福山 武志 先生(R-GIRO: 立命館グローバル・イノベーション研究機構)
特に、文系、理系にこだわらずに考えて見ましたが、読書家でもない理系人間なので、文芸の作品には、無案内なのでその点は容赦ください。
『デルスウ・ウザーラ : 沿海州探検行』
アルセーニエフ著(東洋文庫 1965年)
著者のアルセーニエフは、1899年にシベリアのウラジヴォストークに赴任してきた義勇兵部隊の仕官で、軍人です。その彼が、今の沿海州のシホテアリン山脈の道案内に雇ったのが、現地の少数民族であるゴリド人のデルスウ・ウザーラでした。
彼との交流を通じて、ヨーロッパの文化、或いはキリスト文化とは、まったく異質だが、それ自身のもつ深い、素晴らしい知識と自然観に感動したアルセーニエフの紀行文です。
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『チベット旅行記』
河口慧海 [著](講談社学術文庫 1978年)
明治の京都黄檗山万福寺の僧侶のチベット潜行記。当時鎖国状態にあったチベットに仏教の原点を求めて、カリガンダキ(巨峰ダウラギリとアンナプルナの間を流れる)に沿ってトルボからチベットへ抜けた。当時の世界の登山家にとってもまったく未踏、未知のルートでした。63年後(1963年)同じルートを踏査した川喜多二郎達によって、彼の記述の正確さが確認された。
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『ロウソクの科学』
ファラデー著 (岩波文庫 2010年)
科学の本質を知るためには、巨大装置は必要ありません。ローソク1本で、これだけ奥深く楽しい物理が見えてきます。
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『ガモフ全集』
ジョージ・ガモフ著(白揚社)
とりわけ「不思議の国のトムキンス」(Mr. Thompkins in Wonderland), [宇宙の創造」、「太陽の誕生と死」。
「不思議の国のトムキンス」のタイトルは、不思議の国のアリスをもじったもので、トムキンス氏が迷い込んだ世界は、物理の世界というまったくアリスの世界と違うとはいえ、その詩情性、その不思議さは、アリスに匹敵するのではないでしょうか。
私が物理に興味を持つきっかけになった本。「宇宙の創造」は、一般向けであるとともに、宇宙物理に画期的な影響を与えた本であり、この本で宇宙背景放射が予言されているという稀有の本。
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『直接法によるソリトンの数理』
広田良吾著(岩波書店 1992)
同じく立命館大の偉大な元教授(理工学部数物学科-当時)、広田先生の教科書。全編、独創による記述。本質を理解しているといかに物事が平明に記述できるかを如実に示す本。理系のすべての学生に手にとってほしい。
これと同じ程度に全編独創性に満ちた本は、Diracの「The
principle of quantum mechanics] ぐらいしか思い浮かばない。
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『ビーグル号航海記』
チャールズ・ダーウィン著(岩波文庫 1959年-1961年
「ビーグル号航海記」は「種の起源」にいたるいわば野外ノートで、私にはこのほうがずっと面白い。
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『ワンダフル・ライフ : バージェス頁岩と生物進化の物語』
スティーヴン・ジェイ・グールド著(早川書房 1993年)
5億5千年前の海棲動物の化石の物語、翻訳に難があるが、とにかくおもしろい。
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『映画渡世 : マキノ雅広自伝』(天の巻・地の巻)
マキノ雅広著(ちくま文庫 1995年)
立命館の本拠地は京都の衣笠にあるといってもよいでしょう。現在も、授業やクラブ活動で、衣笠に縁のある学生は多いはず。衣笠学舎のすぐ南の等持院には、日本映画の創始者といってもいい牧野省三のお墓もあるようにこのあたりから太秦にかけては、映画にゆかりのある土地である。この本に当時の熱気を感じることができるでしょう。
皆さんもあのあたりを散策してはいかが。
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『近江百山』
近江百山之会著(ナカニシヤ出版 1999年)
皆さんが学生生活を送る草津にも、多くの文化と歴史があります。私はそのことに詳しくありません。ただ学舎から北には比叡、比良の山々、南には湖南アルプスが見えます。ぜひともハイキングを楽しんでください。湖南の竜王山くらいからはじめたらいかが。
それらを終えたら「鈴鹿の山と谷」(ナカニシヤ出版)があります。
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