「プレジャードーム」について語る梶塚千春氏
 
梶塚千春氏と開発に携わるデザイナー等とのディスカッション
 
 
デジタル環境下の芸術研究会
「次世代ブロードバンドコンテンツの展望 −拡張する仮想空間−」
 
 1月16日(金)、デジタル環境下の芸術研究会による「次世代ブロードバンドコンテンツの展望 −拡張する仮想空間−」が衣笠キャンパスのアート・リサーチセンター多目的ホールにて行われ、デジタルクリエーターの梶塚千春氏による講演などが行われた。

 第1部の梶塚千春氏の講演で、「現在のインターネットから、今後は世界を発信、共有、拡張する時代へ」という持論が紹介され、インターネットの次のフェーズでは、IT業界には更なるビッグバンが起こり、インターネット上に新たな世界が構築されるのではないか、と説明した。インターネット上の新たな世界とは次のようなものである。
 それは、それぞれのユーザーが参加・集結し、独自の現実的な世界や世界観を作り上げ、「コネクタブルリアリティ」として、社会的に存在する新しい世界。それぞれのユーザが強固に連帯しネットを介して実効的な世界を作り上げるというものだ。
 また、この「コネクタブルリアリティ」の技術を利用して作られた「プレジャードーム」についての説明もあり、「プレジャードーム」とは、「インターネット上にある仮想の3D世界にバーチャルモール(ネット上の店舗)やインフォテリング型コンテンツ(ゲームやストーリーなど)があり、その街をアバター(自顔や髪形、体格や服装などを細かく設定でき、自分自身の分身として、仮想の世界を自分の代わりに動き回るキャラクター)がシームレスに動き回る」というものである。会場では実際に「プレジャードーム」の中を動き回るデモストレーションも行われた。「プレジャードーム」は、平成14年度経済産業省コンテンツ作成基盤技術等開発事業次世代メディアデジタルコンテンツ製作支援事業の助成を受けて開発されたものである。

 また、第2部では梶塚千春氏の他に「プレジャードーム」の開発に携わっているデザイナーなどと共にディスカッションが行われ、「デジタルコンテンツながら動きのあるものであり、コネクタブルリアリティは作り手のメッセージを伝えるには魅力的な方法だ」と述べられた。また、参加者からは「実際にサービスが始まったらユーザーが参加するのか?」という質問には「オーサリングツール(デザインやレイアウトを行うソフト)を提供し、簡単に使えるようにしたい」と解答した。

 現在の平面的に構成されているインターネットから、3Dの空間を動き回る世界へと変化するのか。日本発の新しいムーブメントになるか。鍵となる「コネクタブルリアリティ」と「プレジャードーム」はこの春、試験サービスが開始される予定だ。