応用化学基礎演習2 2015/12/2
Mathematicaで3DCG

Mathematicaには色々な3次元プロットの機能がついている。
その細かい機能設定についてはヘルプを参照。

今日の課題はかなり難しいので、できるとこまでやってみる。

課題1 x = sin(at) cos(t), y = sin(at) sin(t)という関数をParametricPlot[ ]を使ってプロットする。ただし、0 < t < 2π、a=1, 2, 3, 4, 5とする。
この際、
Table[ParameticPlot[...], {a, 1, 5}]というコマンドを使用すると、グラフを全部いっぺんに出力することが可能となる。

課題2 中心力により球面上を運動する量子力学的粒子の球面調和関数Yl,ml (θ,φ)を図示してみよう。そのエネルギーはつぎのように表される
 

ここで、I は慣性モーメントであり、l は方位量子数、mlは磁気量子数である。
l = 0, 1, 2, 3, ...であるのに対し、ml = -l , -l +1, ..., 0, ... ,l -1, l である。

エネルギー状態は方位量子数l のみに依存し、磁気量子数mlには依存しないので、波動関数は(2l + 1)重に縮退している。
このような波動関数を球面調和関数Yl,ml (θ,φ)と呼ぶ。

Yl,ml (θ,φ)の形状についてはアトキンスの物理化学(上)p. 358 の表12.3 などを参考にするように。

マスマティカで球面調和関数はSphericalHarmonicY[l, ml, θ,φ]で表される。
これを使ってSphericalPlot3D[...]で3次元プロットしてみよう。
θとφの範囲はそれぞれ、0からπ、0から2πである。

ただし、波動関数そのものだと虚数部があるのでうまく表示できない。
そこでAbs[ ]により絶対値を取り、その自乗をSphericalPlot3D[ ]でプロットする。
つまり、SphericalPlot3D[Abs[SphericalHarmonicY[l, ml, θ,φ]]^2, ...]として、波動関数ではなく、存在確率を図示する。

また、曲面が粗い場合は、PlotPoints -> 50と指定して解像度を上げる。
曲面の全部が表示されない場合は、PlotRange -> Allと指定する。

  1. l = 0のとき、波動関数(ml = 0)の存在確率を図示せよ。
  2. l = 1のとき、縮退している3つの波動関数(ml = -1, 0, 1)の存在確率を図示せよ。
    この際、Table[SphericalPlot3D[...], {ml, -1, 1}]を使用すれば、グラフをいっぺんに出力できる。
  3. l = 2のとき、縮退している5つの波動関数(ml = -2, -1, 0, 1, 2)の存在確率を図示せよ。
    この際、Table[SphericalPlot3D[...], {ml, -2, 2}]を使用すれば、グラフをいっぺんに出力できる。

課題3 つぎは球面調和関数Yl,ml (θ,φ)を用いて、水素原子のs 軌道とp 軌道の方位成分を図示してみよう。

  1. s軌道はそのまんまY0,0 (θ, φ)である。
  2. p 軌道についてもpz軌道はまんまY1,0 (θ,φ)である。
  3. ところが、px軌道とpy軌道はつぎのようなY1,1 (θ,φ) とY1,-1 (θ,φ) の線形結合で表される。
     

(実際の波動関数はこれらと動径波動関数Rn,l(r) をかけ合わせたものになる)
課題1と同様に、Abs[ ]により絶対値を取り、その自乗をSphericalPlot3D[ ]でプロットする。
つまり、波動関数ではなく、存在確率を図示する。

課題4 つぎは球面調和関数Yl,ml (θ,φ)を用いて、水素原子のd 軌道の方位成分を表せ。

  1. dz2軌道はそのまんまY2,0 (θ,φ)である。
  2. ところが、残りのd 軌道はつぎのようなYl,ml (θ,φ)の線形結合で表される。
     

課題1と同様に、Abs[ ]により絶対値を取り、その自乗をSphericalPlot3D[ ]でプロットする。つまり、波動関数ではなく、存在確率を図示する。

課題提出方法: