画用紙に残された、あのころ 舞鶴市立明倫国民学校梅田学級児童画展

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開催趣旨

昨年6月に国際平和ミュージアムへ寄贈いただいた舞鶴市明倫国民学校梅田作次郎学級児童画は、1939年から1944年当時の軍港都市における国民学校での、系統的で熱心な図画教育の所産であるとともに、子ども達の生活をも伝える貴重な歴史・民俗資料でもあります。

この展示の趣旨の一つは、梅田先生の絵画指導の教育史的側面にスポットをあてることにあります。絵画そのものにより、一人の教師による指導の成果や児童の成長過程、児童画の技法や材料について垣間見ることができます。同時に、尋常小学校から国民学校への移行期における、梅田先生の指導や明倫国民学校の教育方針、図画教育指導方向の変遷などの歴史的位置けも明らかにしていきます。 そしてもう一つは、児童画を通して地域の様子、学校行事、家での暮らし、読み物、遊びなど、戦時下の舞鶴という地方都市での子ども達の生活を、とりわけ若い世代に対して伝えることです。当時を描いた絵やその他モノ資料に触れることで、現代とは異なる生活スタイルや過去の歴史を学ぶことはもちろん、戦争や平和、そして未来について、みずから感じ取り、考える機会を与えるような展示構成とします。春の舞鶴展では、舞鶴市のご協力を得、5日間の会期にもかかわらず、高齢世代から若い世代まで多くの方が来場され、ご覧頂くことが出来ました。11月の京都会場においても、幅広い世代に対して語りかけられるような、意義深い特別展にできれば、と思っています。 またこれを記念し、11月17日(日)には、梅田学級元児童で、現在は京都大学名誉教授であられる 布川 昊氏(数学教育がご専門)と、本学社会人学生 吉田ちづゑ氏よる講演会を予定しています。   ぜひこの機会に多くの皆さまのご来場、ご見学を心よりお待ちしています。

記念講演会

11月17日(日) 14:00~16:30
立命館大学国際平和ミュージアム K209会議室
講師  ●布川 昊 氏(元明倫国民学校梅田学級児童)
1996年京都大学工学研究科定年退官、名誉教授
元詫間電波高等専門学校校長(研究・専門テーマは、制御理論・数学教育)
●吉田 ちづゑ 氏(立命館大学卒業論文で梅田学級児童画を研究)

図画をはじめ梅田学級で行われた授業を軸に、当時の歴史的背景や現代にも結びついた教育法、子どもの成長について等、多面的な内容を予定しています。

展示構成

Ⅰ 図画教育の変化と梅田作次郎先生の指導…各学年時の作品や関連資料で構成
・図画教育の変化;図画教科書の変遷(実物展示・コピー閲覧)、図画の題材の比較表
・1,2年生~大きく、にぎやかに教科書「尋常小学図画」自由画
・3,4年生~移行期;国民学校制度導入過程(教科書改訂)での題材、画風の変化
・5,6年生~画一化へ;戦争の影響の強い教科書、指導のもとに描かれた作品
・梅田先生の児童教育~研究物から;京都師範学校研究科時代の研究物
・「一バンハヂメ一バンヲワリ」一年生時の成長記録⇒低学年期教育指導の影響の大きさ
Ⅱ 図画の技法の変化…特徴的な作品や、当時の道具のなども構成(体験)
・クレヨン;日本にもたらされた成立ち  線から面へ (低学年期の作品)
・クレパス;技法や表現の多様性(中学年期の意欲的な作品中心)、山本鼎の自由画運動
・水彩;墨との併用(時代性)
・毛筆;日本文化や歴史性を重視した題材
・模写;絵画技術の習得(訓練)、国民精神の涵養(歴史画、俳句短冊)
・構図;低学年期の構図の捉え方、「見取り枠」 技術的成長過程
Ⅲ 舞鶴という都市 -その時代背景―
①鎮守府の設置:東舞鶴の発展 そして西舞鶴への影響
②大正期の軍縮:鎮守府の廃止 舞鶴の変化(都市としての停滞期)
③満州事変から再び戦争の時代へ:舞鶴工廠、鎮守府の復活⇒軍都舞鶴の復活発展
*児童の成長(誕生前も含めて)と照らし合わせて
Ⅳ 児童画にみる子どもの暮らし
・学校;体操の時間・運動会・相撲・学芸会・戸外授業 (学校日誌や写真等を交え)
・遊び;木登り・海・野球・つくし採り・雪遊び (当時の遊び)
・家庭生活;夕涼み・餅つき・冬の団欒・ひなまつり (家族構成や生活スタイル)
・地域;西舞鶴商港・ヨイトマケ・夏祭り・地蔵盆・基地・出征見送り(舞鶴の成立ちや特色)
・戦争;戦争画の影響(当時の読み物や娯楽・関心ごとにも)

*児童画:約150点 (全作品に作者・タイトル 一部作品には短い解説付)
*その他資料:写真 児童作文 梅田氏研究文 明倫国民学校日誌 教科書類当時のモノ資料など
*解説パネル:平易な表現・ルビ等・ワークシート形式のトピックスなど

  

春 期

会 場 舞鶴市西駅交流センター 3階ホール
会 期 2002年4月18日(木)~22日(月)
主 催 立命館大学国際平和ミュージアム
共 催 舞鶴市、舞鶴市教育委員会
後 援 舞鶴市立明倫小学校
参観者 812人

秋 期

会 場 立命館大学国際平和ミュージアム 中野記念ホール
会 期 11月1日(金)~12月1日(日) ※月曜休館
主 催 立命館大学国際平和ミュージアム
後 援 京都府教育委員会
協 力 舞鶴市立明倫小学校
開館時間 9時30分~16時30分(入場は16時まで)
参観者 4,953人

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