記述編目次→「6.研究活動−現状と課題」
 

  1. はじめに――研究政策と課題の設定
   立命館大学における今日の研究政策は、1996年の第5次長期計画プロジェクト答申を基礎としている。そこでの課題設定は、

(a)学際化・総合化の推進
(b)社会的ネットワークの拡大・社会的資金の導入
(c)若手研究者の養成

であり、これを具体化するための柱として、研究所等を中心とする研究組織のあり方の検討、研究条件・研究基盤の整備、研究分野の自己評価、研究支援体制の充実が掲げられていた。
 その後、経済学部・経営学部のBKC新展開に伴い、衣笠総合研究機構、BKC社系研究機構が設置された。研究をめぐる環境は、政府による産官学連携の推進、国立大学の独立行政法人化等にくわえて、とりわけ2001年度においては文部科学省の提唱するトップ30(のちに21世紀COEプログラムと改称)に見られるように大きく変動している。研究の現状および課題を確認する上では、こうした点に十分に配慮しておかねばならない。
 2001年度研究委員会において年度当初に基本課題とされたのは、


@研究の重点化と育成
A研究所・研究センターの拡充・研究の高度化と大学院新展開、
新構想大学院と研究機構との連携
B研究情報と成果の公表
C研究条件の改善
D研究者の確保
E研究部(体制)の検討

であった。以下これらの項目に沿ってまとめと課題の確認を行い、あわせて従来から研究部にとって重要な課題とされている学外資金の獲得、産官学連携等の進展状況と問題点について触れることにする。


  2. COE形成に向けての取り組み

 
 年度当初においては、2001年度における文部科学省研究補助金「中核的研究拠点形成プログラム」に申請することにより、人文・社系の研究の高度化を図り、新構想大学院の研究拠点を形成することが目的とされていた。しかし年度後半からは「21世紀COEプログラム」申請へと大きく展開することになった。

 衣笠キャンパスにおけるCOE形成に向けての取り組みは、2000年度以来衣笠総合研究機構のもとで推進委員会において検討され、申請に向けてテーマや推進体制がかなり絞り込まれていた。今年度においてもその詰めをするべく新構想大学院における教学理念、およびそこで展開される共生・表象・生命・公共のテーマにも関連させて検討を継続していた矢先、この助成制度が中止され、いわゆるトップ30構想(現在の21世紀COEプログラム)が提起された。COE形成は、この構想に吸収されることとされた。このため、衣笠総合研究機構における推進委員会の検討の成果は、2001年10月31日、常任理事会のもとに設置された「トップ30を目指す全学推進委員会」に引き継ぐこととした。この推進委員会のもとに各キャンパスにワーキンググループを置き、各研究科に対して2002年度申請に向けて検討を要請するとともに、3月末までに構想原案の提出を求めた。これにあわせて、研究部においては申請に必要となる既存の各種データの整備・新たなデータ収集に取り組むとともに、調査企画室と協力しながら必要な情報を収集する体制をとった。

文部科学省からの申請書・その他の調書の配布等が当初の予定より遅れ気味であり、具体的な作業は2002年度にずれ込むが、研究部にとってはこの問題への取り組みとあわせて、研究政策を総合的に取りまとめ提起していく必要性が緊急のものとなっている。


  3. 新構想大学院と研究所との連携

 
新構想大学院の教育および研究について研究所の連携のあり方を具体化する。

 新構想大学院は、当初衣笠総合研究機構に附置する形態が考えられていた。2000年3月の段階で、両者の関係は「連携」とされたが、その具体的な内容については2001年度に検討することとされていた。その連携のあり方については、研究部と大学院部との間で協議を重ねてきたが、2001年12月19日「2003年度以降の研究所における研究制度に関する検討委員会」を発足させ、2002年3月29日に「新構想大学院プロジェクト研究の衣笠総合研究機構における2002年度以降の位置付けについて」としてとりまとめた。その要旨は、新構想大学院の「プロジェクト演習」科目担当教員を研究代表者としてなされる共同研究を、機構の側ではプロジェクト研究Cと位置付け、これまでのプロジェクト研究A・Bとの相違点を明らかにするとともに、院生の参加を認めること、プロジェクト研究・演習の調整のため、研究部と大学院部との間で調整会議を設けるというものである。

