専門的な学びを究める[大学院]

Student's Voice

社会に役立つロボットをつくるために

植村充典 さん
2008年3月 理工学研究科総合理工学専攻博士課程後期課程修了
2008年4月より 立命館大学理工学部ロボティクス学科助教
(2008年4月1日掲載)

2007年、イタリア・ローマで開催された米国電気電子学会(IEEE)主催の国際会議で、私の論文が表彰されました。

私の研究対象は、一言で言うと「ロボット」です。ロボットも自発的に動こうとする時には、人間と同じように体を動かす筋肉や腱が必要となります。私はその「筋肉や腱」となる部分に「バネ」を使うことでロボットの運動の効率化を高める研究を行っています。バネを使うことによって少ないエネルギーでロボットを制御することが可能になり、将来的には、ヒューマノイドロボット(人間型ロボット)などで柔軟で自由な動きを実現し、さらなるエネルギーの効率化を目指していきます。

表彰を頂いた論文のタイトルは「A New Control Method Utilizing Stiffness Adjustment of Mechanical Elastic Elements for Serial Link Systems:多関節ロボットに対する剛性調節を利用した新しい制御方法」というものでした。賞はICRA(IEEE International Conference on Robotics and Automation:ロボティクスとオートメーションに関する国際会議)へ論文を提出した日本の学生研究者15人のうち5人に与えられるもので、そのうちの一人に私が選ばれました。IEEEは世界最大の電気電子学会で、ICRAは毎年開催されるロボットに関する世界最高峰の国際会議です。そこで表彰されたことは研究者として大変名誉なことでした。

研究活動の中で、最も苦労したことは、新しい切り口から研究テーマを考えだすことでした。面白く、特徴的なテーマは既に研究し尽くされているので、自分なりの着眼点からテーマを練り込んでいくのに途方もないほど多くの時間を費やしました。いざ研究に入れば、理論を考え実際にロボットを使っての実験の繰り返しです。証明できると思っていた理論が証明できなかったり、ロボットがスムーズに動かなかったりと思うように研究が進まずに苦労したこともありました。こうした状況でも決して諦めず、研究を続けてきたことが、表彰へとつながったのだと思います。

私は学部時代から、ロボットについての研究を行っています。今振り返ると、根底にはロボットや物理が好きだという気持ちがあったので、博士後期課程まで進学して研究を続けているのだと思います。

今後はバネを使ったロボット制御に関する研究をさらに突き詰め、数学的に解析していきたいと思います。今以上の研究成果を発表できるように努力し、しっかりとした理論を構築する研究者を目指します。

私の日常の研究は、ロボットを使って理論の確認をしていくという地道な作業の繰り返しです。思うように研究が進まないことがあっても、諦めない姿勢を貫きます。

将来的には、私の研究が人や社会の役に立つようなロボットに応用されて、実際に普及するようになればと思っています。


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