講演会の様子
 
サントリー不易流行研究所部長、佐藤友美子氏
 
 
キャリア形成論オープン講演会「働くことと自己実現」開催
 
 6月30日(水)、衣笠キャンパス 以学館2号ホールにおいて、前週に引き続き第2回目となるキャリア形成論オープン講演会「自己との対話〜社会とつながる学びを求めて」が開催された。今回は「働くことと自己実現」をテーマに、サントリー不易流行研究所部長・佐藤友美子氏が講演を行った。

 佐藤氏は、昭和50年に本学文学部を卒業後、サントリーに入社。現在は目先の利益にとらわれずに生活の楽しみを追求する、不易流行研究所の部長として活躍する一方、二児の母でもある。
 前半では戦後から昭和50年代までを10年ごとに分け、それぞれの時代に生まれた人たちの「世代の気分」について述べた。その中で、上の世代の人は『世間の評価が自分の評価』としていたが、今の若者は『自分が自分らしくいられる方が大事』という価値観の変化について語った。そして「学生たちの親の世代である昭和20〜30年代に生まれた人たちは、人生に選択肢はなかった。親たちは今までの人生に『やり残し感』を抱いている。だから、彼らは子供にはしたいことをしてほしいと願うが、若者が定職に就かないことを助長している」とフリーター問題について指摘した。また、「今の若者はクリエイティブだが、イマジネーションがないデジタルな人間」と話し、相手の気持ちがわからない人が増えていることを強調した。
 後半は若者にとっての仕事に焦点を当てて語った。『好きなことを仕事にする』場合と『とりあえず就職した』場合の例を挙げ、「好きなことを仕事にするとお金にならない。とりあえず就職すると充足感がない。だから『仕事を好きになる』ことが重要。仕事が好きな人は自分のスタイルや美学を持っている」と述べ、自分の良さを知るためにも社会に出ようと呼びかけた。
 最後に、「自分探しとは自分の内面をみることではなく、社会の中で自分について考えることだ」と佐藤氏は強調し、講演は終了した。

 その後、文学部 春日井教授の進行により質疑応答が行われた。留学生やBKCの学生を含む約200人は、将来に直結する問題に活発に意見の交換がされ、興味深く聞き入っていた。