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  4.社会学研究科

 




 1972年に開設された社会学研究科(博士課程設置は1974年)は、高度な教育研究を推進する機関として、多くの研究者と専門的職業人を輩出してきた。
 この間、高度な教育・研究への社会的要請の動向と学部教育の展開に対応して、研究科のカリキュラムについても先進的な改革を継続してきた。すなわち、1991年には社会的要請に応えて研究者養成コースと高度専門職コースを併設するとともに社会人の積極的受け入れを開始し、また学部4コース制の実施に対応して四部門(産業・社会、都市・生活、発達・福祉、人間・文化)を設置した。さらに、1996年度からは博士課程前期課程に、セメスター制を導入するとともに、前期課程の導入部教育を改善するなどを柱とする改革を実施した。続いて1998年度からは、3学系(現代社会系、人間文化系、発達福祉系)への整理と科目区分の導入と講義科目の多様化などを柱とした現行カリキュラムを実施した。このような改革にともなって志願者、入学者とも順調に増加し、2000年度からはこの到達点を踏まえて、定員を前期課程60名、後期課程15名に増加させた。
 2000年度・2001年度、社会学研究科の主要な課題は、一方では教学システムを新しい定員体制により適合したものとするためにこれまで積み上げられてきたシステム(演習の決定方法、社会人への履修配慮、修士論文審査手続きなど)を調整することであり、他方では、中期的な展望をもちつつ、カリキュラム、入試方式という基幹的な体制を整備し、それによって研究科の構成とコース内容をより鮮明にすることであった。
2000年度・2001年度の議論に基づき、2002年度より新たなカリキュラムに移行した。このカリキュラム改革の重点は以下の諸点であった。

・学部カリキュラムでの学系再編に対応する大学院「系」の再編
・各系固有科目の精選
・学部=大学院共同開講科目の拡充
・評価方法の明確化

 また、社会学研究科における学位取得者数(2001年度)については以下の通りであった。
・社会学研究科応用社会学専攻 学位取得者数(2001年度)
・修士(社会学)…42名
・博士(社会学)… 4名





−研究分野の多様性をてこにした質的飛躍に向けて−

 60名定員体制にともなう教学システム整備は、詳細な実施規程などの策定はまだ多く残されているとはいえ、大枠については一応完了しつつあると言えるが、この整備を踏まえて、教学機関であるとともに研究機関の色合いを強くもつ大学院・社会学研究科の将来構想を作り上げていくことが今後の基本課題となるだろう。その際、量と質という関係にのみ重点をおいて研究科を運営するのではなく、学部や社会との関係での大学院そのものの性格変化についても考慮しなければならない。つまり、国民と行政からの大学院教育への要求が質的に変化しつつあるという側面にも十分留意しなければならなくなっている。
 新しい定員体制に伴って、研究科での研究課題・分野の幅は格段に拡大し、進学動機やバックグラウンドなどの点で院生が多様化したことともあいまって、新しい形で相互に刺激しあうチャンスが拡大しているが、同時に全体としての院生実態が院生内部においてさえ捉えにくくなってきていることも確かである。教学システムと入試方式の整備をふまえ、研究科教学の質的充実を図ることが今後の基本課題の一つとなるが、前期課程ではとくに社会的ネットワークの拡充とともに院生間でのネットワークの構築などが、また後期課程ではとくに学外での学会発表の奨励等とともに学内での共同研究の奨励などが課題となるだろう。
 さらにまた、研究者集団としての研究科全体の対外的プレゼンスを高めることも決定的に重要であり、この観点から、産業社会論集、研究科ホームページなど、これまで研究科委員会と教学委員会では十分に取り扱わなかった領域についても研究委員会・企画委員会と連携しながら検討を進めなければならない。

 

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