知能情報学科HP 知能情報学科

数理的手法を用いた脳情報処機構の解明

計算神経科学研究室

担当教員/北野 勝則

脳には数百億個にも及ぶニューロンと呼ばれる細胞が存在し、それらが互いに活動電位と呼ばれる電気信号をやりとりすることにより様々な機能を実現していると考えられていますが、その仕組みについてはまだあまりよくわかっていません。この脳機能の仕組みについて、理論的解析や計算機実験などの数理的手法を用いて研究しています。ニューロンの電気生理学的特性をモデル化することにより、単一ニューロンレベルの情報伝達機構やニューロンの集団により形成される神経回路の情報処理機構を明らかにすることを目標としています。このような脳情報処理機構の解明が進めば、脳に直接アクセス可能なインターフェースや脳疾患の治療法の開発などに応用できると期待しています。

超臨場感コミュニケーションによる遠隔協働/ デジタルミュージアムの実現

コンピュータビジョン研究室1
ハプティックビジョン研究室

担当教員/田中 弘美・脇田 航

バーチャルリアリティは、IT分野の「21世紀のグランドチャレンジ」と掲げられ、現実世界とのギャップを埋めるべく、視覚的な聴覚的なさらに触覚的な「リアリティの追求」が進められています。そこで本研究室では、3次元CGや画像認識(コンピュータビジョン)技術を基づき、生体の臓器や織物のような柔らかく変形する柔軟体を対象とし、柔らかさや手触りなどさまざまな質感や触覚情報を「サイバーグローブ」を用いて、視て触れることができるバーチャル空間の創造を目指しています。さらに、このような「触れる」バーチャル空間をネットワークを介して共有する超臨場感ハプティックコミュニケーションによる「遠隔協働」の実現を目指して研究を進めています。現在、このような研究成果を基に、「超臨場感コミュニケーションによる遠隔低侵襲手術訓練」や「超臨場感遠隔協働型デジタルミュージアムの実現」等の国家プロジェクトを推進しています。

薪能における能装束再現

織物の触覚(触り心地)再現

遠隔バーチャル手術訓練環境

インタラクションによって人を支援するロボットの研究

コンピュータビジョン研究室2
インタラクション研究室

担当教員/島田 伸敬・松尾 直志・明神 聖子

対話・インタラクションという言葉を広くとらまえ、音声やジェスチャ、ウェブインターフェースなど、多様なメディアを用いて人間どうしの関わりの様子を理解したり、人間と対話をすることによって生活を支援してくれる知能システムの研究をしています。
[対話型サービスロボット]
人の顔やしゃべる言葉を認識し、グループ内のメンバーの予定や行動などの情報を自動的に集め、間違った情報を持っている人に正しい情報を伝える説得型情報提供ロボットの研究をしています。
また冷蔵庫から頼んだ飲み物を探して持ってきてくれる移動型サービスロボットを開発しています。
[室内ロギングシステム]
テレビカメラで室内を見守り、テーブルの上にものを置き忘れたり、ものを持ち去ったことを自動的に検出・記録します。あとでテーブル上のものを直接指さして「これは誰が放置したか」、「ここにおいた本は誰が持っていったか」と聞くと関わった人のシーンを表示してくれる、ロギングシステムの研究を行っています。

対話型サービスロボット

室内ロギングシステム

脳神経回路の情報処理システム解明とデータ解析手法開発

神経情報システム研究室

担当教員/坪泰 宏

脳の神経回路では従来型のコンピュータとは異なり、柔軟性に富んだ低消費電力で確率的な情報処理が行われています。この新しい情報処理の仕組みの解明を目指しています。
特に、「局所回路」と呼ばれる大脳皮質に普遍的に存在する構造ユニットに着目し、生理学実験で記録された脳内信号を解析することによりアプローチしています。
得られた知見を元にして情報処理モデルを構築し、その性質について研究しています。
また、脳内信号のような「全く不可解な暗号」を理解するために、数理工学・確率統計学・情報工学・物理学などを用いながら、データを読み解く新しい手法を開発しています。
この他、神経活動計測の新しい手法の開発や、データ解析手法の他分野への応用など幅広く研究しています。

