障害学生支援室の学生スタッフとして活動することになったのは、漠然と「人の役に立つ活動がしたい」と思っていた2回生の4月、偶然手にした1枚のチラシがきっかけでした。ブラインドタッチのできる学生を求める言葉に惹かれ、自分にもできることがあるのではないかと支援室を訪れました。
学生スタッフ活動の内容は、聴覚障害を持った学生が不自由なく講義を受けられるよう、先生が話す言葉やその場の状況を、パソコンで文字に変換し伝えることです。このパソコンテイクは、スタッフ2人1組で行うことが多いため、相手との息を合わせることや、頭で要約しながら文字にするという技術が必要です。さらに‘それ、あれ'などの指示語も言葉にしなければならないため、常に気が抜けず、特に講演会や多方面から意見の飛び交うディスカッションの時には、スピードについていくのが大変です。
また、日々の活動だけに留まらず、今年の学園祭では、一般の方にも音のない世界を体験してもらおうと、モコゲームという声を出さずにコミュニケーションをとり合うゲームを企画しました。今までこのようなイベントで何かを企画し、主体的に動くという機会がなかったので、実現したときは嬉しかったですね。学生スタッフの活動によって多くの人達と触れ合い、つながりが広がっていく中で自分の活動の幅や視野が広がったと感じています。当日は学生のみならず、子どもや家族連れの方々にも参加していただき、いかに音のない世界で自分の思いを伝えるのが難しいか、体験してもらうことができました。
障害学生支援室では、月1回のミーティングをスタッフ同士で行い、スムーズに支援が行えるよう意見を言い合ったり、パソコンテイクの練習をしたりしています。このパソコンテイクの活動は2008年から始まったばかりで、以前は文字を紙に書くノートテイクによるサポートがおこなわれていました。最近では早く文字にできる、見やすいという点でパソコンテイクが主流になってきています。私はブラインドタッチが得意なので、ちょっとしたことで、人の役に立てることがとても嬉しくやりがいを感じています。まだまだ私たちが何をしているのか、知らない学生がたくさんいると思います。障害を持った方にも、生活しやすい環境を作っていくためには、とにかくまず活動自体を知ってもらうことが大切だと思っています。知ってもらうことで初めて、次の段階にいけると感じます。例えば、ビデオを使う授業であれば、そのことを先生から事前に教えていただければ、私たちも用意ができますし、先生や受講生に口を大きく開けて話していただいたり、補助資料を用意していただくだけでサポートのしやすさが全然違います。
今、BKCの学生スタッフは、10人ほどでほとんどが4回生という状況です。これから、スタッフの獲得に力を入れ、広報活動をしていかなければと思っています。小さなことでも役に立てる、ということを心において多くの方に興味を持って欲しいと思います。まだ、私たちの活動は方向性を模索しながらの取り組みです。今後も障害を持った方が尋ねてきやすい雰囲気づくりを目指していきたいです。
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