 各研究所においては、新構想大学院の発足を視野に入れてそこで展開される4つの分野(公共・生命・共生・表象)のうち、表象を除く3つの分野についてインキュベーション的なプロジェクト研究を立ち上げた。新構想大学院の人事も進み、2002年度からは同様のテーマを持つプロジェクトCとして発足することになる。この両者をどのように関連付けるかなどの問題の解決がなお残されている。


  4. 研究情報と成果の公表
 
(1)研究分野のIT化

 研究分野のIT化を促進し、研究情報のIT化、研究支援のIT化、研究のIT化支援および研究成果公表のIT化を推進する条件を整備することが2001年度の具体的目標であった。

 本学においては、研究に関する諸情報は各年度版の『研究助成ガイドブック』により冊子体で提供されてきた。これは教員にとっては、大学内外の研究助成に関する豊富な情報が掲載されている点できわめて利用価値の高いものである。しかし大学におけるIT化方針をうけて、研究委員会のもとに設置された「研究分野IT化検討委員会」は、研究情報のIT化、研究支援のIT化、研究のIT化支援、研究成果公表のIT化を推進することを提言した。その具体的な内容として2001年度内に決定ないし実施したものとしては、「研究助成ガイドブック」のWeb上での提供と冊子体の原則的廃止、研究諸情報のメーリングサービスがある。

 新・研究者データベースについては、2002年度内の運用を目指して、研究者およびユーザーの双方にとって利用しやすく、今後の第三者評価に耐えうる内容のものとするため、入力しやすく、検索が容易なものへと展開させるため、作業グループにおいてその概要を確定する必要がある。

(2)データベースの整備

 2001年度における基本図書整備費のあり方を検討し、データベース等の整備のための条件を明らかにすることが、昨年度以来の課題として設定されていた。

 データベース検討小委員会においては、COE形成のために必要となるデータベース購入の必要性が議論された。この課題は、基本図書整備費の使途としてデータベースへの投入の是非として、研究委員会のもとにおかれた「基本図書整備ワーキンググループ」においても検討されたが、「学術図書(図書館)政策検討委員会」が理事会のもとに設置され、全学枠によってこれらの課題に対処する方針が示されたため、そこでの検討にゆだねることとした。そしてこの答申の中で、基本図書整備費は各学部からの拠出分とあわせて「全学枠」として運用し、研究の高度化・情報化に対応するとされたため、研究委員会においてもその方向を了承した。

データベース充実については、2002年度以降は学術情報運営委員会において方針が提起され、実施されることになる。


  5. 研究条件の改善・研究者の確保
 
(1)研究室の充実

 修学館研究室について、客員教授等に共同利用スペースを確保しつつ、1.5室として利用している法・産社教員の個人研究室問題に一定の解決のめどをつけることが、求められていた。

 2001年度において、懸案であった修学館の個人研究室の2室化および旧経済学部共同研究室の共用室化が実現した。しかしながら、衣笠キャンパスにおける個人研究室数は逼迫している。大学院の展開や従来の枠組みになかった新たな教員の採用等により、この状況はますます厳しくなっている。

客員教授等について可能な限り共用室の利用を図ること、その他研究室2室化にあたって条件とされた諸問題について全学的な調整をしなければならない。

(2)学外研究員制度

 此の間の教員増によって、学外研究員枠の学部間格差が2003年度に一層顕在化することから、これに対して一定の手当てを講じるとともに、2007年度までの教員整備計画に従い新たな学外研究員制度についての提案を行うことが求められていた。

 学外研究員枠については産業社会学部・文学部および理工学部において、此の間の教員増に伴い他の学部との間でアンバランスがあることを考慮し、2003年度において学外研究Cをそれぞれ1名拡大する措置をとった。さらに、2004年度以降の学外研究員制度については、2007年度までの教員整備計画を基礎として、新たな枠組みを2002年度前期までに提起することとした。

 2007年度までの新たな学外研究員制度の枠組みを示すこと、独立研究科所属の教員に対する学外研究員制度のあり方を提起することが課題として残されている。また同時に学外研究の成果の発表についてもそのあり方を検討する必要がある。

