文学部心理学専攻
矢藤優子 准教授
おすすめの1冊

『ソロモンの指環―動物行動学入門』

コンラート ローレンツ(著)
日高敏隆(翻訳)

(早川書房)

 

この本は、「刷り込み」で有名なローレンツ氏と動物達との生き生きとしたやりとりを記録したものです。タイトルの「ソロモンの指環」とは、はめたら動物の言葉がわかるという伝説上の指環のことです。ローレンツと動物とのやりとりは、読者を温かい気持ちにさせてくれます。ハイイロガンの臭い糞で絨毯がどろどろになったエピソードや、水槽作りの失敗談など、この本には論文からは読み取れない生のやりとりがあるのです。この本を通して、業績にこだわるばかりでなく、研究対象者に親しみを持って接する研究姿勢の重要性に気づかされました。ヒトを含む動物に対し、在学生に親しみの念を持ってほしいという思いからこの本をお薦めしたいと思います。

また、在学生のみなさんには「なりたい自分に明日なることはできないが、なりたい自分になる努力は今日から出来る。だから努力は大切」ということを、学生生活を送るうえで意識してもらえればと思います。

取材・文/橋本さくら(文学部3回生)