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  5.国際関係学部

 



@平和と民主主義の理念の国際的展開としてのグロ−バル・デモクラシ-と国際平和、基本的人権を追求する。
A世界の貧困と格差を解消し、より平等な世界の実現をめざす立場から、日本の国際協力のありかたを見直しつつ、生産力主義や利潤優先に立った開発ではなく、地球環境の保全と持続可能な発展の立場からのアプロ−チを目指す。
B国際的、国内的に紛争や対立の原因となる文化的、宗教的、民族的な差異を認め、尊重し合い、相互理解を深めつつ、話し合いの精神に立って共生を追求する。また、人種や性による偏見や差別の解消を目指す。
 国際関係学部は21世紀をにらんだこうした理念を実現しうる人材の育成と社会への各分野への輩出を目的としている。2001年度は、これまでの学部における諸改革の一層の高度化、体系化、具体化をはかるため学生の主体性を重視しつつ、学生と教職員が一体となって目標に取り組んだ。




 1999年度学部改革では、小規模学部の優位性である「顔の見える教育」を活かすと同時に、1回生から4回生までの体系的・系統的なカリキュラム構造を構築するため以下の柱を立て、それぞれ実施に踏み出している。

1.系統的履修を通しての「自律的な学習主体」の実現

 アカデミック・アドバイザー制度の実施(オフィスアワーと連携した複数教員指導体制)。 この制度導入は、1回生時の学修の学生自身による主体的総括と2回生以降の専攻選択をサポートするものである。

@インテンシブな学習を保証するため、科目のコア化を前提にフルセメスタ−講義の大幅導入。基幹科目の4単位化に続き、専門科目でも順次4単位化を開始した(比較文化論、比較家族論など)
A「学生主体の授業形態」の充実・工夫(スチューデント・イニシアチブ科目やインデペンデント・スタディー科目)
B3回生論文提出の義務化も「確かな学力の確保」制度の一貫として開始された。

2.講義形態・講義方法および成績評価の改善

 恒心館への移転にともない一層の情報化・デジタル化を推進する制度的基盤が生まれ、この条件を活かした講義形態が「情報化推進委員会」の下で進められた(講義のビデオ化、パワ−ポイントの利用など)。


3.専門学習と外国語学習を結合した新たなカリキュラムの確立

 外国人教員だけではなく、日本人教員も英語による専門科目の授業の拡大・工夫に意欲的に取り組んだ。

4.学部独自の国際的ネットワークの強化

 海外インターンシップの充実、海外実習プログラムの定期化。
 海外で学ぶ学生は、


海外セミナー(00年度25人、01年度28名)
UBCジョイント・プログラム(00年度25人、01年度28名)
アメリカン大学デュアルディグリー・プログラム(00年度13人、01年度9名)
協定校交換プログラム(00年度12人、01年度11名)

など合計00年度75人、00年度76人であった。この他にも学生が独自に海外留学の機会を求めており、対学生比でみた海外生活経験者は全学で群を抜いている。

5.社会的ネットワークの拡大・強化(諸機関・企業とのインターンシップ)

 協定を締結している諸機関・企業としては(国際協力事業団大阪国際センター、読売新聞大阪本社など)があり、01年度の参加者は約40名である。

6.オープンゼミナールの実施

 2000年度にスタートしたオープンゼミナールは01年度にさらに充実し、45の企業および国際機関、教育機関から56人の参加者を迎えることができた。

7.大学院と連携した教育システムの構築

 大学院における本学部出身院生を増加させることの重要性を踏まえて、飛び級制度の普及・拡大を進めている。また、アドバンスト制度の促進も研究科と連携してはかられている。




 1999年度の学部改革で提起された課題・方針は全体として着実に具体化・実施されている。体系的・系統的履修による「確かな学力」の獲得、および各学年・セメスタ−ごとの獲得目標の明確化の点では、導入期教育の充実をはかる目的で新設された「国際関係学研究入門」、アカデミック・アドバイザー制度の導入は、基礎演習の充実と結合して今後一層重要になる。
 語学力と情報処理能力の高度化の課題は一定のレベルに達している。2001年4月に実施されたTOFELのスコアは550点以上が3.4%、500点以上が21%であり、秋には、この数字が2倍近くにアップしている。今後の取り組みとして中間層の学生のレベルアップが課題となる。情報処理能力の点では、多くの学生がパワ−ポイントを活用したプレゼンテ−ション能力を獲得しつつある。オープンゼミナールでも、多様なビジュアル機能を駆使した非常に魅力的なプレゼンテーションが多く見られた.。ただし、情報処理機器に依存しすぎて学習理解の希薄化の恐れにも気を配る必要がある。
 異文化への理解と海外経験にもとづく成長を保証する一貫としての「海外研修プログラム」については、定例実施することが学生への責任上重要である。
 学生の主体的な学習への取り組みと諸活動への参加などの課題は前進している。国内・国外でのボランティア活動に主体的に参加している学生は少なくない。また、学生主催の講演会・学習会等の自主的活動もかなり取り組まれている。




 3回生時に就職活動が開始される社会情勢のなかで、体系的・系統的教育を維持することの困難さを再認識する必要がある。また学生が4年間緊張感を保ち学ぶことの厳しさと喜びを実感し、主体的に学ぶ姿勢を確立することも容易ではない。とりわけ、「総合性や学際性を重視した国際関係学」を理解するには、社会や現実への絶えざる問い掛け、それへの主体的関わり、チャレンジ精神と想像力などが不可欠になる。このことを前提にして、学部教職員と学生が協力・連携してこれまでの成果を固め、課題に取り組み、改革を具体的に実施していくことが重要になる。その基本は、小規模学部の特性・優位性は何であるのかをはっきりと踏まえ、時代を先取りした諸改革を実践していくことにある。
 新しい基礎演習テキストは2年目を迎え、系統的・体系的教育の導入期における国際関係学の理解に貢献している。
 基礎演習、国際関係研究入門、情報処理学、国際政治学等の科目の関連性、役割分担を学生が理解しやすいよう丁寧に説明し、納得させる工夫が必要である。
 アカデミック・アドバイザ−制度とオフィスアワ−の連携強化をはかる。
 学生の能力、希望を考慮した上での外国語による専門科目の講義数を漸進的に増加させるとともに、講義内容の希薄化を押さえる工夫。
 海外研修プログラムの定例化については、2001年度以降実施が決定されている。
 就職活動によるゼミの不活性化については「就職活動報告」の提出を徹底し、適切なアドバイスを行なう。


 

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