(3)若手研究者の確保

 ポストドクトラルフェロー(以下ポスドクという)の任用は、若手研究者の確保という点で重要であり、また科学研究費補助金(以下科研費という)による研究支援者制度の受け入れ態勢を整えることが重要であるとの認識から、その条件を整えること。

 研究を推進していく上で必要となるポスドクの任用数は、継続を含めて本年度においては衣笠総合研究機構において1名、BKC社系研究機構1名、総合理工学研究機構で17名の合計19名であった。ポスドク任用は、受託研究費等において人件費支出が予定されていなければならないが、こうしたケースが減少していることから、今後ポスドクを安定的に確保できるかについても検討が必要となる。
 2001年9月より、科研費による研究につきその遂行に必要となる研究支援者を研究機関が雇用することができるように改正された。これを受けて、研究委員会は「立命館大学における科学研究費補助金支援者(RA-G)に関する規程」を制定し、2002年4月から適用するものとして、その受け入れ条件を整備した。

 ポスドクの任用は多くは外部資金の獲得に依存し、また科研費研究支援者制度が実際に運用できるかは、大型の科研費を獲得できるかに依存する。そのための取り組みを引き続き継続する必要がある。

(4)専任研究員制度

 専任研究員の研究専念制度を実質化するとともに、新たな研究専念制度についての検討を開始することが求められている。

現在、各研究機構には専任研究員が配置されている。専任研究員は各研究所に所属し、プロジェクト研究をリードするほか研究所事務に携わり、講義負担およびその他の役職を免除されている。しかし任期や、諸条件は各機構において同一ではなく、また規程上で認められている研究専念が実現していない状況にある。研究部においては、この点について研究所のあり方および研究専念制度の改善に向けて検討を開始するべく、2001年12月19日「2003年度以降の研究所における研究制度に関する検討委員会」を発足させたが、この委員会ではさしあたり新構想大学院専任教員のプロジェクト研究上の位置付けを提言するにとどめた。

本年度においては、上記の諸問題について具体的な提言を行うことができなかった。2002年度において新たな委員会を発足させ、そこで検討することになる。


  6. 研究部体制の強化
 
(1)研究部副部長の設置

 研究活動の推進、とりわけBKCにおける産官学連携の推進や研究部関連の業務を統括するためにBKC研究部長の設置が求められていた。

 2001年度よりBKC研究部長(研究部副部長)がおかれることになった。このことによりBKCにおける研究部の体制が強化され、また先端IT研究センター構想の議論において実質的な役割を果たすことができるようになった。研究部の扱う領域はきわめて広範囲に及んでおり、また人文・社系と理工系では問題への取り組みに対して温度差があることもまれではない。そのため衣笠とBKCにおける事務局の打ち合わせを、不定期であるが合同部会議という形態で実施した。

 BKCにおける事務体制は、研究推進課と研究経理課およびリエゾンオフィスに、衣笠は研究支援センターとリエゾンオフィスに分かたれている。お互いの任務分担については明確であるが、研究部全体を見通し、事務局機能を充実させるためには、両キャンパス間の意志疎通が不可欠である。部会議のあり方等について検討すべきである。

(2)研究委員会の充実

 研究委員会は、研究に関連する諸問題について審議し決定する全学委員会であるが、現在のところ各機関の研究政策に基づく議論は停滞している。より実質的な議論と各研究機関の積極的な提言がなされるように改善することが必要になっている。

 研究に関連する政策、制度の改廃、研究助成等の議題は、研究委員会において実質的に議論されることが予定されている。研究委員会は月に1度開催が予定されている。しかしこの間、各学部や研究機構の政策がここで議論される実情にはなっていない。研究部起案の議題について、学部の政策上の背景がないままに議論され、しかも研究委員の個人的な意見に依存するという状態になっている。研究委員が議案について必ずしも執行責任を負っていないという点にも問題が残される。

 学部において執行部と研究委員が中心となって中長期的な研究政策を樹立し、それを基礎として研究委員会において議論を尽くし、執行するという体制が確立される必要がある。これに関連して研究委員の複数年任期制を導入することについても今後検討が必要である。


