輝いています、ときの人 #113 斉藤里香さん(2005年3月 産業社会学部卒業)北京オリンピック ウエイトリフティング競技 女子69kg級日本代表、重量挙部OG
“オリンピックに出場したい”という想いが私を支えた原動力
北京五輪への熱が高まりつつある6月初日、校友の斉藤里香さん(産業社会学部 2005卒)が、
北京オリンピック日本代表に選ばれた。
学生時代に重量挙部で汗を流した斉藤さんは、現在高校の教諭として社会科を教え、
ウエイトリフティング部の顧問をも務めているという。
北京オリンピックに向けた強化合宿を数日後に控える斉藤さんに、
重量挙げに対する想いや北京五輪代表までの道のりなど、今の心境を伺った。
(2008年7月30日掲載)
Q

北京オリンピック日本代表決定おめでとうございます。今回のオリンピック初出場に至るまでの道のりは長かったとは思いますが、まず重量挙げをはじめたきっかけや大学時代について教えてください。

斉藤

ありがとうございます。代表決定当初は何が何だか分からず、あまり実感もありませんでしたが、インタビューを受けたり、勤め先の学校に垂れ幕を掲げていただいたりして、ようやく実感が湧いてきたという状態です。私が重量挙げを始めるきっかけとなったのは、ある監督からの誘いでした。私は中学校時代陸上部に所属していて、そのトレーニングの一環としてある高校でウエイトトレーニングを教わっていました。中学2年生の終わり頃、お世話になっていたその高校の監督から「ウエイトリフティングをやりにこないか?」とのお誘いを受けました。そして、中学3年生の夏に陸上部を引退してからすぐに練習に通わせてもらい、重量挙げに励みました。高校時代は、記録も順調に伸びて、世界ジュニア大会にも出場し、良い思い出がたくさんできました。実はこのジュニア大会に出場したことが、オリンピックを目指したいと思うようになったきっかけなんです。高校時代は純粋に楽しく重量挙げをしていましたね。

 

しかし、大学に進学して間もなく疲労骨折をしてしまい、手術の期間も含めて約1年間競技ができませんでした。試合に出たいのに出ることができない、何か自分に負けたような、悔しい気持ちを味わいました。とても辛い経験でしたが、ドクターやトレーナーなど、様々な人と出会う事ができた時期でもありました。その中で、やはり自分一人だけではなく、多くの人の支えがあってこそ重量挙げをやっていけるんだという事を実感でき、辛くても大変意味のある1年間でした。この経験があったからこそ、その後の全日本選手権大会優勝などの成績を残す事ができたのだと思います。

 

 

 

Q

大学時代、もうすでに優秀な成績を残されて、オリンピックも意識されていたとは思いますが、アテネから北京オリンピック代表決定までの道のりは、どのようなものだったのでしょうか?

斉藤

アテネオリンピックも目指していたのですが、疲労骨折の手術のためオリンピックの枠取りの大会となる前年の世界選手権に出場できませんでした。手術後に全日本選手権やアジア選手権に出場したのですが、アテネオリンピックの代表には選ばれませんでした。このときに強く感じた“オリンピックに出場したい"という想いが、北京を目指す一番のきっかけ、その後の自分を支える原動力となりました。

 

それからは北京オリンピックに目標を絞って練習をしてきました。2006・2007年に出場した世界選手権で、日本は国別団体総合10位という結果だったため、日本女子は北京への個人代表枠3つを獲得しました。代表の決定に関しては、今年の日本選手権、昨年の世界選手権、今年のアジア選手権の成績を参考に、日本ウエイトリフティング協会が独自に作っている北京オリンピック各国予想ランキング表と照らし合わせて代表が決まりました。3枠ある代表の中で1枠、2枠には48キロ級の2人が決まり私は3枠目だったのですが、75kg超級の嶋本麻美さん(金沢学院大学)と戦績が均衡していたため、一昨年の結果まで審議対象にされました。

 

北京オリンピック最終選考会であるアジア選手権では、日本記録は樹立したものの自分の目標としていた記録に届かなかったので、内心北京は難しいかなと思っていたんです。実際試合後に「次のロンドンまでやる!!」と周りに宣言していたぐらいなんですよ。ですから日本代表決定の連絡を頂いたときは、本当に信じられなくてビックリしましたが、すぐに嬉しいという気持ちが上回りました。また、“嬉しい"という気持ちと同時に、北京に行けないメンバーの分も頑張らねばというプレッシャーも感じ、より一層日本代表という重みを知りました。

 
Q

最後に北京へ向けての課題や不安、目標、在学生へのメッセージをお願いします。

斉藤

今後の課題としては、北京で安定した試合ができるように、これから調整していくことですね。さらに体調管理もしっかりとして、万全な状態で試合に臨みたいと思います。応援して下さっている方々や北京に出られなかった選手など、多くの人の想いを背負っているので、悔いのないように、自分自身納得のいく試合をしたいです。

 

私はどんな厳しい状況にありながらも、目標を諦めず努力してきた結果、今回北京オリンピックに出場することが決まりました。どんな辛い状況でも、大変なことがあったとしても、目標を諦めず努力すれば、きっと良い結果がついてくると思います。在学生のみなさんも、ぜひ何事も目標を諦めず努力して頑張ってくださいね。

 

 

 

 

 

取材・文/植田絵里奈(文学部4回生)
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