輝いています、ときの人 #128 雅楽会 前会長、いちひめ雅楽会メンバー 井上晴人さん(理工学部3回生)
世界中に雅楽の楽しさを伝えたい 強い信念を持って雅楽と向き合う
昨年11月30日に衣笠キャンパスで行われた「第10回定期演奏会」を見事に成功させ、
立命館大学雅楽会会長の任期を終えた井上さん。彼は米国やフランスなどで海外公演を成功させている
「いちひめ雅楽会」にも所属し、秋にはイタリアでの巡回公演に参加した。
今回は、雅楽の楽しさを世界に伝える井上さんに、
イタリア公演での経験と、伝統芸能継承と普及のための活動についてお話しを伺った。
(2009年1月16日掲載)
Q

今回、「いちひめ雅楽会」のメンバーとして、イタリアでの公演に参加されたということですが、公演の様子はいかがでしたか?

井上

「いちひめ雅楽会」は下京区の市比賣神社を拠点に活動し、京都の大学生や社会人など幅広い年齢層の200名以上の会員が所属している団体です。僕自身は大学の雅楽会のほとんどの先輩が所属していたという事と、雅楽をもっと知りたいという強い気持ちがあったので自然に入会していました。「いちひめ雅楽会」では、雅楽継承と普及のために定期演奏会なども行っていて、米国やフランスなど、海外での公演も成功させています。ここでは雅楽を通してたくさんの繋がりができ、僕自身、ここで学んだ事を後輩に伝えていきたいと思っています。

 

今回のイタリア公演は京都市とフィレンツェの姉妹都市50周年を記念した文化交流で、「いちひめ雅楽会」にイタリアから公演依頼がありました。約200名のメンバー中から16名の派遣メンバーが選ばれたのですが、私もその中の1人として参加しました。公演ではイタリアのフィレンツェ、ラベンナ、ローマの3都市で公演を行い、現地の大学生との交流も体験しました。私にとっては初めての海外公演で、現地の人の反応にとても興味があったのですが、実際に公演を行って「万国共通。どこに行っても同じだな」というのが正直な感想です。日本人でも雅楽を知っている人は少ない。国内で演奏をしても海外で演奏をしても反応に変わりはありませんでした。ただ、イタリアの景色にも雅楽のしらべは気持ちよく響いていて、それがとても気持ち良かったです。慣れない舞台での舞いや演奏に苦労することもありましたが、オペラハウスでの公演など、忘れられない貴重な体験ができました。

 

 

 

Q

そもそも、井上さんが雅楽を始められたきっかけは何だったのですか?また、大学での雅楽会の活動内容を教えて下さい。

井上

僕が雅楽に出会ったのは、大学に入学してすぐの頃。どのサークルに入ろうかと悩んでいた時に、たまたま雅楽会の存在を知ったのがきっかけです。もともと音楽への興味はありましたが、実際に楽器を手にした事はありませんでした。しかし、「せっかく京都を代表する大学に入学したのだから」という思いもあり、古典芸能の世界に興味を持ち、入会しました。

 

今年で、11年目を迎える雅楽会の主な活動は、年に1度の定期演奏会と、学園祭などでの演奏です。練習は、衣笠とBKCそれぞれで行い、合同の練習も週に2回衣笠キャンパスで行っています。私は、主に「篳篥(ひちりき)」という管楽器を担当していますが、授業がない日は一日中練習していることもあります。特に定期演奏会の前なんかは、毎日練習していましたね。

 

雅楽には、楽譜というものはありません。雅楽会でも、楽器の演奏や舞いは先輩から後輩に伝えられています。ただ、平安から続く伝統芸能、知識をつけるのには学生だけでは限界があり、芸を磨く事も難しいことから、雅楽会の多くのメンバーは、「いちひめ雅楽会」で楽器や舞いの稽古をつけてもらっています。

Q

最後にこれからの井上さんの活動と将来の目標について教えて下さい。

井上

今後も「雅楽はたのしい」ということを、もっとみんなに伝えたていきたいですね。在学生のみなさんにも日本のすばらしい伝統芸能にもっと興味をもってもらいたい。そして、一緒に楽しめる仲間が増える事を願っています。雅楽会では会長の任期を終えましたが、これからも自分にできる事はやっていきたいと思っています。また、いちひめ雅楽会など雅楽を通じてできた人の繋がりを大切にしていきたいですね。大学を卒業しても、生涯を通して雅楽を続けていきたいと思っています。

 
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