輝いています、ときの人 #121 プロジェクトチーム「そらとたんぽぽ」 プロデュース・デザイン担当 林 祐太さん(経済学部4回生)、イラストレーション担当 内富菜緒さん(経営学部3回生)
「ONE STANDARD … 大学生のための手帳」自分なりにデザインできる毎日を!
2人の学生が計493人の大学生の声を元に作り上げた手帳「ONE STANDARD」。
今年の10月初旬より、立命館大学をはじめ京都府・滋賀県内、合計7大学11ヶ所の生協で販売され、注目を集めている。
今回のインタビューでは、その手帳制作に携わったプロジェクトチーム「そらとたんぽぽ」の代表、
林祐太さん(経済学部4回生)と内富菜緒さん(経営学部3回生)に、企画から完成までの中でのエピソード、
手帳に込めた想いなどについてお話を伺った。
(2008年11月14日掲載)
 
Q

大学生向けの手帳を制作しようと思ったきっかけを教えて下さい。

以前から、将来はクリエイティブな仕事に就きたいという思いがあり、クリエイターになるには発想力が必要だと考えていました。そこで今以上に発想力を鍛えるために、デザインの難易度が高いプロジェクトをやりたいと思っていたんです。そこで見つけたのが、この「生協共同プロジェクト研究」という講義です。これは他の講義と比べて自由度も高く、自分で研究テーマを設定することができ、生協という学生にとって大きな味方がいるので「思いきったことがやれるのでは」と興味を持ち、参加しました。

 

私自身、おもしろい学生がたくさんいるのに、彼らが自分なりの考え方を持って毎日を過ごしていないのがもったいないと感じていました。そんな学生のために、彼らの生活を身近に応援できるものとして思いついたのが手帳でした。大学生向けの手帳を作ることで、学生自身がスケジュール管理を通し、充実した日々を送る手助けになるのではないかと考えました。

 

まずは、手帳を作るにあたって、どのようなものが販売されているのかをリサーチしました。様々なお店を見て回ったり、インターネットで検索したところ、案外、大学生向けの手帳は見つけられませんでした。それなら思いきって「大学生にしか売れないような手帳を作ってしまえばいいのでは」と考えたんです。今まで、学生が手帳を使用するときは市販の手帳を自分なりに工夫しながら使用している人が多く、そこが手帳の使いづらさではないのかと感じていました。そこで今回、学生が手帳の中身を見た瞬間「これ使いやすそう!」と思えるようなデザインにしたいと思い、大学生向けの手帳作成に踏み切ることにしました。

 

 

 

Q

自分自身のスキルアップとともに学生のために役立ちたいと思われ、制作を決断されたのですね。では、手帳制作を行っていく上での過程や、エピソードについて教えていただけますか?

まず、友人10名ほどに集まってもらい、スケジュールをどのように立てているのかをヒアリングをしました。その情報をもとに、学内に配るアンケート項目を作成し、計493人の学生に協力してもらって調査を行いました。そこから、大学生は社会人のように「何時から何時に何をするのか」という細かいスケジュールの立て方をせず、漠然と「1日に何をするのか」というスケジュールの立て方をする人が多いことが分かりました。さらには、手帳をスケジュール管理のためだけに使うのではなく、過去を振り返るツールとして利用していることもわかりました。そこから2ウィークリー形式のデザインを採用し、実際に制作に入りました。

 

また学生のみなさんに「自分らしく自分の価値観を持ちながら毎日を過ごしてもらいたい」という思いがあったので、この「自分らしさ」を手帳のネーミングで表現できたら面白いのではないかと考えました。試行錯誤の結果、「MY」や「YOUR」よりも「ONE」を使った「ONE STANDARD」という名前にしました。これには「一人ひとりの手帳・自分で何かをできる」という意味が込められています。

 

しかし、制作に入り、表紙や各所のデザインでつまずいてしまいました。表紙のデザインを決める時、教授や生協の方々へのプレゼンテーションなどで色々なご指摘を受け、行き詰ることも多々ありました。そんなとき、パートナーである内富さんが、いつも明るく振舞ってくれ、雰囲気をよくしてくれていたのには、私自身、大変助けられました。そして長時間に及ぶ打ち合わせにも嫌な顔をせず付き合ってくれました。そのおかげもあってプロジェクトも軌道に乗り、無事に完成の日を迎えることが出来ました。

内富

私は途中からプロジェクトに参加し、学生が手帳を利用するにあたり、取り扱い見本を付けて販売してみようと考え、手帳の表面に使い方提案の冊子を付録することにしました。日頃からどのような学生がいるのか、どんな事に興味を持っているのかを観察し、「恋にときめく女子」や「大学から遠い自宅生」対象など計9種類のキャッチコピーと、お客さんが立ち止ってくれるように視覚に訴えたいという想いから、自分で考案したウサギのキャラクター「うさこ」が入った冊子を作りあげ、口コミでもこの手帳の存在が伝わるように工夫しました。

 
Q

この手帳は様々な苦労と試行錯誤の結晶なんですね。最後に、手帳が完成した時の感想と学生に向けてのメッセージをお願いします。

実際、手帳が完成したことで安堵感はありましたが、完成後も色やフォントが気になったり、「この部分はこうすれば良かったのではないか」と反省する所も多かったですね。それでも様々な方に協力してもらったので、関係者の皆様には本当に感謝しています。

 

今後、さらにこの手帳が、多くの人のキャンパスライフを豊かにしてくれればと思います。そして、学生のみなさんにもいろんなことに挑戦して、たくさん失敗して、たくさん成長してほしいと思います。

内富

自分の考案したキャラクターを売り場で見かけたり、多くの学生にこの手帳の存在を知ってもらえる事はとても嬉しいです。今回調査したアンケートの中でも、全体の7割の方が「日々忙しいと感じている」と回答していたので、そんな方々がこの手帳を使った時に、取り扱い説明書のイラストや文章を見て、癒されてくれれば本望ですね。

 

みなさんも物事に取り組む時に「やりたくない」と感じることもあると思います。私自身もいつも自分に言い聞かせているのですが、そんな時に「やりたくない」と思うよりも、まず自分の目や手を使って「とりあえずやる事」が大切だと思います。その過程で自分がどう思うのか考えて欲しいと思います。この手帳がきっかけとなり、学生のみなさんが実りある一日を送ることができたら私たちも幸せです。

手帳(ONE STANDARD)の各大学の販売場所
立命館大学生協(衣笠、BKC)、京都大学生協、
同志社大学生協、同志社女子大学生協、京都橘大学生協、
龍谷大学生協(瀬田キャンパス、深草キャンパス)、大阪大学生協
Link 立命館大学生協ホームページ(ONE STANDARD紹介『うさこの小部屋』サイト)
取材・文/犬塚直希(経済学部2回生)
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