シンポジウムの様子
会場の様子
シンポジウム「よみがえる日本映画―映画復元の現在、フィルムとデジタルの融合」開催
3月9日(水)立命館大学衣笠キャンパス以学館2号ホールにて、シンポジウム「よみがえる日本映画―映画復元の現在、フィルムとデジタルの融合」が開催された。このシンポジウムはアート・リサーチセンター/21世紀COE京都アート・エンタテインメント創成研究主催で行なわれ、IMAGICAウェストの大坪秀夫氏、京都府京都文化博物館 学芸員の森脇清隆氏、東京国立近代美術館フィルムセンター研究員の常石史子氏、NTT未来ネット研究所の石丸勝洋氏らが講演を行なった。
第1部では、復元された「三朝小唄」が上映された。「三朝小唄」は、1929(昭和4)年にマキノ映画から鳥取県三朝町に贈呈された貴重な可燃性フィルムである。今回、東京国立近代美術館フィルムセンターの下、株式会社IMAGICAウェストが当時の映像の復元化を行った。
第2部では、復元事業に携わっている専門家による、映画復元シンポジウムが開かれた。京都府が復元を進めてきた「祇園小唄 絵日傘 狸大尽」やフィルムセンターの「新・平家物語」などが上映され、復元前後の違いの比較がなされた。大坪氏は「復元には資金と時間がかかるが、古くなった1コマの絵が復元により映像となり生き返ることがすばらしい」と述べ、可燃性フィルム映画を再び復元し、作品を後世に伝えていくことの大切さを強調した。また石丸氏からは、デジタルシネマ配信システム、ハリウッドのデジタルシネマ技術が紹介され、現在の映画技術の発展がうかがえた。
パネルディスカッションでは、立命館大学文学部の冨田美香助教授の司会により、国内のフィルムアーカイブス市場の未成熟さや映画復元市場の基準をどこにおいていくかなどについて議論がなされた。今後、人々に作品の重要性を伝え、旧作市場を活性化させていくことが必至であるという課題が明確になった。
会場には各地から多くの映画関係者、一般聴講者が訪れ、フィルムアーカイブスに対する関心の高さが伺えた。
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