輝いています、ときの人 #112 陳 星さん(経営学部4回生)、刁 雪菲さん(法学部2回生) 中国人留学生聯誼会
故郷で起きた危機をきっかけに見えた真の国際交流
今年の5月におこった中国・四川大地震の災害を受けて、被災地のために何か役立ちたいという思いから、
被災地を故郷に持つ立命館大学の留学生、日本有志学生達によって
京都市内、BKC・衣笠キャンパスで募金活動が行われた。
多くの人がこの募金活動に参加、協力したことで、義援金総額は80万円にも上った。
この活動において両キャンパスで中心的役割を果たした中国人留学生の陳星さんと刁雪菲さん。
今回の募金活動の様子や活動を通して学んだ事、今後の活動について、お2人にお聞きした。
(2008年7月23日掲載)
Q

まず、故郷で起きた中国・四川大地震を初めて知った時、どう思われましたか? またその後、募金活動をすると決められるまで、どのような経緯があったのか教えて下さい。

地震のことは父と神戸に出かけていた時、車中でニュースを聞き、初めて知りました。その時は本当にびっくりして信じられませんでした。しかし故郷で大変なことが起こっている事を一刻も早くみんなに伝えなければと思い、すぐに地震があった事を立命館大学の中国人留学生が集まる「聯誼会」のメーリングリストで流しました。その時点では地震の規模や詳細は分かりませんでしたが、その後の報道でとても大きな地震で被害も甚大だということがわかってきたので、聯誼会のメンバーたちとすぐに会議を開き、みんなで一緒に母国のために募金活動をしようと決めました。募金活動はすべての人々の暖かい気持ちと震災の人々の復興を祈る気持ちで決めたことなんです。

陳さんから送られたメーリングリストで地震の事を知った時は本当に驚きました。そして同時に何かをしなければ、という思いが起こりました。メンバーのみんなも同じ思いだったので、会議では自分たちが被害にあった方々に何が出来るかということを話し合いました。そこで出てきた意見が募金だったのです。

 

特に学校が倒壊して多くの子どもが亡くなってしまったことに対し、その場にいた誰もが深く心を痛めていて、最終的に中国領事館の教育室に募金を手渡したいと話がまとまりました。また暑い時期に行き届いた医療が行われない懸念から、赤十字社にも寄付するということが決定しました。

 

 

 

Q

そうして募金活動をすることが決定したわけですが、実際の活動はどのように進められたのでしょうか?

それぞれ友達に声をかけたり、立命館大学の留学生支援活動をしている学生団体「TISA」に頼んだりして集まった約30人の活動メンバーで、月曜から金曜日までの1週間の間11時半頃~13時頃と夕方、衣笠キャンパスとBKCで募金活動を実施することに加え、一般の方からも協力を得る為、5月24日(土)、25日(日)には京都駅でも街頭募金活動を実施しました。BKCでは僕が中心となり募金活動をしていたのですが、みんな授業の合間をぬって真剣に募金活動に取り組んでくれて本当に嬉しかったですね。また活動をするにあたり告知のビラを配った時にも募金活動に加わりたいと言ってくれる人がいて嬉しく思いました。

 

そうやって活動を続ける中で、この募金が故郷を助けることにつながるのだと思うと感慨深くもありました。また、改めて故郷の大切さをかみしめる機会にもなったと思います。

私は通学している衣笠キャンパスを中心にメンバーと募金活動を行いました。衣笠では多くの人が募金活動に参加してくれて、募金の告知でキャンパス内を回った時も、みんな恥ずかしさを忘れて無我夢中で大声を出しながら積極的に参加してくれたのには、本当に感動しました。京都駅の活動では、立命館大学以外の学生も参加したいと言ってくれて、募金活動のメンバーは60人まで増えました。雨の中、募金活動をする日もありましたが、みんな喉がカラカラになるまで声を張り上げて、一丸となって活動してくれました。学校や年齢も関係なく、全員で必死に募金を呼びかけていた姿が今も心に残っています。同時に、募金をしてくれた人々の温かさにも胸が熱くなりました。

 

例えば、京都に来ていた修学旅行生達が私達の話を熱心に聞いてくれ、その全員が限られたお小遣いの中から募金をしてくれたのです。募金活動をしていたメンバーはみんな感動して涙が出そうになりましたね。たくさんの人達のおかげで、最終的には計80万近くの募金を集めることができました。

 
Q

たくさんの人の気持ちの詰まった義援金を6月27日(金)に日本赤十字社滋賀支部と中国駐大阪総領事館教育室に代表として持っていかれたそうですが、その時の気持はどうでしたか? また、この募金経験を通して感じられた事を教えて下さい。

何千人何万人の方の気持がこもったお金ですから、代表として義援金を持っていくのはとても緊張しました。だからこそ責任をもって、無事手渡しできた時の達成感はとても言葉には言い表せないです。

 

この募金活動を通して、多くの人の助け合いの気持ちを感じました。留学生だけでなく、立命館大学の学生、そして他大学の学生といった多くの日本人が一生懸命、中国・四川大地震についてどんな事ができるかを考え、行動してくれました。その気持ちが本当にうれしかったです。私たち自身も、故郷の大切さ・自分たちには故郷があるという安心感、そういったものを改めて強く感じました。四川の人達には一刻も早く立ち直ってほしいと思います。またこのような災害による被害を少しでも防止してほしい。そのための一歩として、四川に新しく頑丈でみんなの避難所となれるような小学校を京都の留学生でいつか作りたいと考えています。

私は小さな頃から日本にいたこともあり、もともと日本がとても好きでした。ですが、今回募金活動をしてたくさんの温かい心に触れて、より一層日本が好きになりました。私たちの故郷の災害をこんなにも真剣に受け止め、悲しんでくれている人がいるということに言い表せないほどの感動を受けました。国際交流の一番大切な部分を私たちはこの募金活動を通して実行できたように思います。ただ、これから厳しい暑さに見舞われる現地の方のことを思うとまだまだ満足してはいけないと感じています。

 

私は現在衣笠のTISAのメンバーと1年後に四川に行く計画を進めています。実際に四川に行き、何が足りないのか、私たちのどういう行動がいま必要とされているのかを見て、肌で感じ、自分たちが出来ることに繋げていきたいと思っています。

Link 中国・四川省の大地震に対する立命館の災害支援活動について
取材・文/川口菜摘(経済学部3回生)
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