  7. 研究資金の確保
 
(1)文部科学省科学研究費補助金

 科研費の獲得率を向上させることは、この間一貫して取り組まれてきた課題であり、今年度も昨年度を上回る実績を確保することが研究委員会においても確認されている。

 本学における2000年度の申請件数は317件であり、2001年度の採択件数は110件であった(継続分を含む)。交付内定額は298,500千円である。昨年度に比して申請件数は微増しているが採択件数および採択率が減少している。この数字は、私立大学全体の中では比較的上位にランクされるが、なお取り組みを強化し、獲得数を増加させることが必要である。学部ごとにみても法学部および理工学部が20ないし30%の保有率を維持しているのに対し、経営学部、産業社会学部および政策科学部においては、科研の保有率が10%に到達していない。また、大型研究(基盤研究(S)・(A))の申請数・採択数が少数にとどまっている。

今後とも科研費は研究領域の重点化、研究内容の評価、助成の継続性等の視点から整備が図られる種目と、競争的環境のもとに展開される種目とに峻別されることが伺える。科研費の採択状況は他のさまざまな助成金や補助金の配分に際して、評価指標のひとつにされていることにも注意しなければならない。研究支援センターでは、こうした状況にかんがみ科研費の説明会を充実させること、申請調書についてもアドバイスを実施するなどして、2002年度への申請件数・採択率を向上させるための取り組みを、@申請件数を増加させる、A採択件数を増加させる、B各研究機関における組織的取り組みを強化するとの方針のもとに取り組んだ。その結果、申請件数は全体で353件となり過去最高を記録した。昨年度に比して産業社会学部で9件、文学部で13件増加したことが特筆される。
 なお、本年度より科研費(S)・(A)については、直接経費の30%が間接経費として措置されることになった。この使途については、研究補助業務に使用することとし、さらにこれに相当する金額を大学として措置し、@本学の研究の高度化、新たな競争的資金の獲得に資するものとして活用すること、A科研費採択に伴うインセンティブな性格を一定程度加味しつつ、全学の研究高度化に資することを重視して、機関対象のインセンティブ制度とすること、を基本に運用することを決定した(2001年12月7日研究委員会)。2002年度においては、COE形成に向けた研究費のために利用することなどが期待される。

(2) 学外資金の確保

 本学においては、研究費として個人研究費のほか以下に述べる学術助成を備えている。しかし研究費については、学費のみに依存しないことを確認することは重要であり、そのため公的資金としての科研費獲得を重視していることは上に述べたとおりである。これに加えて、産官学連携を推進し、この中で研究費を獲得することも大きな政策目標とされてきた。

 2001年度における受託研究・共同研究・奨学寄付金および寄付講座・研究による学外資金の受け入れは、大学全体としては237件で785,148千円であった。金額では前年度を若干下回ったが、受け入れ件数では約10%増加している。衣笠およびBKC社系研究機構が発足して以来、4年連続して安定的に200件以上、7億円以上の受け入れがなされ安定した実績を残している。この大半は総合理工学研究機構の受託研究である。科研費、および上記の学外資金のほか学術フロンティア推進・オープンリサーチセンター等への補助金を加えると約14億4600万円が受け入れられていることになる。

 衣笠総合研究機構では、アート・リサーチセンターが受け入れ金額では大半を占め、受託件数では地域情報研究センターがほとんどを占めている。衣笠総合研究機構およびBKC社系研究機構では、受け入れ金額および件数ともに特定人に限られているという問題がある。また衣笠総合研究機構においては、研究費というよりは「受託事業費」といった形態の受け入れが増加している。これについては、資金の受け入れ区分を検討する必要があるとともに、人文・社系のリエゾン活動の新たな展開の可能性の中でさらに議論を尽くす必要がある。3月末の理事会スプリングレビューにおいては、立命館大学としてシンクタンクを設置する可能性についての報告を行ったが、2002年度においてはリエゾンオフィスでより詳細に検討することを予定している。

(4) 産官学連携の推進

 文部科学省や経済産業省等による提案公募型の研究助成が増加している。これに対応するためには、情報を早期に入手すること、提案の趣旨に沿った研究組織をつくり研究計画を樹立するなどの点で機動性が求められる。この点で、研究者の情報をもとに様々な研究組織をコーディネートしていく研究支援の態勢の強化も同時に必要になってきている。

