政治報道について語る筑紫哲也氏
 
 
「政治家養成講座」「報道・ジャーナリスト講座」
特別講演会『政治と報道−外交とメディアの現場から−』開催
 
 6月19日(土)、衣笠キャンパス 以学館2号ホールにて衣笠エクステンションセンター主催による特別講演会「政治と報道」が行われ、本学客員教授である福岡政行氏の司会のもと、ジャーナリストの筑紫哲也氏と外務副大臣の逢沢一郎氏が講演を行った。

 エクステンションセンター衣笠副所長の山本隆司教授によるあいさつの後、福岡政行氏が本講演会について説明を行い、そして筑紫哲也氏が「政治とテレビ報道」というテーマで講演を行った。
講演の中で、筑紫氏は「TVとは一方的なメディアであり、非民主的である。インターネットは双方向性があり、私はメディアの民主化だと思っているが、インターネットは人間の劣情、他人の悪口を楽しく思う感情が非常に強く出ていると思う」と述べた。「現在の報道は、一つの方向に走りだすと、そのまま走り続けてしまう」と現在のメディアについて批判し、「テレビは、人間の劣情を認めた上で報道され、特に政治の報道においては、そうでなければならない」と、政治報道と人間の感情についても言及した。また、イラクの人質問題について「自己責任というバッシングは国家至上主義であり、民主主義ではない」と批判すると同時に「日本の今後はあやうい。日本は崩落する」と、日本の未来に警鐘を鳴らした。
 次に、逢沢一郎氏は「イラク問題とテレビ報道」というテーマで講演を行った。逢沢氏は自らの「外交の現場」という立場から講演した。逢沢氏は、冒頭で先日の小泉首相再訪朝の件に触れ、「政治家はテレビの怖さを知っている。プラスの効果も大きいが、マイナスの効果も大きい」と語り、「家族が帰国したあの日、拉致議連と首相の対面の場に報道を入れるかどうかで議論となり、首相の決定でカメラを入れた。もしもカメラを入れていなければ、世間からはマイナスの評価を受けていたのだろう」と、マスコミの対応の裏話についても話した。また、イラク人質問題については「現地の対策本部として、毎朝会見を行わなければならなかったが、すべての状況を話す事が出来る状況ではなかった。問題が解決した今でも、すべてを話せる訳ではない」と外交の難しさについて語った。最後に「外務省は日本の国益を守り、さらに向上させる努力を行っている。みなさんも、日本の政治にもっと興味を持って欲しい」と今後の見通しについて述べ、講演は終了した。

 講演の後、2人の講演者に対して活発な質疑応答があり、600人を超える入場者のあった本講演会は、大盛況の中、幕を閉じた。