受賞について語る西 成彦教授
 
 
西 成彦教授(先端総合学術研究科)が平成16年度芸術選奨を受賞  
 
 2005年3月15日、立命館大学先端総合学術研究科 西 成彦教授が、文化庁より評論等部門で、平成16年度芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞し、赤坂プリンスホテルにて贈呈式が行われた。芸術選奨とは芸術の各分野において優れた活動をした人に贈られるもので、今年度は俳優の宮沢りえさんや雅楽師の東儀秀樹さんといった各界の著名人も受賞している。西教授の受賞作となった「耳の悦楽 ラフカディオ・ハーンと女たち」(紀伊國屋書店)は、ラフカディオ・ハーン(1850-1904 日本国籍取得後は小泉八雲)と彼に関わりのある女性たちの人生と心をすくい取り、鋭く描いたもので、長年のハーン研究に基づき、女性の語りがハーンにとって重要な意味を持つという部分に主眼をおいた作品。「微かなものを的確に捉える繊細な文体と、それを背後から支える強靱な思考は称賛に値する」(文化庁HPより引用)として高く評価された。

 西教授は、1997年本学文学部教授に就任、1999年より主に比較文学関係の科目やゼミを担当し、2003年4月より先端総合学術研究科にて比較文学を研究。2000年4月から2004年3月まで国際言語文化研究所所長も務めた。これまでに、熊日文学賞、宮沢賢治賞奨励賞、日本比較文学会賞など数多くの賞を受賞しており、日本文学・英文学・フランス文学という枠を越えて、一民族一言語・一国一文学史という文学研究の枠がもたらす錯覚をただす研究を行っている。今回の受賞に関して西教授は、「ハーンについて下知識のない人たちにこそ、この本を手にとってもらい、世の中の見方が変わってもらえれば、自分の培ってきたものが世に還元できるのではないか」としている。