快覚醒・快睡眠・良好な加齢創出技術の研究

生体情報研究室

担当教員/萩原 啓

生体情報研究室では、脳波や心電図などの生理情報や、感覚や感性などの心理的側面に関する情報、身体の鍛錬や人間の日常生活における行動に関する情報など、人間の生理・心理・行動に関わる生体情報の研究をしています。
人間の生理・心理・行動に関わる生体情報を核に、生体のダイナミズムの研究として、生活習慣デザインとサクセスフルエイジング(良好な加齢)を取り上げています。
生活習慣デザインでは、家庭・施設等の居住空間を対象に、軽負荷鍛錬運動・ストレッチ等の身体刺激や温熱・光等の環境物理刺激により、快覚醒・快睡眠の生活習慣をデザインするための技術の開発を目指しています。
サクセスフルエイジングでは、高緊張社会でのストレス対処や高齢社会での加齢対処の具体的方策を取り扱い、外部感覚刺激による自律神経機能の向上や認知・記憶等の脳機能の活性化、瞬時対応力・柔軟性等のしなやかな身体制御能力の維持向上を図る技術の開発を目指しています。

軽負荷による身体機能鍛錬実験

脳機能活性化実験

人間の運動制御メカニズムの解明

生体ロボット研究室

担当教員/満田 隆

目の前にあるコップに手を伸ばす場合、人間は脳から筋肉に指令をだすことによって腕を動かします。では、脳はどのような仕組みで筋肉に指令を送っているのでしょうか?また、脳はどのようにコップの位置を認識しているのでしょうか?神経活動および運動行動の分析と、筋骨格構造モデルを用いた理論的解析によって、視覚情報から運動指令を生成する仕組みを研究しています。また、錯覚を利用した力覚提示装置の開発、近赤外分光法を利用した脳活動の計測(fNIRS)、fNIRSを利用したブレインマシンインタフェースの開発、脳活動からの感情推定、足底圧力による歩行分析、視線移動分析、空気圧を用いた機器開発などにも取り組んでいます。学部生が独立した研究テーマを持ち、自由な発想で幅広い研究を行っていることが本研究室の特徴です。

コミュニケーションするロボットは創れるか?適応する知能の理解と創造

創発システム研究室

担当教員/谷口 忠大・髙野 敏明

人人間の知能とは設計されるものではありません.育つものです。赤ん坊が生まれた時には歩行も出来ず、言葉も話せません.しかし、人間は環境との絶え間ない物理的相互作用、他者の動作や発話の模倣学習を経て、動作や概念を獲得し、また自然言語をはじめとした記号の設計と解釈を行って行きます。これらを支える創発的知能を理解することこそ、人間の知能、さらに社会の本質的理解に不可欠であると考えます。
本研究室では、機械学習やロボティクス,エージェントシミュレーションなどの技術を用い人間の発達的適応過程や社会のダイナミクスを模擬することで人間知能を理解しようとする構成論的アプローチに基づき知能への接近を試みています。また、実際の人間の記号過程の多様性を様にみたコミュニケーション場の設計や、知能情報技術の社会応用(スマートグリッドなど)へも取り組んでいます。

感性豊かで人間的な知能システムの研究

ソフトインテリジェンス研究室

担当教員/亀井 且有・エリック W.クーパー

ファジィ理論、ニューラルネットワーク、進化的計算手法等のソフトコンピューティング技術を用いて意思決定支援、知能・技能獲得、感性・情動の評価とモデリング、ヒューマンインタフェースの研究を行っています。研究のキーワードは「感性豊かで人間的」です。厳密でなくても、最適でなくても構わない、満足できればいい、楽しければいい、何かの役に立てばいいなど工学規範というよりは日常規範にもとづいて知能システムを構築しています。
【研究例:Emotional Fitness Project】体力増強や減量など身体の健康維持のための運動であるPhysical Fitnessあるいはエクササイズは一般的に運動の気持ちよさ・喜びといった人の感性を無視し、運動の強さや消費カロリーに焦点を当てて行われるため、運動が楽しくなく、したがって継続されないという問題があります。本研究では、運動後の気持ちよさやストレスの緩和といった心や精神の健康維持のために行う運動であるEmotional Fitnessを提唱し、その実践を通してその有効性を科学的に検証しています。
Kansei Engineering
The objective of Kansei Engineering, a core area of research in the laboratory, is to model human affective responses and sensibilities for a given set of stimulus parameters. Over many years, the Soft Intelligence laboratory has developed new products, evaluated many kinds of interactions, and quantified human sensual responses to all of the canonical senses, as well as many cross-modal stimuli. Simply put, Kansei Engineering is the quantification of good design.

