新潟市 篠田昭市長
 

学生の質問に応える篠田昭市長
 
 
リレー講義「自治体外交の挑戦 〜市町村長、わがまちの国際戦略を語る〜」
第8回「北東アジアへの新たな旅立ち〜新潟市の主な対岸交流〜」
 
 6月10日(金)、衣笠キャンパスにて「自治体外交の挑戦 〜市町村長、わがまちの国際戦略を語る〜」の第8回目講義が行われ、新潟市の篠田 昭市長が「北東アジアへの新たな旅立ち〜新潟市の主な対岸交流〜」をテーマに講義を行った。

 講義の中で篠田氏は、環日本海運動に触れ、「新潟市は従来、日本海に面し、アジア地域での海上交通の拠点としてその役割を果たしていたが、鉄道に物流の主流が移ると、太平洋側の地域や北九州地域へも鉄道が結ばれ、新潟は裏日本と呼ばれるようになった。そこで、対岸の国々とともに繁栄していくという道にたどり着いた。少しずつ新潟とこれらの地域との交流が始まり、昭和39年の新潟地震がその発展の大きな契機となり、新潟市はソ連のハバロフスク、後にはウラジオストクとも姉妹都市提携を結び、両市と航空路を築くに至った」と、経緯について語った。現在、中国のハルビン市とも航空路を築き、ハバロフスク、ハルビン、新潟の3市で2001年から定期的に環境会議を開いている。

 新潟では「世界とともに育つ日本海政令市」「大地と共に育つ田園型政令市」「地域と共に育つ分権型政令市」という合併マニフェストを作り、新たな政令指定都市を目指している。また一方で、北東・東アジアの経済開発の一翼を担い、上海との食を基にした交流、黒龍江省の三江平原における農業開発の支援、中国の食糧生産力の向上に貢献する。篠田氏は、「現在、中国は食糧輸出国から輸入国に大幅に転化し、世界の需給バランスが崩れかかっている。高食糧自給率の政令指定都市として、スローライフ・スローフードを提唱できる国際都市を目指していく」と今後の展望を述べた。

 講義を受けた戸松 朗さん(国際関係学部2回生)は、「自分は新潟県の出身だが、合併することによって食料自給率日本一になることまでは知らず、それを維持していくために市長がしっかりとした政策を持っているということも分かり、とても勉強になった」と感想を語った。