ハワイ大学準教授ディビッド・T・ジョンソン氏
による基調講演
大勢の聴講者が会場に集まった
法と心理学会第6回大会 特別公開企画
「取調べの可視化」講演会・シンポジウム
10月16日(日)、衣笠キャンパスにて、「取調べの可視化」講演会・シンポジウムが行われた。これは「法と心理学会第6回大会」の一環として行われ、昨今の司法制度改革において課題とされる警察での「取調べ問題」に焦点を当て、取調べの可視化論に関して法学と心理学のあいだで対話を重ねることを目的として開催された。
第1部では、ハワイ大学準教授ディビッド・T・ジョンソン氏による基調講演「風向きを知らせるための天気予報官は要らない:取調べ録音に関する、米国および韓国からの教訓」が行われた。ジョンソン氏は、世界と比較し日本の取調べがいかに閉鎖的で秘密裏であるかを述べ、改革すべきだと主張した。また、過去数十年のうちに取調室の透明性が増してきたアメリカと韓国を取り上げ、その発展と理由を説明した。そして、世界でおこっている取調べの録音・録画の改革の風が、日本の警察と検察官にも取調室の扉を開かせることを願い、その上で日本が何をすべきなのかを提案した。
第2部では、高木光太郎氏(東京学芸大学)、渡辺修氏(甲南大学)、小坂井久氏(弁護士・日本弁護士連合会 取調べの可視化実現委員会事務局長)に加えて元刑事事件被告人であるYさんをまじえ、シンポジウムが開かれた。
小坂井氏は、日本の取調べの過程では、事実がゆがめられ、多くの冤罪を生みだす可能性が高いことを問題とし、「これを解決する第一歩が取調べ室の改革、つまり可視化なのである」と可視化の重要性を述べた。渡辺氏も海外で取調室の可視化が実施されている国と日本を比較し、日本の問題点を指摘。可視化の有効性を発表した。
一方、Yさんは、実際に取調べを受けた立場から、取調べの可視化だけでは不十分であると反論。代用監獄(留置所)での身柄拘束の禁止が伴わなければならないと主張した。高木氏も、心理学者として取調べの調書を分析してきた経験から、「日本の取調べシステムは可視化だけでは解決できない問題が絡み合っており、可視化だけでは不十分だが、取り調べのシステムを変える第一歩とはなるだろう」と述べた。その後、質疑応答が行われ、閉会した。
会場に集まった一般聴講者・学生・学識研究者など多くの参加者は、配られた資料にメモをとりながら真剣なまなざしで講演に聞き入っていた。また、講演後は時間ぎりぎりまで会場から積極的に質問の手が挙がっていた。
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