれ自体でも価値がありますが、日本語(標準語)や英語といったメジャーな言語を捉え直す上でも貢献が期待できると思います。
僕が分析対象としてきた言語・方言のいくつかは消滅の危機に瀕しています。消滅危機言語・方言の研究はそれ自体でも価値がありますが、日本語(標準語)や英語といったメジャーな言語を捉え直す上でも貢献が期待できると思います。
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私たちは、教わっていないことをたくさん知っています。「まさきは禿げた頭をしている」は自然な日本語でも、「まさきは禿頭(はげあたま)をしている」は変だと思いませんか。「まさきは禿頭(とくとう)をしている」は全然ダメな日本語ですよね。でも「まさきは禿頭(はげあたま)だ」と「まさきは禿頭(とくとう)だ」はどちらもOKですよね。たとえ「禿頭(とくとう)」という語を今初めて聞いたとしても、それがハゲアタマのことだと分かれば、私たちは初めて聞いた文の良し悪しの判断ができるのです。これが、私たちの頭の中にある、ことばの仕組みです。私は、このように教わったり覚えたはずのない、頭の中の「文法」を研究しています。
COLUMN
ルールはシンプルで、人類共通。
「生まれつきの文法」が言葉をつくる。
言語学・日本語教育専攻
佐野 まさき(真樹)
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言語は、意思伝達のための道具という側面をもつと同時に、人間と他の動物を区別する重要な特質でもあります。私の本来の専門は言語研究(特に(主として)英語の文法)ですが、その研究のために、母語話者が書いた・話した資料を大量に集め、コンピュータ上で処理可能にしているデータベース(「コーパス」と呼ばれます)を重要な研究資料の一つとして使っています。私は従来の方法に加え、コーパスを使うことで初めて暴くことのできる無意識の知識の一端の解明に興味をもっています。もとより言語研究は言語教育を行う際の基礎としても不可欠です。教育の現場で使われている文法に関する記述の改善にも関心をもっています。
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ことばの意味を探究しています。私たちは日々のコミュニケーションのなかで確かにことばの意味を理解し、伝えているのに、未だその形さえよくわかりません。そんなことばの意味を形式的に記述し、それを導き出すための枠組みに関する研究をしています。言語学のなかで意味論とよばれます。このような研究は大量の言語資源から有益な情報を見出す、最近ではデータサイエンスとよばれる応用にもつながります。そして、意味への近接には確率のようなものを使うものもあり(しかも、かなり有用です)、とても学際的です。実際、哲学・心理学・医学・情報学など多様な研究者が関わっており、そんな研究の場は学術分野のるつぼで刺激的です。
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