私は小学校・中学校と中華学校に通い、幼いころから中国語を学んできました。そのため、語学の授業に、少し物足りなさを感じていました。そんな1回生の冬、学内に掲示してあった孔子学院のポスターを見て、孔子学院の奨学金留学制度を初めて知りました。この留学制度は1年間の留学期間という点では、国際センターで通常募集される交換留学と同じなのですが、このプログラム独自の「大学が自由に選べる」「奨学金などのサポート」という魅力がありました。中国大陸内からどこでも好きな大学を自分で選択でき、私は北京大学を選択しました。首都であり、周りの環境が整っている点、さらにオリンピックも開催され、世界から注目されていた北京で学びたいと考えたからです。奨学金も充実しており、北京大学の学費、生活費や寮費などほとんどの費用を孔子学院と中国政府からサポートしていただけました。このように中国政府から推していただける留学であること、さらに孔子学院のサポートの手厚さも、行動の支えになる安心感になっていたと思います。
北京大学では、日中関係や華僑をはじめとする国際関係について学んでいました。北京大学の学生はかなり勉強熱心であったので、まわりの学生からの影響は大きかったですね。もともと日常会話程度の中国語はできたのですが、テストやレポートなどの畏まった文章を書くとなると難しく、始めのうちは苦労しました。授業以外ではオリンピックの時、JOC(日本オリンピック委員会)のジャパンハウスで通訳ボランティアをしたり、長期休暇を利用して中国各地を旅しました。
夏休みには敦煌・新疆のある西部へ向かったのですが、途中汽車からみた景色に衝撃を受けたんです。一面に広がった風力発電する無数の風車。今でも鮮明に覚えています。というのも今まで、環境問題に関して中国には悪い印象しかもっていなかったのが、日本では考えられないほどの広大な土地で発電しているところを初めて知ったからでした。普段の生活では、安さゆえタクシーをよく利用していたのですが、そこではよく運転手さんと日本のイメージや、日中関係、中国の話など討論したりしました。学校で学ぶことは確かに多いですが、このように街中で学ぶこともたくさんあったと思います。
留学中に他にも印象的なことがありました。外国人留学生同士で10時集合と約束し、時間になってもこないので電話すると「今起きた、待ってて!」なんて言われることも。日本人同士だとあんまり考えられないことですよね(笑)。この留学を通して、「日本で常識だと考えていることは、必ずしも常識ではない」ということを実感し、視野が広くなったと思います。
将来は中国と日本とそして世界をつなげるような人間になりたいと思っています。今後は中国語に英語。できれば+αでもう一つの言語を習得したいです。自分のものさしで「できる、できない」をすぐに判断してしまうのではなく、まずやってみて欲しいと思います。何事もやってみてから判断してもいいのではないかと思います。意外にもやってみたら簡単なこともあると思うんです。せっかくの大学という場を、その機会を、活用して充実した学校生活を送っていただきたいです。
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