輝いています、ときの人 #111 大屋公人(産業社会学部3回生)関西学生野球連盟審判委員、硬式野球部マネージャー
「セーフ! アウト!」初の学生審判の声が球場に響き渡る
5月26、27日に行われた立同戦。華やかな応援を受けプレーをする選手の影で、用具の手入れやマスコミへの対応など
裏方の仕事をするマネージャーの姿があった。今回インタビューする大屋公人さんもその一人。
しかし、その大屋さん自身もその1ヶ月前に晴れの舞台を迎えていた。
関西学生野球連盟初の学生審判委員として京都大学対関西大学戦のジャッジをしたのである。
なぜ彼は審判委員を目指し、どのような経緯でグラウンドに立つに至ったのか、お話を伺った。
(2008年7月16日掲載)
Q

なぜ、大屋さんは審判に興味を持たれたのですか? また、初の学生審判委員としてグランドに立たれるまでの経緯を教えて下さい。

大屋

私は立命館慶祥高校の出身で、高校でも野球部に所属していました。高校1年の時に、練習試合の中で審判する機会が何度かあり、その内に審判をする楽しさに目覚め、試合を見ていても審判の動きばかりに目がいってしまうようになりました。さらに審判の動きをよく見ていると、審判にもフォーメーションがあり、ある決まった法則性の元、審判が動いていることに気づいたのです。

 

例えば、外野にフライが飛んだら、そのボールを追って、審判も外野に走っていくことになります。そうすると、外野に出て行ってしまった審判が見ていた塁が空き、残りの審判でその塁で起こるプレーをジャッジしなければなりません。その様な動きが色々なシチュエーションごとに決まっていると学びました。高校卒業後は、立命館大学硬式野球部のマネージャーになりました。審判が好きなことはあまり他言していませんでしたが、ある時、自分の審判好きが先輩にバレてしまったのです。その後は、練習試合や紅白戦で審判をやらせてもらえるようになりました。しかし、高校野球とは違い、大学野球の球は速く、試合もスピーディーで最初は慣れるまでたいへんでしたね。

 

私が学生審判委員となる転機を迎えたのは去年行われたハワイチームを招待した国際親善試合。その試合で審判をやってくれと頼まれた私は、関西学生野球連盟の審判委員の方と共に試合を裁きました。すると、その審判委員の方から、正式な審判委員にならないかと誘われたのです。その後、審判講習会に参加するなどして、関西学生野球連盟初の学生審判委員になることができたんですよ。

 

 

 

Q

大屋さんの審判への思いと、正確なジャッジが評価されての学生審判委員入りだったのですね。春のリーグ戦で、初めて公式戦の試合を裁かれた時はどのような心境でしたか?

大屋

公式戦は練習試合や紅白戦と違い、試合自体に緊張感があります。選手たちはピリピリしているし、応援団もいる、お客さんもたくさんいるので、やはり緊張しましたね。バックスクリーンに「大屋」という名前が表示され、審判を紹介する場内アナウンスで「3塁大屋、立命館大学」と言われたときは、とても感動しました。試合中も最初は緊張していたのですが、3塁へのファールフライが飛んできて初めて「キャッチ!」のコールをすると、だんだんと緊張がほぐれていきました。

 

攻撃と守備が交代する際、審判は守備に散っていく選手たちに対して「さあ、行こう!」と声掛けをし、走って守備位置まで行くことを促します。でも、私は3回生。周りには4回生の選手も多い中で「さあ、行こう」なんて言っていいのか、最初は戸惑いましたね。でも、ジャッジをするという面では、無難に試合を裁くことができました。両親もわざわざ北海道から見に来てくれていたので、無事に試合を終えれてほっとしています。

 
 
Q

では、これからの大屋さんの目標を教えて下さい。

大屋

高校野球の甲子園に審判委員として出場すること。これは私の大きな目標です。関西学生野球連盟の審判委員の中にはたくさん甲子園に出られている人がいます。身近に、目標となる人々がいて、審判についての考え方やアドバイスがもらえるという事は、私にとって大きな刺激や勉強になります。リーグ戦でも、「大屋君は若いから、思いっきりやればいい。私たちがカバーするから」と言ってもらえて、とても楽になりました。特に関西学生野球連盟の審判委員長である桂等さんは、甲子園の決勝で球審を何度も務めておられて、私の尊敬し目標としている審判委員です。

 

甲子園に出るという目標までにはまだまだ長い道のりがあります。少しでも審判が上手くなろうと、平日、野球部のピッチャーが投球練習をしている時も、キャッチャーの後ろに立って「ストライク!」「ボール!」と、判定の練習をしています。これからも選手に負けないぐらい全力で審判をし、夢に近づいていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

取材・文/李 亘(法学部3回生)
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