知里幸恵の功績を語る津島佑子氏
講演会の様子
立命館大学公開講演会「女が書く−知里幸恵と女性文学」開催
5月29日(土)、衣笠キャンパス以学館1号ホールにおいて、立命館大学公開講演会「女が書く−知里幸恵と女性文学」が行われた。
講演会には、日本の先住民であるアイヌ民族に伝わる口承文芸のフランス語訳の監修を手掛ける、作家の津島佑子氏が講師として招かれた。
津島氏は、自身の作家になることの劣等感や経験を述べた。そして、日本が大和朝廷時代から続く天皇中心の政権で支配されていた歴史において、征服された側の人間が女性として、その文化を描くことの重要性について語った。
アイヌ民族に伝わる口承文芸を記録し、日本語訳にした知里幸恵氏に関して、当時、対等な立場で、日本語とアイヌ語を並べ、本を書いた彼女のプライドや、病気に伏せながらも、自分の仕事を全うした姿を賞賛した。
最後に、津島氏は、「時代に埋もれた差別や女性を通して、『私』という個人が、その周りの社会を描くことにより、現代の民族差別や社会差別を根本的に見直すことができる。それが、これからの文学である」と説明した。
現在、国際平和ミュージアムにおいて、国際平和ミュージアム特別展「銀のしずく降る降る‐知里幸恵『アイヌ神謡集』の世界」展が開催されている。
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