ミューソリューションズ事業部長 井村亮氏
 
講義の様子
 
 
キャリア形成科目「技術者のキャリア」リレー講座
井村亮氏『世界最小の無線認識IC"ミューチップ"事業化への挑戦』
 
 2004年10月19日(火)、立命館大学びわこ・くさつキャンパス(BKC)で、日立製作所との教育研究に関する包括協定に基づくキャリア形成科目「技術者のキャリア」の一環として、ミューソリューションズ事業部長 井村亮氏を招いて「世界最小の無線認識IC"ミューチップ"事業化への挑戦」というテーマで講演が行われた。

 まず、井村氏はミューチップについて、「情報社会が急速に発展する中、日立製作所は社内ベンチャーを立ち上げ、数年前からICタグのミューチップの開発、事業化に取り組んできました。ミューチップは、呼び出し専用メモリーを持つ無線認識ICです。もともとは紙幣偽造防止の為に紙幣に織り込むことを目的としていた為、その大きさは縦横0.4mm、厚さ100ミクロンという世界最小サイズです」と説明した。そのミューチップは、日本経済新聞社から最優秀製品賞を受賞し、今では世界各国から15,000件を超える問い合わせが殺到するほど注目を浴び、井村氏はそのプレゼンに海外を飛び回る日々であるという。「今後はアンテナ内蔵型のミューチップの更なる開発を進めていきます」と井村氏は意欲を見せた。

 現在ミューチップはID管理、医薬品管理、ブランド品管理、食品管理や鋼材などの様々なソリューションに応用されている。2005年に開かれる日本国際博覧会(愛知万博)の入場券にもミューチップが使用されており、偽造券の防止やスピーディな入場受付、個々に対応した情報提供など幅広く役立てられている。このミューチップ入場券は、例えば誤って洗濯機に入れてしまい、入場券がぼろぼろになってしまったとしても、ミューチップ自体の機能は有効である。また、その機能は、実験結果により約100回繰り返しても確証されているほど、信頼性の高いものになっている。

 最後に、井村氏は「我が社の技術力は素晴らしい、と誇れますが、それを『顧客の欲しい形』にしていくことが課題であると思います。顧客の安全性、信頼性に応える商品を送り出していきたいです」と抱負を述べた。