 教員が研究成果を社会に還元するために起業することは、本学においても一定の条件を満たせば可能になっている。しかし受託研究や起業に関連して、責務相反・利益相反が生じる可能性があることも指摘されている。この点についてどのようなマネージメントをなすべきかは、本学においてはほとんど議論されていない。研究部においてもこの点に関しては、衣笠・BKC合同部会議において話題にされたにとどまる。2002年度に本格的にこれに取り組む必要がある。


  8. 学術助成制度について
 



 本学における学術助成は、研究集会区分、若手奨励区分、一般区分、学術図書出版補助(一般・博士号取得)に分かたれる。
 これらの制度は、科研費等への申請と連動しており、学外の公的助成金を積極的に獲得することを主眼とし、あくまでもこれを補完するという位置付けがなされている。2001年度における採択の目安は39件であるが、申請件数は99件であり、このうち16件が科研費の内定を受けたため、83件について審査を行い43件に対して助成を決定した。申請件数はこの数年間ほぼ90件台であり、審査件数は科研費の採択によって変化はあるが、ほぼ採択予定件数の2倍程度となっている。
今年度は、審査に際して助成金額について査定を実施した。研究目的と費用との関連性が明らかでないもの、特定の費目に偏った申請等には厳しい査定を行い、決定後に研究計画書の修正を求めた。
 学術助成の制度については、これによる研究が科研費をはじめとする公的資金獲得のために、期待される成果をあげているかについて疑問があり、そのあり方を検討しなければならない時期にきている。学術助成を受けた者の約60%しか次年度の科研費を申請していないという点、また学術助成不採択者による次年度の科研費の申請率は相当に高いものの、採択率が低いという問題がある。2001年度については、すでに4月の段階で「研究助成ガイドフック」において従前のとおりで運用する旨を示していたため、制度の大きな変更はできなかったが2002年度において、学術助成制度を研究所におけるプロジェクト研究、課題別共同研究支援等とあわせて抜本的に見直す作業に着手することを予定している。
 プロジェクト研究は、ほとんどが前年度において2001年度より発足する旨が決定されている。2001年度は衣笠において新構想大学院展開のインキューベータとしての位置付けをもつものを含めて20件が採択されている。プロジェクト研究の募集や採択についても、研究所の政策、研究の重点化との関係をより明確なものとすることが必要になっている。研究助成に対する第三者評価の観点から見れば、助成とそれに対する成果が説明の付くものでなければならない。課題別共同研究についても同様である。長い間継続している課題別共同研究については、それなりの歴史を感じさせるものではあるが、プロジェクト研究への展開の見通し、科研費への応募など、研究の展開を期待できるものへの重点的支援といった改革が必要となっている。こうした点を踏まえて、2002年度への継続希望申請に対しては、研究会開催状況、予算執行状況等を考慮して研究委員会の査定を導入した。

 プロジェクト研究・課題別共同研究に対する助成のあり方については、以上の経過を踏まえ、2002年度に改善案を提起する予定である。

  9. 各学部の研究活動のまとめ

  これについては、学部の研究自己評価報告書を参照されたい。


  10. 研究活動自己評価・第三者評価
 


 研究活動についての自己評価を実施することに加えて、第三者評価を導入することが今年度において決定すべき課題であった。

 研究分野の自己評価の取り組みは、各学部において研究組織の概要・専任教員の研究業績・外部資金の受け入れ状況・学会活動の状況などについて行われた。その詳細については各学部「研究自己評価報告書」を参照されたい。その中で特筆すべきは、理工学部が1999年度以来、教育分野を含めて第三者評価を受けてきたことである。すなわち1999年度においては情報学科がABETの評価を受けたほか、機械システム系ロボティクス学科が独自の外部評価を実施し、2000年度には化学生物工学科、環境システム工学科が、2001年度には応用化学科、機械工学科、電気電子工学科が外部評価を受け、建設環境系土木工学科は2001年度にJABEEによる外部評価を受けている。


 国立大学においても、2001年度より大学評価・学位授与機構による研究分野の評価が実施されている。本学においても、全学自己評価委員会が第三者評価に取り組むことを決め、研究分野自己評価推進委員会もこの方針に従うことにした。2002年度においては、その取り組みに向けて取り組むことになる。


 

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