政策科学部
結城 祥 准教授
おすすめの1冊

『ブランド 価値の創造』

石井淳蔵

(岩波新書)

 

私たちが普段、買物をする際に「ブランド」という要素が「買うか買わないか」の重要なポイントとなる場合が少なくありません。意識的にせよ、無意識的にせよ、ブランドが製品購買の一つの基準になっているわけです。しかしここに、「なぜ、ブランドは単なる製品の名前にしか過ぎないにもかかわらず、名前以上の価値を持ちうるのか?」という疑問が存在します。これが本書のテーマであり、「コカ・コーラ」などの身近な事例を挙げ、ブランド価値ついての議論が展開されています。

本書は、私が大学2回生の時、マーケティングのゼミに入るための予習にと、軽い気持ちで手に取った一冊です。結果的に、今ではマーケティング論の教員となっているわけですが、今読んでみても本書はやはり難しく、逆にそこがまた面白いところでもあります。

本書は、ブランドというテーマを通じて、マーケティング論の醍醐味を教えてくれます。日常生活において、買手として取引を実践している学生の皆さんにとって、マーケティング論は親しみやすい学問であるはずです。しかし、マーケティング論は「親しみやすいが簡単ではない、奥深い学問である」ことも、本書を読めば実感できると思います。

私は、マーケティング研究者の一人として、皆さんにマーケティング論という学問に興味を持ってほしいと思っています。そのきっかけになればと思い、本書を推薦しました。

取材・文/東田悠希(政策科学部3回生)