BKCは敷地内に約3ha(ヘクタール)もの広大な森林やため池があり、緑と共存しているキャンパスだという事をみなさんは知っていますか?
その環境を守ろうと、BKC建設時から緑地を整備している人や、これから行動を起こそうとしている人たちがいます。また、環境にやさしい大学のあり方も注目されてきており、私たちが環境に対して、興味・関心を持つことが重要になってきています。
今回は、BKC内の自然保全への取り組み・現状などについて、環境アセスメントの時点からBKC内で自然環境の調査・保全活動を行っておられる中外テクノス株式会社の迫田さんにお話を伺いました。

『BKCは「自然と共存するキャンパス」として建設時から環境アセスメント(開発がもたらす環境への影響を、事前に予測・評価すること)に取り組んできました。
その当時としては全国の他大学と比べても、環境についての協議は積極的に行われていて、新しい取り組みと言えたのではないでしょうか。建設当初は、環境アセスメントの観点から、「自然には出来るだけ手を加えてはいけない、そのままの状態を維持すべきだ」という考えがありました。そのため、建設から数年は自然緑地が放置されている状況でした。しかし、そのことで土地が富栄養化(栄養が多くなり過ぎること)し、それまで栄養が少ない土地で育っていた貴重な植物が減少する道をたどっていました。また、森林が荒廃してきて、そこに生息する他の動植物にも影響が出ることが危惧されました。そこで大学側と協議を繰り返し、元々のBKCにある素晴らしい自然を保全し、生物多様性を守っていくことになったんです。

BKCの自然緑地には、貴重な動植物が10数種類生息しています。このような貴重な動植物を守るためには、まず、湿地を保全することが必要なんです。湿地の植物を守るには十分な「水」と「光」が必要で、自然緑地の保水だけでは、湿地に十分な水が供給されないので、地下水を汲み上げて湿地に補給し、湿地の保全をするようにしています。
また、過剰な「栄養分」が湿地に流れ込んだり、湿地区域に栄養がたまり過ぎないように、落ち葉や枯れ枝を回収したり、貴重ではない植物を刈り取ったりもしているんですよ。また、保全をすると同時に、定期的な植物調査や水質調査に加え、様々な生態学実験を行い、長期間かけてデータを集積して、将来的に理想的な環境の姿を構築することを目指しています。

しかし、この広大な森林を管理し、守っていくには、私たちだけではとても人手が足りないんです。この自然緑地の状態を在学生に広く知ってもらいたいということもあり、今年の6月からは様々キャンパス整備に関わっている学生スタッフの方々にも協力してもらっています。これからは、私たちだけでなく、もっと大勢の人たちに自然に触れてもらいたいと考えています。
私は、小学校の子どもたちに環境について教える機会もあり、その際、意識していることは、子どもたちに「環境を守れ!」と言うのではなく、子どもたちが自然と環境について興味を持ち、考えてくれるきっかけを与えられるようにすることです。一人ひとりが自分の力で考え、環境に対して自ずと大切にする気持ちが芽生えてくれると嬉しいですね。
今はBKC内の緑地がまだ整備されていないため、立ち入りは禁止なのですが、学生のみなさんには自然に対して、興味を持ち、この素晴らしい大学の自然を大切にしてくれることを望んでいます。そして大学と自然とが共生できる環境が出来上がり、、BKCが教養豊かな人材育成の場になることを心から願っています。

迫田さんのお話の中にあった立命館大学「キャンパス整備スタッフ」について調べてみました

キャンパス整備スタッフとは・・
キャンパスの整備活動に、学生のみなさんも関わってほしいという試みで募集され、2008度は今年7月から活動を始めました。
主に、キャンパス整備スタッフは3つの役割に分かれています。

 ・飲食ゾーン(BKCユニオン2Fの食堂整備)
 ・キャンパス内緑地整備
 ・自然緑地

 

学生広報スタッフが実際にBKCキャンパス内の
森林・湿地を見学しました!

今回、中外テクノスの迫田さんの付き添いのもと、BKCキャンパス内の森林・湿地の中へ同行取材させていただきました。広大な森林の中には、様々な木々があり、湿地には保全し続けている植物が生育していました。中でも驚いたのは、日本で最小のネズミの巣。このように、キャンパス内には様々な貴重な植物が生育していたり、キャンパス周辺ではもう見られない自然環境があったりと、目で見て知ることができ、非常に驚きました。また、実際に鎌を使い、雑草の除草体験をし、人の手を加えることによる植物保全の大変さについて、身を持って感じました。実際に自然に触れることで、自然について理解を深められることが出来たので、今後は多くの人に、自然への関心を持ってもらえるように発信していけたらと思います。

また今回、キャンパス整備スタッフとして「自然緑地」について活動されている方に お話を伺いました。

井上僚平さん(理工学研究科 創造理工学専攻 環境都市コース 博士課程前期課程 2回生)

『もともと私自身、キャンパスの樹木に興味があったのと、研究室でも樹木の点在地や種類に関するデータをホームページで案内しようと計画・調査をしていた事もあり、今回、6月頃に募集されていたキャンパス整備スタッフに応募しました。
現在の主な活動としては、活動方針を決めるミーティングや調査の中間報告会を兼ねたプレゼン、他大学のキャンパス整備を学ぶ為に実地調査などを行っています。
キャンパス整備スタッフとして実際の状況を見て、リアルに物事を考えるのはいい経験になりますし、キャンパス内の実施される取り組みに対して、自分の考えを話せるのは楽しいですね。みなさんが生活しているキャンパスには、素晴らしい「自然」があるので、授業の一部に取り入れるなど自然な取り組みを通じて、みなさんにも保全活動に少しでも興味を持ってもらえたらと思います。』

2009年度に向けて、学内で「里山保全スタッフ(仮)」の募集も検討されています。
募集することが正式に決まれば、在学生向けページに関連情報が出る予定なので、興味のある方は、またチェックしてみて下さいね!!