連続リレー講義「現代社会と宗教―世界編―」後期第6回・スワミ・アグニヴェッシュ氏
12月13日(水)、衣笠キャンパスにてリレー講義「現代社会と宗教−世界編―」後期第6回目が行われた。今回は、インド生まれのヒンズー教徒で国連奴隷現代フォーラムファンド議長のスワミ・アグニヴェッシュ氏が、現代のインドにおける差別について語った。
スワミ・アグニヴェッシュ氏は、初めに「ナマステ」と聴講者にあいさつし、これは信仰に関わらず、みな平等に相手の中にある神に敬意を払い、自らの気持ちを捧げる行為であることを説明した。そして、現代社会の問題である様々な差別と、インドで今なお根強く存在する人種的・階級的差別であるカースト制度を強く批判し、これは自らが重要視する創造主「ヴェーダ」の思想に反するものとした。「ヴェーダ」の思想とは、私達全ての人間に水や空気が与えられ、愛と真実と慈悲深さの要素も持ち合わせているように、人間が平等を保つことこそに美しさがあり、その美しさを追求することが、心の中に平和と幸せを実現させる唯一の方法であるとするものである。この教えを基に、これらの差別を取り除くことが、私たちの共通の使命として重要であることを述べた。
また人間が作り出す全ての差別をなくすためには、世界がダルマによって結び付けられる大きな1つの家族になる必要があるとした。世界が1つの家族になれば、資本主義がもたらした競争社会の消費者市場は変わり、弱者にとって生きてやすい、より公平で平等な世界が実現すると強調した。さらに、この世界を実現させるために私たちができることとして、自らの欲を乗り越え、人間としての心の中の改革を成し遂げることが必要であると語った。
聴講生達は、男尊女卑の差別がもたらす悲惨な現状や、ダリという結納の制度によって殺された女性の事など、普段真剣に聞き入っている様子であった。
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