1. 法学部


【理念・目標】



●改革の経過



@1999年度改革
法学部では、1999年度より5専攻制(司法、環境生活法、国際比較法、政治行政、法学)を採用している。法学専攻は、主として従来の夜間主時間帯(6・7時限)で学ぶ学生を対象としている。また、司法専攻の中に法律学特修課程を設け、司法試験をはじめとする難関試験や大学院進学を意識した教育を実施している。なお、従来の企業関係法コースは国際比較法専攻に統合された。  この改革では、各専攻の特色を明確にするため、専攻ごとに専攻固有、専攻共通および共通専門という科目区分を設けたうえで、専攻固有科目を40単位以上修得していることを要卒要件とするとともに、専攻共通科目および共通専門科目については、各セメスター8単位以内という登録制限を設け、専攻固有科目を重点的に学習させる方策を講じた。
 さらに、専門ゼミについては、3回生「演習」と4回生「卒業研究・論文」とに分離し、「卒業研究・論文」を6単位とした。

A2000年度改革
2000年度には、法学部、国際関係学部、政策科学部および産業社会学部が協力し、国際インスティテュートを開設した。国際インスティテュートには国際法務、国際公務および国際社会の3つのプログラムが設置され、これらのうち法学部の学生が参加するのは国際法務および国際公務の両プログラムである。国際法務プログラムは、国内外の法とビジネスに精通した法務スペシャリストを養成することを目的とし、国際公務プログラムは、外交官や国際公務員など国際公務分野で活躍できる人材育成を目的としている。学生諸君はそれぞれが所属している専攻(国際法務プログラムの学生は国際比較法専攻、国際公務プログラムの学生は国際比較法専攻または政治行政専攻)の学習を軸にしながら、上記目的に則して編成されているインスティテュート科目を併せて修得する。



【現状】

 2000年4月1日現在の昼間主コース法学部学生の在籍者数は3957名であり、そのうち女子学生は1499名(37.9%)である。1・2回生に限って言えば、1934名中777名が女子学生であり、その比率は40.2%にのぼっている。


 また、法学専攻を含めた夜間主コース法学部学生の在籍者数は478名であり、そのうち女子学生は100名(20.9%)である。夜間主時間帯で学ぶ学生数は、ここ数年で等比数列的に減少している(2000年4月1日現在、4回生148名、3回生123名、2回生65名、1回生36名)。


 専攻別の内訳は、昼間主4専攻制が実施されるとともに、司法専攻の中に法律学特修課程が設けられた1999年度以降について見ると、昼間主2回生は、1040名中、司法専攻548名(52.7%)〔うち法律学特修課程89名(8.6%)〕、環境生活法専攻165名(15.9%)、国際比較法専攻205名(19.7%)、政治行政専攻122名(11.7%)である。さらに、国際インスティテュートが開設された2000年度入学生(1回生)では、894名中、司法専攻490名(54.8%)〔うち法律学特修課程90名(10.1%)〕、環境生活法専攻120名(13.4%)、国際比較法専攻165名(18.5%)〔うち国際インスティテュート52名(5.8%)〕、政治行政専攻119名(13.3%)〔うち国際インスティテュート11名(1.2%)〕である。2001年度入試の志願者動向をも勘案すれば、今後は法律学特修課程および国際インスティテュートの学生比率が高まることが予測される。


 2000年度4回生の卒業率は78.6%(5回生以上を合算すれば74.1%)であった。1998年度以降、卒業率が80%を割り込む状況が続いている。その原因を究明したうえで、卒業率の向上をはかる必要がある。他方において、3回生終了時点で要卒単位のほとんどを取得する学生がかなりいたことから、1999年度入学生より、各回生で登録できる単位数に上限を設けた(1回生46単位、2回生48単位、3回生50単位、4回生以上56単位)。上記1999年度改革における専攻固有科目重点化措置とともに、卒業率にどのような影響をおよぼすか、今後の推移を見守る必要がある。




【評価】

女子学生比率は年々漸増し、いまだ上げ止まる感はない。ところが、女子学生の進路という点では、必ずしも全員が満足いく結果を残しているとはいえない。女子学生の進路開拓により一層努力しなければならない。
  夜間主時間帯の教学システムに関しては、少数とはいえ夜間を中心に学ぶ学生諸君の修学機会を確保するとともに、効率の良い教学システムを再構築する必要に迫られている。


  立命館大学法学部は常に時代のニーズを先取りし、学生諸君の多様な問題関心に応えうるカリキュラムを備えている。入学してくる学生諸君は出願時点でどの専攻・課程・インスティテュートに所属するかの選択を迫られるため、明確な学習指向を有しており、問題意識も鋭敏である。時代のニーズおよび学生諸君の問題関心が多様化すればするほど、法学教育のコアとなる部分を重視・強化しなければならない。




【課題と改善方向】



●第5次長期計画課題との関連を中心に●



@コア科目
法学部では、1999年度より、法学入門、契約法T、憲法T、契約法U、刑法T(政治行政専攻を除く)および近代政治思想史(政治行政専攻のみ)の6科目を、法学部学生が学習を進めていくうえで不可欠な基本科目(コア科目)として位置づけ、登録者数300人規模に授業を分割するともに、小テストおよびコミュニケーション・ペーパーを積極的に活用するなどして双方向型授業を実施している。また、各クラスに3名ずつのティーチング・アシスタント(大学院生)を配置し、学生諸君の自主的学習を支援する体制も整えている。さらに、学生諸君の省察を促すため、定期試験の答案も返却している。
A専門ゼミ  専門ゼミは3・4回生時の学習の核となるものである。将来の進路との関係においても、ゼミでの学習さらには学生と教員・学生相互のコミュニケーションが占める位置は極めて大きい。そこで、2000年度より、「私は○○ゼミの学生である」というアイデンティティを持たせるべく、また、ゼミ選択を一つの学習機会として位置づけ、「演習実施要項」の配付から仮登録までに1ヶ月の熟考期間を確保した。
 なお、前述のように、4回生ゼミのいわゆる空洞化を防ぐため、1999年度より4回生ゼミを「卒業研究・論文」とした。
B双方向型授業の実現 コア科目における双方向型授業の実践については前述したが、その他の科目においても、コア科目におけると同様の教育条件を確保するべく努力を続けている。
 すでに、全科目において、登録者数500人以下となるように授業を分割している。
 また、定期試験の講評も半数以上の科目で実施されている(コア科目においては答案返却とともに完全実施)。
 小テストおよびコミュニケーション・ペーパーの活用やTA配置なども、教員相互の経験交流会などをとおして、全学部的な拡がりを見せてきている。



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