会場の様子
 

講義を行う水谷幸正氏
 
 
2005年度リレー講義「現代社会と宗教」
第6回「21世紀・共生の時代」
 
 5月16日(月)、衣笠キャンパスにおいて、連続リレー講義「現代社会と宗教」の第6回講義が行われ、元佛教大学学長で浄土宗宗務総長の水谷幸正氏が「21世紀・共生の時代」をテーマに講義を行った。

 水谷氏は冒頭、「宗教が問われるこの時期に宗教講座が大学という空間で開かれるのはとても有意義なこと」と切り出した。同氏はまず、時代の中の宗教として、20世紀の一時期、仏教が国家仏教として当時の政府が進める戦争に加担したことを率直に反省しなくてはならないと述べた。この中で同氏は、こうした反省に立ち、仏教のあり方を考えるとき、21世紀に仏教が目指す社会を真剣に問わねばならず、昨今の社会情勢の中で、それは共生社会であるのではないかと述べた。

 さらに、この共生の時代を築くために、まず自己の厳しい反省と、他者への感謝の心が重要であることを教育(共育)していかなくてはならないと述べ、そういう意味で仏教は人間共育を説くことが求められているとした。

 受講生からは、「共生社会の中で、既に複雑化した各宗派はどのように貢献すべきか」との質問が寄せられた。これに対し水谷氏は、「各宗派は決して争っているのではない。総論よりむしろそれぞれの各論に対して各論ごとに適切な指導ができればよいのではないか」と答えた。