輝いています、ときの人 #127 世界学生湖沼会議2008 実行委員会 委員長 安部雅宏さん(理工学部3回生)
多くの人に「湖沼」の重要性を知って欲しい
11月21~24日に、関西を中心とした6大学の約25名の学生と、
G8参加国と中国、インドの計10カ国15人の学生による世界学生湖沼会議2008が開催された。
この会議は、世界の学生が湖沼について様々なテーマで意見交換し、湖沼問題の認知度を上げることが目的。
会期中は国籍も立場も違う様々な学生の視点で「湖沼と共生」、「湖沼と教育」について白熱した議論が展開された。
今回は、この世界学生湖沼会議の実行委員長を務めた安部雅宏さん(理工学部3回生)に
開催にあたっての苦労や当日の様子についてお話を伺った。
(2008年12月25日掲載)
Q

まず、安部さんが世界学生湖沼会議のプロジェクトに参加され、実行委員長になられた経緯と当日の会議の様子を教えて下さい。

安部

この湖沼会議では「水資源、淡水資源について考える」もので、気候変動によって湖沼環境が大きく変わっていることを、多くの人達に知ってほしいという思いで開催されました。私自身も以前から、周りの人たちに湖沼の重要性を伝えていきたいと思っており、6月に世界学生湖沼会議に参加する学生の募集を知り応募しました。また、今回の取り組みが日ごろ専攻で学んでいる内容と近いことも、参加したいという意欲を高めた要因です。

 

また8、9月に行われた国際湖沼環境委員会へのインターンシップで、とても感動することがありました。それは、大学で勉強したCVM(仮想市場評価法=環境の価値を評価する手法)が実際に国際機関によって使われていたことです。自分が勉強していることが現実に使われている様子を聞いて、すごくワクワクしました。CVMの結果は環境の価値が正確に評価できていない印象を受けましたが、このような体験を積み重ねたことにより、「世界学生湖沼会議2008を成功させたい」という気持ちが湧いてきました。約1ヶ月間の国際湖沼環境委員会へのインターンシップが世界学生湖沼会議に対する強いモチベーションとなって、実行委員長として運営していこうという気持ちを固くしてくれました。

 

会議は4日間のスケジュールで「湖沼と共生」、「湖沼と教育」という2つのテーマで話し合いました。同じ学生という立場もあり、熱く議論できました。会議での意見も否定的なものではなく、次の会議につなげたいという思いが強いためか、建設的な意見が多かったと思いますね。またこの会議に出席した海外の学生からも「日本に来てよかった」という感想を聞くことができました。

 

 

 

Q

では、実行委員長としてプロジェクトを運営されて行く中で、どんなことに注意しながら進められましたか?

安部

まず、実行委員のみんながどうすれば気持ちよく参加できるのかということを考えました。当初は、ミーティングをしていても、人数が集まらないことが多々ありました。また、湖沼という堅く捉えられがちな内容について、初対面のメンバー同士で話し合うということもあり、「皆が打ち解ける方法を考えなくては」と私自身、常に感じていました。そこで提案したのが「懇親会」です。最初から、堅い話題で取り組むのではなく、もっとカジュアルな話題でお互いコミュニケーションをとり、全体の雰囲気をよくする工夫をしました。また、スケジュールなどの都合で、話し合いに参加できなかったメンバーに対しての接し方にも注意しました。こういったミーティングは、1度でも参加できないと、会議の内容や現在の進行状況がわからなくなり、不安になってしまいます。議事録をメーリングリストで流しても、欠席者に対するケアとしては、それだけでは不十分だと感じていました。そこで私は、メンバーとしっかり会って話し、直接伝えてフォローに努めることを大切にしようと考えました。リアルなコミュニケーションを通じて、より深い部分で情報共有をしようとしたのです。面と向かって話すことで、自分がどれだけ今回の会議を本気で考えているのかも伝えました。「直接話すこと」は優先順位は低くなりがちですが、大切なことだと思います。委員長として様々な人をまとめるにあたり、メンバーについて、本気で考えることが一番大事なことなのではないかと考え、実践しました。

Q

会議までに多くの困難を乗り越えられてきたんですね。では今回、会議を乗り越えることができた理由と、最後に今回のこの経験をどのように生かしていこうと思われるかを教えて下さい。

安部

会議の運営自体、それぞれ担当が分かれていましたが、仕事量は莫大にありました。後半はとても忙しかったのですが、作る側の立場が体験でき、とてもよかったと思います。大変なことや悩んだこともある中でも、私自身、「この会議を絶対に成功させたい」と思う強い気持ちがありました。何もなかったところから、運営して行くにつれ、どんどんカタチになっていく面白さ。さらに、このカタチになってきたものが新聞記者の方のインタビューで掲載され多くの人に見てもらえるという過程が、また新たな力となりました。自分たちがやっていることについての責任感や社会的意義など良い意味での緊張感やワクワク感は、会議までの毎日を支えてくれました。忙しかった分、達成感も大きかったですし、今回、自分が世界学生湖沼会議2008の実行委員会に加わり、会議運営に貢献することができて、本当によかったと思います。将来は、「UNEP」や「UNESCO」など国連で働きたいと考えています。それに向けて、また新しいフィールドを見つけて、今回の反省や成功をふまえながら、自分自身を磨いていきたいと思います。

 
Link 世界学生湖沼会議2008ホームページ
取材・文/林 祐太(経済学部4回生)
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