2007年7月21日で、制定から1年となる立命館憲章。
立命館で学ぶ私たち在学生は、この立命館憲章をどのようにとらえ、どのように活かしていけば良いのでしょうか。
立命館憲章制定1周年を目前にし、今後の展望などを含め、川口清史総長にお話をうかがいました。

「立命館憲章」[→PDF]
大西

2006年7月21日に100年を超える立命館の歴史的到達点を踏まえ、立命館のミッションと学園運営の基本方向を示した「立命館憲章」が制定されてから約1年が経過しました。
原案作成の段階から携わられた川口総長からこの憲章制定の経緯をお聞かせください。

川口総長

この間、立命館が総合学園として発展していくなかで、時代と社会に真摯に向き合う、立命館の真のメッセージを社会に発信する必要があると感じたこと。そして小学校から大学院までを持ち、かつ多くの留学生や外国籍の教員も在籍している多様な立命館学園を構成するすべての人が共有できる価値観を具体的に示すべきだと考えたことが発端です。
私立大学にはそれぞれ「建学の精神」や「教学理念」がありますが、抽象的なものも多くあります。だからこそ、学生に常に立ち返ってもらえるような、そして大学の政策判断の基礎となる指針として、この立命館憲章を制定しました。

高橋

憲章にこめられたメッセージついて詳しく教えていただけないでしょうか。

川口総長

憲章中の第一節では、立命館の歴史的な到達点を述べており、ここには今日まで脈々と受け継がれている「立命館スピリット」が凝縮されています。立命館という校名は「孟子」の一節から取ったもの[リンク→立命館歴史再発見ツアー 衣笠キャンパス]ですが、孟子は彼が生きた戦乱の時代でも「生きている間はわが身の修養(勉強)に努めて天命を待つのが人間の本分」であると説きました。同じく激動のときであった明治初期に学祖・西園寺公望が校名に「立命」の名をつけたのも、その孟子の精神と呼応していたからだと思います。この由来からもわかるとおり、立命館は常に時代に真摯に立ち向かってきました。また第二次世界大戦後に「平和と民主主義」を教学理念に掲げたことも立命館としての大きな主張です。

第二節では立命館学園の目標とその運営のあり方を述べています。グローバリゼーションが進展する中で、アジア・太平洋地域での立命館の立ち位置を明確にしなければなりません。その際に「相互理解と共生」がキーワードになります。それに対して、ローカルな面も忘れてはなりません。地域にしっかりと根を張り、大学内での連携はもちろんのこと、大学間の連携、附属校をはじめとした初等・中等教育との連携・産業界など社会に広がる幅広い連携を行い、なおかつステークホルダーと良好な関係を築くことも大切です。

第三節では理念の確認をしています。末川博名誉総長の「未来を信じ、未来に生きる」[リンク→立命館歴史再発見ツアー 衣笠キャンパス]という言葉は、自身と社会の未来のため情熱をもって学業を行うことの大切さを表しています。また次の時代を創る担い手として、創造性、時代を先読みできる視野の広さ、洞察力を持った人材を輩出するのが立命館大学の努めであり、それを明文化したものが立命館憲章といえるでしょう。

大西

憲章の内容が立命館の具体的な取り組みに反映された例はありますか?

川口総長

立命館ではいろいろな取り組みを行っていますが、そのいずれもがこの憲章に基づき、志・信念をもって取り組んでいるということを学生に理解してもらいたいですね。例えば開学以来のべ98カ国・地域から国際学生を迎え入れ、教員・学生共に外国人が約半数という多言語・多文化環境のなかで日本人学生、国際学生がともに学びあう立命館アジア太平洋大学(APU)の開学はもちろん、2007年度に開設した映像学部では教学的発展のみならず、日中文化交流の推進や文化研究の興隆ならびに国際ネットワークの形成において大変有意義であるということで陳 凱歌氏に客員教授に就任していただきました。これは憲章中の「国際相互理解を通じた多文化共生の学園を確立する」という記述に対応しているでしょう。

来年新設される生命科学部・薬学部(仮称)は憲章中の「人類的諸課題の解明」に基づき、21世紀の社会が持続的に発展していくための鍵を握る学問領域であるとの理念を具体化するものです。

さらに地域に根ざした取り組みという点では、例えば京都府立堂本印象美術館の指定管理者として、同美術館の管理運営を行っていることが挙げられます。立命館と地域の方々、金閣寺や竜安寺とともに地域活性化を図った取り組みが盛んに行われているのです。他にも京都歴史回廊プログラムや、産学連携など社会と連携した取り組みを実践しています。

高橋

私たち学生はこの憲章をどのように活かしていけば良いのでしょうか?

川口総長

学生にはまず憲章をしっかり読んでもらい、心に留まる部分を見つけてもらいたいですね。そして「気になるな、興味があるな」と思った部分を更に深め、実践に、行動に移してもらいたいです。例えば学生のため、後輩のために活動する中で自らも成長していく、立命館大学独自の学生同士の学びあいの仕組み(ピア・エデュケーション)など、主体的に大学でのさまざまな活動に参加、行動することで社会の担い手・組織の担い手として活躍できる力をつけてもらいたい。

また、立命館憲章は「教育・研究」のみならず「文化・スポーツ活動」も文面に入れていることが特徴です。立命館は正課以外のさまざまな活動も支援すると公に明文化し、それを実践している数少ない大学だと思います。また、「社会連携」では社会にある豊富な教育・研究資源を活用し、社会と関わりながら学ぶ、つまり机上での学習だけでは身につけることのできない能力を大いに伸ばしてほしいと思います。さらにそれを学業面にフィードバックし、実社会に出るにあたり自分に足りないものは何か、身につけておくべき能力は何かを認識し、成長する機会としてとらえてほしいですね。

この憲章はミッション(行動の指針)です。掲げているだけでなく、実際に行動に移さなければ意味がありません。つまり今後はこれをもとに個人や学部・プログラム単位で具体的に行動していくことが重要になってきます。

この憲章には立命館のやってきたこと・やっていること・やろうとしていることが詰まっています。そこからあなたが挑戦したいことを探してみてください。そして個人としてのミッションを立ててください。それに対して、立命館はその実践の場を数多く用意しています。日常生活の中でアンテナを張り巡らし、数多くの実践の場を経験しながら主体的に人生を切り開いていってください。

取材・文大西 藍(産業社会学部4回生)、高橋亜土(文学部4回生)