私が心理学に初めて興味を持ったのは、小学校の高学年の頃で、不登校など心の問題がメディアに大きく取り上げられるようになった時期でした。「内面的な問題によって、身体や生活に支障が現れるということはどういうことなのか学んでみたい」とその頃から思い続けていたのが、学部を決める際にも大きな鍵となりました。学部時代は学習心理学や認知心理学といった基礎的な心理学を勉強してきました。また学内の学びだけでなく、ボランティアとして近くの小学校で生徒たちの学習支援を経験していくうちに、さらに臨床的な学習がしたいと大学院進学を決めました。
立命館大学の応用人間科学研究科では「対人援助」を大きな柱とし、心理や教育、福祉など多様な分野が集まり成り立っています。学部時代は心理学のみの学科でしたが、大学院では多くの分野に興味を持ち、幅広く勉強していきたいと思っていたので、複合的に勉強できるところが魅力でした。この研究科には色々な領域の先生がいらっしゃり、知りたいと思った分野のお話しを聞くことができたので、得るものが大きかったです。
私は大学院で主に臨床心理学について学び、カウンセラーになるための勉強をしました。こころの病についての学びを深め、心理療法や心理検査などについての理論や技術の習得を目指しました。実践的な学びとして、クライエントとの対話を行う際、どのように受け答えし、話を進めていけばよいかという勉強をしたりもしました。色々なケースを想定して学生同士でペアを組み、模擬面接を行うのですが、面接終了後の議論では面接中に行った対応を細かく振り返りました。研究科には、幅広い年齢層や背景の全く異なる仲間がたくさんいるので、話していても自分にはない考え方や意見が聞けてとても面白いものでした。また大学院1年目から、地域の中学校で別室登校の生徒を支援する活動をし、この活動の中で感じた問題点が修士論文にも繋がりました。
大学院2年目からは、校内にある心理・教育相談センターで半年間にわたり、実習を行いました。実際に悩みを抱えるクライエントと直接会い、面接室の中で50分間、1対1で向き合うことは、高い集中力が求められます。相手の話をその場で聞いて、内容を理解、判断し言葉を返していくことはとても難しいものです。後からあの時、こうしておけばよかったと反省することも度々あり、理論や技術として頭で分かっていても、学んだ知識を実践に生かすことの難しさを感じました。また、カウンセラーの仕事には、個々の人間性が必ず関係してきます。その分、自分を見つめることが大切だと感じましたね。同じクライエントを前にしても、カウンセラーごとに、相手と築いていく関係や、接し方が違います。心理療法に決まった正解というはなく、カウンセラーそれぞれのやり方が求められ、自分を生かしていかなければならないことが、難しくもあり魅力だと思います。
警視庁職員Ⅰ類心理職で内定をいただき、2009年4月から勤務します。配属先はまだ決まっていませんが、被害者支援や、非行少年への心理鑑別、警察職員のメンタルヘルス支援など心理にまつわる全般的な仕事に携わることになると思います。新しい分野で、勉強しなければいけないこともたくさんあると思いますが、自分の幅を広げ、多くのことを経験するのが今から楽しみです。
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