Ritsumeikan News
  立命館ニュース

連続講座「国民国家と多文化社会」第13シリーズ「東欧世界は20世紀をどう生きたか?」第2回「歴史ー教科書問題」




連続講座「東欧世界は20世紀をどう生きたか」第二回<バルカンで進む歴史教科書を通じての和解の試み>の講演会が11月15日(金)、創思館カンファレンスルームにて行われた。講師は東京大学教授 柴宣弘氏。

柴氏は「ベルリンの壁が崩れ落ち、鉄のカーテンが引き下ろされたとき、多くの人々が抱いた希望の裏側で、東欧世界がどうあったかをみなさんに認識してもらいたい」と語り、民族問題や歴史問題について写真なども交え、わかりやすく解説した。そもそもユーゴスラヴィア紛争を契機に、バルカン諸国で歴史教科書の記述に関する和解の試みが始まったが、未だ「バルカン」と「ヨーロッパ」の扱いは異なったままの国もあるという。「だがクロアチアとセルビアの歴史家同士の対話など、時代を経るごとに『和解』の場は増えつつある。『和解』の場の設定こそが、歴史教科書問題を解決する第一歩なのだ」と柴氏は語った。

引き続き、コメンテーターとして名古屋大学教授近藤孝弘氏、大阪大学講師 水野博子氏が対談し、「歴史教科書問題をめぐる闘争を繰り返す事で、スタンダード化するヨーロッパの歴史認識に、よりよい刺激を与えられるのでは」と結んだ。

政策科学部3回生の泉川和廣さんは「ユーゴスラヴィアの歴史は『征服した』とか『された』とか、とにかく争いが多いイメージがあったが、各々の国が『ジェンダー史』や『子供史』などを学び、少しずつ和解しようとしている事を今日初めて知った。自分の知識不足を痛感したが、今日の講演会に来て本当に良かった」と笑顔で語った。