コンピュータゲームのエンターテインメント性向上のための知能化技術

知能エンターテイメント研究室

担当教員/ターウォンマット ラック

人工知能の応用
機械学習などの人工知能(AI)の技術による、ゲームの自動制御及びノンプレイヤーキャラクタ(NPC)を研究しています。また、国際AIコンテストでの優勝を目指しています。Mixed Division of Student StarCraft AI Tournamentの2012大会で優勝、2013大会で準優勝、Ms Pac-Man vs Ghosts League 2012のMs. Pac-Man部門で1位などの実績を持っています。

コミュニティマイニング
オンラインゲームの市場を勝ち取るには、ユーザにあったコンテンツ作りを維持し続けることが不可欠です。「仮想空間内の情報推薦」、「人工知能技術を応用した体験ゲーム」、「ゲームボット発見」といった研究テーマが進行されています。

漫画の自動生成
プレイヤーのプレイ体験を思い出させて仲間同士のコミュニケーションを促進するツールとして、プレイログから自動的に漫画を生成する研究・開発を行っています。「コマ抽出」、「コマ割り」、「カメラワーク」といった各手法の最適化を行っています。本テーマでKES IIMSS 2011 Best Research Paper Awardを受賞しました。

知能システム技術の研究開発とその適用

知能システム研究室

担当教員/西川 郁子

知能システム技術を用いて、生体システムや社会システムなどを対象に、モデリングやシミュレーション、解析を行い、予測や分類、最適化を実現しています。現在の主なテーマは、例えば、太陽光発電ネットワークの効率的な運用や構成を発電量の予測や電力売買制度の設計も含めて考えるテーマ、脳の大規模シミュレーションを最新の実験データをもとに次世代スパコン上で実行するプロジェクト、タンパク質の修飾反応の予測を機械学習で行い機構の解明につなげるバイオインフォーマティクス、物流システムやスケジューリングを変化する状況に応じつつ最適化するテーマ。その他にも、マルチエージェント学習やベイズ統計、最適化技術などを用いて、対戦型ゲームの戦略獲得や、金融工学における最適化、楽器の最適奏法など、毎年、学生・院生のアイデアからも新しいテーマが生まれ、面白いけれど複雑な課題に挑戦するために、新しい解析方法や解法の開発に取り組んでいます。

心理物理学による人間の視覚情報処理と色彩工学の研究

ヒューマンビジョン研究室

担当教員/篠田 博之・瀬谷 安弘

http://www.hvcs.ci.ritsumei.ac.jp
人間視覚系の特性や情報処理機構を調べ、得られた知見を色彩工学や視環境工学へ応用します。とくに人間の特性を知ることで、快適で機能的なモノづくりや環境創成に役立てています。視覚において入力である光は「物理」、最終的な出力である知覚は「心理」ですから、この二つを結ぶ関数や特性を心理物理学的手法によって検討します。これまでに色覚障害者用ソフトウェアUDcolor®、高齢者用照明システムCRS®、明るさ感指標Feu®など、多くの製品化に貢献しています。他にも、映像酔いと臨場感の研究、眼疲労測定法の開発、白内障簡易測定法の開発、大脳レベルの情報処理による視力上昇、視点計測による読み易さ評価、機器を用いないカラーマネジメントなど、多くの研究テーマが進行中です。

ヒューマンモデリングと機械システムの運動制御への応用

ヒューマンロボティクス研究室

担当教員/和田 隆広・福井 善朗

リハビリテーションロボット、義足システム、自動車など、人との物理的インタラクションが存在する先進的機械システムの高度化に関する研究を行っています。使いやすく快適な機械システムの実現のため、1)ヒューマンモデリング:人の運動機能,認知・知覚特性などのモデリング、2)ロボット制御:機械システムの制御の研究、3)ヒューマンマシンインタフェースなどの研究を行っています。研究例は以下の通り。
【ヒューマンモデリング】
・Subjective Vertical Conflictに基づく動揺病(車酔い)の数理モデル
・多リンクシステムの慣性運動評価手法
【ロボット制御】
・慣性運動を活用した歩きやすい義足制御手法
・リハビリテーションロボットのPassive制御
・移動体の大域的な静的/動的障害物回避制御
・マイクロマウスロボットの知的制御
【カーロボティクス】
・自動車の衝突回避システム
・快適性(動揺感覚)を考慮した自動運転システム制御
【ドライバインタフェース】
・スキル向上を実現する運転支援システムの実現
・Haptic shared controlによる運転支援システム

このページのトップへ
© Ritsumeikan University