経済学部
大野 隆 准教授
おすすめの1冊

『調理場という戦場 -「コート・ドール」斉須政雄の仕事論』

斉須政雄

(朝日出版社)

 

私のおすすめする本は「調理場という戦場」です。著者であり、現在、東京の有名フレンチレストラン「コート・ドール」の料理長でもある斉須政雄さんが、本場フランスに渡り、店を転々としながら感じたこと、様々なこととぶつかり合い思い悩んだこと、そしてその経験から学びえたことを書き連ねている、まさに修業記といえる一冊です。
この本には、人間が何かを成し遂げ、「一流」と呼ばれるまでになっていく取り組み方がうまく表現されていますね。私は大学の教員であり教育に携わっている身であるので、著者が弟子に対してかける前向きな言葉や、文章の中の「早めにデビューするということは損である。ある程度は実力の蓄積が必要だ」と言っている部分が特に印象に残っていますね。
実は、この本を私は自宅に1冊、研究室に1冊と、計2冊持っているんですよ。

手元にあると自分も「頑張らないと」と気が引き締められるような気持ちになります。勉強だけではなく、自分なりのこだわりを持ち、密度の濃い時間を過ごせれば「面白い人生になるのではないか」と僕自身も思いますし、この本から学びとることも出来ると思います。学生のみなさんも1度この本を読むと「密度の濃さ」は大切なことであると分かってもらえるのではないでしょうか。

普段、研究関係の本や書類を持ち歩いて読んでいるので、取り立てて読書時間をあえて確保しようとは思っていません。ただ、それだけでは幅が狭くなるので、他分野の面白い本を友人から紹介してもらい、積極的にどこか空いている時間で読んでいます。私にとってはこれが効率的な読み方だと思いますね。

取材・文/犬塚直希(経済学部3回生)