講演する香山リカ氏
講演後のサイン会にも多くの学生が集まった
香山リカ氏 講演会 開催
12月9日(金)、衣笠キャンパスにて、精神科医で帝塚山学院大学教授の香山リカ氏による講演会とサイン会が行われた。立命館生活協同組合が主催した本講演会は、香山氏の最新刊「いまどきの『常識』」(岩波新書)の発売を記念して行われ、「仕事をするのは何のため?」をテーマに講演が行われた。
壇上に立った香山氏は、なぜ精神科医が就職や仕事について語るようになったかを自らの経験に基づいて説明した。その中で、一部の学生が就職活動をする前から「就職活動が怖い」「自分が就職しても、周りに迷惑をかけるだけだ」と敬遠したり、不安を訴えていることを挙げ、自尊心が低く、心理的に就職から遠のいている今の学生の現状について指摘した。さらに、「彼らは一方では自己肯定感がないものの、微かな万能意識を持っており、『私にしかできない仕事がきっとあるはず』と信じ、気の進まない職種には就こうとしない。このような2つの気持ちに引き裂かれているのは、精神科を受診する若者が抱えている問題と本質的には何も変わらない。就職の問題に関しても精神科医である私に何かできるのではないかと思った」と述べた。その後、質疑応答が行われ、活発な意見交流がなされた。
講演会後にはサイン会が行われ、70人あまりの学生がサインを受け、握手を交わした。
講演を聴講していた仲野恵さん(経営学部2回生)は、「香山さんの著作をいくつか読んでおり、宣伝チラシを見てびわこ・くさつキャンパス(BKC)から来ました。今日の講演で『自己肯定感が低い』というお話が出ましたが、私自身、興味のあるテーマだったので、いろいろと考えるツールをいただけたように思います」と話した。奥出修平さん(法学部4回生)は、「精神科に来る人と就職しない人との心理の共通性があるということが興味深かったです」と感想を述べた。
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