7 .文学部


【理念・目標】
 文学部が対象にしてきた人文科学はこれまで、人間が生きていくための根本的な項目を理念として、 思想として、また技術としてつくってきた。しかし、いま世界は大きな転換期を迎え、人文科学も大 きく変わろうとしている。例えば、人文科学だけでなく、社会科学や自然科学の諸分野との境界が曖 昧になり、それらの垣根が低くなりつつあるのがその一つである。また、異分野との共同研究によっ て、新たな分野も産まれつつある。このような世界的な変化を受けて、文学部でもその変化に対応し た学問の体制づくりにむけて新たな模索を始めた。その試みは、既に文学部に人文総合科学インステ ィテュートをつくった時から始まっており、それをさらに進展させる議論が深められた。その具体化 は、文学部を2 学科(心理学科は設置直後のため改組できない)に再編して、制度の上からも、文学 部の各分野の交流を促進させる仕組みをつくることであり、現在その実施にむけての作業が進められ ている。

  組織的な改革と共に、文学部における教学の内容を高度化することも必要である。「人間とは何なの か」という、古くて新しい根源的な疑問に応えていくのが、人文科学である。人間が長い歴史を経て 獲得してきた壮大な「知」の体系を知り、それを深く思考し、分析し、考察することが重要と考えて いる。そしてこのたゆまない連続こそが、我々が生きる世界の新しい「知」を創造していく。
 
  このような文学部に共通した認識に立って、新しい組織を確立させ、教学内容を充実させることを 目標に様々な取り組みが行われている。




【現状】
 まず、組織面であるが、前述の理念や目標を実現するための改革を行える状態になるまでに議論を 深め、ほぼ合意に至る段階にある。 教学の内容面では、語学の力をつけさせる英語副専攻の新設に取り組んだし、基礎学力の向上を目 指してコア科目としてライティングを一部導入し、2001 年度からの本格実施の試みを行っている。ま た、学部改革の議論の中で、人文科学の共通理解が深まり、新しい「地」の創造がみえるところまで 到達したとみなされる。




【評価】

 文学部に関する最大のプラスの評価は、2001 年度新設の心理学科、哲学科教育人間学専攻の立 ち上げと、それにかかわって大学院の応用人間科学研究科の新設を実現できたことであろう。これに 伴って、文学部でめざす「知」の創造を実現するための枠組みが広がりと深まりをみせ、既存の学科・ 専攻にも学問的な刺激を与えた。また、文学部はこれまで社会との接点が、他学部と比較して少なか ったが、就職にかかわって企業とのつながりを強化するための努力をし、インターンシップを開始す るなど、急速にその差を埋めつつある。

  一方、マイナス面の評価としては、夜間主学生の激減により、文学部でも夜間主時間帯の大幅な見直 しを迫られていることがあげられる。また、他学部の施設・設備と比較して、文学部の主として利用 する清心館の施設・設備の貧弱化が目立ち、この早急な改善も課題として残されている。




【課題と改善方向】

 文学部の最大の課題は、前述の制度上の改革を実施に移すことにある。現在、学部改革実施委員会 などを設置し、2003 年度実施をめざし制度上の改革を進めており、2001 年度中には、学科再編を文部科学省に申請する予定である。また、各専攻の教学については、内容を充実させる検 討を実施している段階にある。

 それに先立ち、2002 年度からは一部の改革を先行実施するよう、予定している。それは、人文 総合科学インスティテュートの改革を行うことで、そこに従来の人文総合科学インスティテュート(学 際型とする)に加え、新たに3 回生から専攻・インスティテュートなどに進むことができる総合型を つくり、さらに国際インスティテュートの国際社会プログラムを国際型として加えて、3 つの型から なるものに変えることである。2002 年度入試から、新しい人文総合科学インスティテュートの募 集をすることになっている。この中で、特に総合型は、学際型と共に、新しい文学部の「知」の枠組 みをつくるのに大きな役割を果たすものと期待されている。

  それと同時に、現在欠員になっているいくつかの教員人事を補充し、様々な条件整備を行って文学 部の理念・目標の実現をめざしたい。


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