1−4 社会への大学開放―教育分野での社会的ネットワーク―



(1)生涯学習課題への対応


【理念・目標】

 本学は戦後、いち早く公開講座(土曜講座)を実施するなど、大学教育を社会に開かれたものとする様々な取り組みを進めると共に、夜間主教学の展開の中で勤労青年学生を中心とする社会人を多く受け入れ、教育を進めてきた。また、科目等履修・聴講制度などの活用による多様な学びのあり方にも積極的に応えてきた。この間の生涯学習社会の到来の中で、社会人の様々な学びの要望に応える諸取り組みを推進してきている。


【現状】

 本学では1996年度より昼夜開講制に移行し、昼間主コースにおいて社会人学生の受け入れを開始した。現在では全学で1100人を超える社会人学生が学んでいる。このような到達点を踏まえ、より幅広く生涯学習課題に対応するために、1999年度より夜間主コースで抜本的な改革を実施した。具体的には夜間主コースにおいて従来重視してきた勤労青年学生の受け入れを引き続き維持しつつも、より幅広く社会人学生を受け入れる入試制度を作ったこと、昼夜間の相互履修の制度を更に進め、ライフスタイルに応じた柔軟な学修生活の実現を図ったこと、更に新たに産業社会学部と文学部地理学科に夜間主コースを設置したことなどであった。また1998年度から発足させた土曜開講プログラムとしての総合人間学コースとあわせて、1999年度よりBKCにおいてBKC土曜開講プログラムをスタートさせ、より社会人のニーズに合った学習システムの構築を目指している。
  また、科目等履修制度を活用した多様な社会人の受け入れを一層促進するために、1999年度よりJR西日本と協定を締結し、同社の研修制度の一環として科目等履修生を1年間受け入れる制度を発足させ、2000年度より教育訓練給付制度を活用した講座を開設した。更に、コンソーシアム京都のシティカレッジにも科目を提供して市民を科目等履修生・聴講生として受け入れることにも取組んでいる。


【評価】
 上記のように本学では正規学生から聴講制度まで様々な段階で社会人の受け入れを積極的に進め,そのための新たな教学展開も行ってきた結果,多くの社会人が様々な形態で学ぶ学園となりつつある。しかしながら今後一層生涯学習社会に向けて大学への期待は高まっていくことが予想される。本学としても社会の期待に応える教学内容やより学びやすいシステムづくりなど一層努力を行う必要がある。


【課題と改善方向】
 生涯学習課題において大学が果たすべき役割は今後もますます重要となっていくと考えられるが、本学としても更に積極的な対応を図っていきたい。具体的には、学部教育段階において社会人学生に対応した教学プログラムの開発や長期在学制度などを検討して一層柔軟な学びの仕組みを作り上げ、多くの社会人学生の受け入れを図ること、また大学全入化といわれる時代を迎える中で、今後大学院における社会人受け入れの一層の促進と魅力ある教学作りを進めていくことが重要となっている。またある分野について関心を持って学ぶいわゆるパートタイムステューデントの一層柔軟な受け入れについて、科目等履修制度の一層の活用などを図っていく必要がある。



(2)大学コンソーシアム京都との関わり


【理念・目標】
 大学コンソーシアム京都は、大学センターとして1994年に発足以来、大学間の共同事業を展開するとともに、地域と大学のネットワークの様々な部面での拡大を目指して活動を続けている。本学もその理念・目標の重要性を踏まえ、その事業に積極的に参加し、社会的な貢献や大学間のネットワークの拡大を目標に諸取り組みを進めてきている。


【現状】


@ 単位互換制度への取り組み
1999年度と2000年度をみても、本学からの出願数は増加を続け、2000年度においては出願科目数で5495件と過去最高に達している。京都全体の2000年度の出願件数が1万1409件と拡大をしたが、その中で立命館大学が約42%と約4割を占める構造は依然として継続している。本学の提供科目(出願件数)についても、1999年度が11科目(870件)、2000年度が14科目(1204件)と、年々交流が盛んになりつつある。

Aシティカレッジを通じた市民の受け入れ
社会人の場合、大学の教学に関心を持ちつつもフルタイムで大学で学ぶには諸条件が及ばず、結果的に関心のある科目のみを聴講、あるいは単位取得を目指して科目等履修を行うケースが多い。この点では1998年度よりシティカレッジに科目の提供を開始した。現在京都全体ではこの制度を使ってのべ859名が大学において学んでいるが、本学でもそのうちのべ182名を受け入れている。
Bインターンシップ事業への取組み
大学コンソーシアム京都では、大学の共同機関としての特徴を活かしてインターンシップ事業を展開しているが、立命館大学では一般教育科目として単位認定を行う制度を1998年度より発足させ、積極的に取組みを進めてきた。2000年度には全体で362名、立命館大学からは76人がインターンシップを経験した。このうち単位認定を行ったのは62名であった。
Cその他の活動
 大学コンソーシアムではその他にも様々な事業を展開しているが、立命館大学としてもFDフォーラムへの積極的参加や、単位互換科目を利用した遠隔授業の実施などに積極的に取り組んできている。


【評価】
 上記のように、本学は京都における諸取組みに積極的に参加する中でコンソーシアム京都の事業展開に積極的に協力するとともに、そこでのプログラムを積極的に活用する中で学生の学びの場の拡大を具体的にはかり,実現してきているといえる。


【課題と改善方向】

 大学コンソーシアムがいまや全国各地に形成されつつあることにも明らかなように、大学が地域的にコンソーシアムを形成し,その総合的な教学資源を活用して諸事業を展開していくことは今後の大学の在りようにとって重要な1つの柱となる。 立命館大学としても、今後は単なる単位互換制度から共同した教学プログラムの開発や、大学のまち交流センターの場を活用したサテライト事業の共同展開など、共同の幅を広げより積極的に取組みを進める必要があろう。



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