以前より宇宙開発及び宇宙政策に興味・関心があり、所属していた政策科学部では政治学を学んでいたので、宇宙に関する開発や政策について、「どのようなプロセスで政策が形成・実施されているのだろう」と考えながら、日々、研究を進めていました。宇宙開発・政策の実施には、多大なコストがかかり、ステークホルダー(利害関係者)の数も多いのです。それらの要因により、政策内容やプロセスは固定化されている傾向があります。一度進みだした宇宙政策の進路を変えることは実に困難だと知りましたが、難しいことだからこそ、そこを敢えて研究することにしました。現在は「宇宙開発政策における中止・進路変更の困難性に関する研究」をテーマに研究しています。机上で研究していても優れた成果を出せないと考え、日本で宇宙開発政策の実施を担っている独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)でインターンシップをし、現場に触れた上で研究を進めていきたいと考えました。
インターンシップに向けて、自分から直接JAXAに問い合わせをしたところ、ちょうどインターンシップ生を募集していることを知り、応募しました。今回、募集対象とされていた契約部での枠は、全国でたったの1名。倍率も高いと思ったので、合格できるか不安でしたが、ご縁をいただくことができ、またとないチャンスだと思ってインターンシップに臨みました。
インターンシップ先の契約部は「JAXAがプランニングした人工衛星やロケットの開発委託契約を民間企業と結ぶ」という、JAXAと企業のパイプラインを担う部署です。インターンシップでは実際に、人口衛星に関する民間企業との契約書類に目を通したり、契約データの整理や、電話応対などの一般雑務を行ったりとJAXAの業務について理解を深めることができました。
また、それ以外にも、JAXA側より宇宙開発に関する調査テーマが与えられ、インターンシップ最終日にプレゼンテーションを行いました。1人で1時間のプレゼンテーションをしなければならなかったので準備にとても苦労しましたが、苦労した分、自分の糧となり成長することができました。プレゼンテーション後に管理職の方々から様々なアドバイスをいただき本当に貴重な経験をさせていただくことができました。
このインターンシップを通じ、自身の研究に関する仮説の種を見つけることができたとともに、「JAXAで働きたい」という思いが強くなり、就職活動を経て2009年4月からJAXAで勤めることになりました。9日間という短い期間でしたが、1日の1分1秒が学びの連続で、今こうして振り返ると、本当にインターンシップをしてよかったと思います。
「自分の本当にやりたいことを見つける」のと同時に、「組織やその現場で働く人間と一緒に働きたいと思えるかどうかを見極めることが出来る」それがインターンシップの魅力だと思います。インターンシップしていなければ、「ここで働きたい」と強く思い、長い就職活動の中、JAXAに入りたいというモチベーションを保ち続けられなかったかもしれません。今後は1人の社会人として、JAXAの所員として、学生時代の研究テーマを実践的に活かしていけるよう、より良い宇宙政策を目指して頑張っていきたいと思います。
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