

研究内容
1. 純液体および混合液体の液体構造
液体中の分子配列は液体物性に密接に関係している。しかし、巨視的物性の研究に比較すると分子レベルでの液体の研究は極めて少ない。溶液X線回折法により液体のミクロな構造を決定し、巨視的物性を分子レベルで解明する。
研究テーマ
- 水−エチルメチルケトン二成分混合液体の構造
- 配座異性体が共存する液体のX線構造解析
- 溶液X線回折法によるトリクロロアセトニトリルの液体構造解析
2. 混合溶液中のイオンの選択溶媒和構造の解析
水溶液中のイオンの溶媒和構造についてはすでに多くの研究がされているが、水と非水溶媒の混合溶媒中のイオンの選択溶媒和についての研究は非常に少ない。EXAFSスペクトルならびに電子スペクトルあるいはラマン測定法と組み合わせから様々なイオンの選択溶媒和に関する構造的知見を得る。
研究テーマ
- AN−TMU混合溶媒中におけるNi(II)およびMn(II)イオンの選択溶媒和構造
- FA−およびNMF−TMU混合溶媒中におけるCo(II)イオンの選択溶媒和構造
- AN−HMPA混合溶媒中におけるNi(II)イオンの溶媒和構造
- 水−DMFおよび水−DMA混合溶媒中におけるZn(II)イオンの選択溶媒和構造
3. 溶液中のイオンの溶媒和構造の解析
水溶液中の金属イオンの溶媒和構造に関する数多い研究例と比較すると、非水溶媒中の金属イオン・陰イオンの溶媒和構造についての研究例はまだ少ない。主として溶液X線回折法やEXAFS法により、イオンの溶媒和構造に関する知見を得る。
研究テーマ
- 種々の溶媒中におけるカリウムイオンの溶媒和構造
4. 溶液中の錯体のX線回折及びEXAFSによる構造解析
水溶液及びいろいろな非水溶媒中の錯体の構造を溶液X線回折法及びEXAFS法を用いて研究し、溶液反応の熱力学的データとの関連を研究する。これまで多くの金属錯体の構造解析を行ってきたが、現在は複雑な構造を持つ錯体や非水溶液系中で生成する錯体の構造を中心に研究を行っている。
研究テーマ
- イオン液体1-ブチル3-メチルイミダゾリウムクロリド中におけるFe(II)phen錯体の構造
- ピコリン酸及びその誘導体を配位子とするオキソバナジウム(IV)錯体の溶液内構造
5. 溶液中の錯形成反応の熱力学的研究
吸収スペクトル測定や熱量測定により溶液内平衡を研究し、錯形成反応の熱力学的パラメータ(自由エネルギー、エンタルピー、エントロピー)を決定する。得られた結果は、生成する錯体の構造化学的研究と関連させて、分子レベルで説明する。
研究テーマ
- 水−DMF混合溶媒中におけるCo(II)チオシアナト錯体の生成と構造
- TMU中におけるFe(III)チオシアナト錯体の生成と構造